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贈与をする際の丁寧な手順と効果を解説します

丁寧な贈与

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

金銭の贈与を相続税対策で行う場合には、贈与が成立しているということを丁寧に積み重ねていく必要があります。(名義預金と疑われないために)

贈与をする際の丁寧な手順を解説します。

目次

贈与契約書を用意して確定日付を取る

金銭による贈与の場合には現金ではなく預金口座を通じて贈与をすることをおすすめします。

お金に色はついていないとはいいますが、自分以外の第三者が見たときにより確からしい方法で行うのがいいでしょう。

現金だとその現金がどこからきてどこにいくのか流れが見えませんが、預金口座を利用することでおカネの流れがより見えてきます。

続いて贈与契約書を用意して署名捺印をします。

贈与が成立するのは、贈与する側の「あげました」と贈与される側の「もらいました」の両方が必要です。どちらか一方だとあげた「つもり」になってしまい贈与不成立です。

そのため贈与契約書を2通用意してそれぞれに贈与者・受贈者として署名捺印をすることでこの双方の意思確認をすることができます。

2通用意するのは贈与者と受贈者の双方で保管をしておくためです。(2通ないと贈与が成立しないわけではないですが念のためです。)

贈与契約書には日付を記入することになりますがこの日付についてはひと手間かけたいところです。

というのも例えば去年に贈与したことにする、というのが日付を改ざんすることでできてしまうので自分で書いただけだとその贈与契約書が確かにその日に存在したことを説明する力が低いです。

そのため、贈与契約書に確定日付というものを取ることでその書類が確かにその押印の日に存在したことを説明するチカラが高まります。

確定日付を取る方法でメジャーなのは公証役場で手数料を支払い押印をしてもらう方法です。

公証役場は公的な機関っぽいことをしているところで、公正証書の作成や私文書の認証、確定日付の付与等をその仕事としています。

公証役場で確定日付を贈与契約書にもらうことでその書類が確かにその押印年月日に存在したことをより強固に説明補足してくれます。(過去や未来の日付では確定日付を押印することはありません)

公証役場での確定日付の取得がおすすめではあるのですが、公証役場までが遠い場合や平日の9時から17時までの間に書類を持参できないケースもあるでしょう。

そういった場合には「記念押印」の方法も選択肢となります。

あまり知られていないのですが郵便局では切手を貼った書類に消印を押してもらうことができます。通常の郵便差出ではなく切手を貼っていればそこに消印を押してくれるということです。

これにより切手は消印されますので利用できなくなりますが郵便局の消印という確定日付をとることができます。

もし公証役場が遠いなどの事情があれば「記念押印」を検討しましょう。

(郵便局のゆうゆう窓口では記念押印をしていないとのことですので、土日や夜間の場合には事前に問い合わせしましょう。市区町村の中央郵便局などであれば通常の郵便窓口がオープンしていることが多いです。)

贈与税申告=贈与成立、ではない

よく「111万円の贈与をして贈与税の申告書を出せば問題ない」という説明を見聞きすることがあります。

この趣旨は、贈与税の基礎控除が年間110万円なので、その金額を超える111万円の贈与をして贈与税の申告書を提出し納税(111万円なら1,000円)をしておくことで贈与契約書に代えるということです。

この方法には一つ問題があって、それは前段で説明した贈与が成立しているかどうかの要件、「あげました」「もらいました」を贈与税の申告書では説明できないという点です。

あくまで贈与税の申告書は贈与税を計算し申告をするための書類であって贈与契約書ではありません。

実際に贈与が成立しているかどうかとは贈与税の申告をしているかどうかは別の問題となります。

反対のことも言えて、贈与は成立しているけれど贈与税の申告はしていないこともあるでしょう。

贈与税の申告をしているから贈与が成立しているとは言えない、というです。

また財産の管理状況もカギとなります。特にお孫さん名義で預金通帳を作りそこにお金を振り込むまではいいものの、そのお通帳と印鑑を贈与したおじいさん、おばあさんが保管しているとどうでしょうか。

ご本人があずかり知らないところでそれが実行されている、かもしれないとみられる可能性はあります。そうなると贈与契約書はホントに間違いないのか、ということにもなりかねません。

実態としてキチンと「あげました」「もらいました」でおカネが動き、それが記録として残り、財産の管理を贈与を受けた本人がしている(未成年の場合には親権者)ことが大切です。

疑いの余地を減らす効果

なぜこれほどまでに丁寧に贈与契約書を作って確定日付を取ってという手順を踏むかと言うと「贈与が成立してないんじゃないか」という疑いを減らすためです。

このように疑うのは相続税の税務調査のときになるのですが、もし仮に「贈与は不成立、名義が変わっているだけなので亡くなった人の財産です」とされるとせっかくの相続税対策も意味をなさなくなります。

このように名義が親族になっているだけで贈与は不成立、相続財産として足し戻します、という内容の税務調査の是正が実は相続税の税務調査では指摘されることが多いです。

むしろ相続税の税務調査ではこの名義預金と呼ばれる財産がないかどうかの確認が最近ではメインになりつつあります。

相続税対策で贈与をしている場合には相続税の申告が必要になりそうなぐらいの財産が遺されることが考えられますし、場合によっては税務調査が亡くなってから2~3年以内に行われることとなります。

贈与が不成立です、あげたつもりなだけです、とされてしまうとせっかくの贈与が効果をなくしてしまいますので、疑いの余地をなるべく減らしておくのが一番効果的です。

丁寧に対応しておくことで疑いの余地を減らしていくことが相続税対策における贈与のポイントと言えます。

まとめ

相続税対策での贈与は気軽に行える反面、贈与じゃないと言われたときのダメージがかなり大きくなります。

名義財産となった場合には遺産分割をその財産について行う必要もでてくるでしょうし、相続税が増えることにもなります。

リスクマネジメントとして贈与を行う際のポイントを押さえつつ丁寧にやっていきましょう。丁寧にやって損することはありませんが、雑にやると損することに繋がります。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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