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相続に関する最近の法改正について解説します

相続登記

。こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

不動産には所在する場所や地目、面積、所有者などの情報が記載される登記簿というものがあります。

 

相続により不動産を取得した場合にはこの登記簿の「所有者が変わりました」という登記手続きがありますが以前からこの登記手続きが義務ではないことが問題となっています。

 

相続登記の申請が義務化される法整備や相続開始から10年経過後の遺産分割の見直しについて法改正がなされていますので解説します。

 

目次

所有者不明の土地とは

所有者が不明な土地と聞いて「そのような土地があるのだろうか」と感じるかもしれません。

 

すべての土地に所有者がいて、公共のものであれば国や地方自治体がその所有者になっています。遠くに見える山や山林にも誰かしら所有者がいます。

 

不動産の売買のときには司法書士さんに手続きを依頼して自分のものになったということ、所有移転登記をしてもらい正式に自分のものだということを登記します。

 

この「自分のものだということの証明」はとても大事で、その証明がなされていないと悪いことをしようとする人と関わるとやっかいなことになります。

 

売買の時は不動産の登記手続きをしないということは通常考えられないのですが、相続の場合は今までは登記の義務がなかったこともあり後回しになることがありました。

 

また相続の場合は遺産の分け方が決まらないと基本的に登記ができないので、分け方が決まらずにほったらかしだった、という土地が多くあります。

 

一説によると所有者が不明になってしまった土地は九州の面積に及ぶともされており、所有者が不明な土地の管理運用上も問題となっています。

 

例えば所有者不明の不動産で建物がある場合には誰も住んでいないと朽ちていき危険な状態となります。

 

また土地についても所有者が不明な状態だと管理がそもそもなされず、また国や自治体、第三者が購入等しようとしても難しくなります。

 

つまり塩漬けの状態で全く動きがとれないということになり、不動産の相続登記が義務ではないこと原因のひとつとされています。

 

この問題が広く認知されるきっかけのひとつが東日本大震災時の収用等に際しての所有者確認の困難事例がたくさんあったことだと記憶しています。

 

相続登記の義務化等の法改正の概要

このような状況が続くと土地の所有者が不明のまま放置されてしまうことが常態化してしまうので、法整備がなされています。

 

令和3年4月28日公布で「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が制定されています。

 

主なポイントとしては

・相続登記の申請を義務化すること
・住所等の変更登記の申請を義務化すること
・相続土地国庫帰属制度を創設すること
・相続開始後10年経過後の遺産分割の見直し

の4つです。ひとつずつ解きほぐしていきます。

 

相続登記の申請を義務化すること

これは文字通り、不動産を相続により取得した相続人に対しその取得を知った日から3年以内に所有権移転登記の申請が義務づけられます。

 

正当な理由がなく申請をしなかった場合には10万円以下の過料(罰金です)の罰則があり、施行日は公布日(令和3年4月28日)から3年以内の政令で定める日からです。

 

住所等の変更ときの申請を義務化すること

こちらも文字通り、住所や氏名等を変更した場合にはその登記簿に記載されている住所氏名と異なる場合には申請を義務化するものです。

 

変更の日から2年以内に申請が義務付けられており正当な理由がなく申請がなかった場合は5万円以下の過料の罰則があります。施行日は公布日(令和3年4月28日)から5年以内の政令で定める日からです。

 

相続土地国庫帰属制度を創設すること

こちらは相続した土地について要件を満たす場合には国庫に帰属させる、つまり引き渡すことができる制度を創設しますということです。

 

要件が厳しいものとなっており実際の運用がどうなるか分かならい部分がありますが制度として創設されてその後の経過で要件が緩和されるなどあるかもしれません。

 

こちらについては後日に別記事でまとめます。

 

相続開始後10年経過後の遺産分割の見直し

現状では亡くなった人から生前贈与を受けた場合等に特別受益がある相続人がいる場合には法定相続分を調整して具体的相続分を算出する仕組みになっています。(民法903条 904条の2)

 

この改正により相続開始から10年を経過しても遺産が未分割の場合には、家庭裁判所に遺産分割の申し立てをしている場合等を除いて、この具体的相続分を適用しないこととされました。(新民法904の3)

 

つまり分けれていない状態が10年続いてしまったら「特別受益や寄与分は考慮せず、法定相続分又は指定相続分によって分けなさい」ということです。遺産分割協議に10年の機嫌が設けられたと考えて良いでしょう。

 

まとめ

今回は相続に関する改正についてお伝えしました。罰則が少し軽いような印象を持ちましたが制度として義務化されることは相続登記をしようと考える動機にもつながります。

その後の運用状況から思ったような成果が得られなければ罰則規定が強化される可能性もあります。

その他にも「相続と贈与の一体化」を目指すという文言が税制改正大綱に盛り込まれておりそちらも注目されていますのでまた解説する予定です。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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