こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
ご自身で帳簿付けをしている方は定期的なチェックをしておくことがオススメです。
どのようにチェックをするかというと、抜け漏れがないことや預金残高もそうですが推移もあわせてチェックしてみましょう。
月次推移とは
月次推移や推移表と呼ばれる帳票が会計ソフトを利用していると大概そなわっています。
この月次推移とは事業年度開始から事業年度末までの毎月の推移を表したものです。定期的に帳簿付けが出来ていると推移表を見ることでいろんなことに気が付くことができます。
例えば毎月の売上金額の推移を一年間を通してみてみる。売上の波があるのかないのか、自分の体感よりも多いのか少ないのか、などをみることができます。
数字の羅列だと把握しづらいという場合にはグラフ化してみるのもいいでしょう。
このように一年間の事業に関する数字を月ごとにみることができるのが月次推移のいいところです。
月次推移でなにを見るか
では帳簿付けの観点からどういった点を月次推移からチェックすればよいかというと、抜け漏れやタイミングのずれがないか、ということをみておくのがおすすめです。
毎月のいわば決算のような形で売上、仕入、経費、利益が表示されています。
例えば借りているテナントがあって毎月家賃の支払いをしているとしましょう。
地代家賃の項目を見て計上されていない月がある場合には月次推移を眺めていると気が付きやすいです。
こういった形で表示されます。いまが7月だとして1月からの推移を見てみた場合、
4月に地代家賃が計上されていません。
こうなったときに確かに支払ったことが通帳などから確認できるのでしたらひょっとしたらほかの勘定科目に間違って計上しているかもしれません。
通帳を見ても支払が確認できないのであればそもそも支払が漏れているかもしれません。
毎月決まった内容を支出している場合にはこのようにして推移をみることで抜け漏れがないかの確認がしやすくなります。
また普段よりも計上されている金額が大きい場合にはこれは何だろうというチェックも働きます。
こういう感じです。
消耗品費が4月にいつもよりかなり多く計上されています。支出の内容をチェックして10万円以上のものがないか(減価償却の対象になるものがないか)の確認等をしましょう。
売掛金や買掛金も同様に増えたり減ったりしている状態から異常値がないか、ということをチェックしていきます。
よく見かけるのが売掛金や買掛金を計上出来ているけれど入金や支払いのときに売上や仕入れにしてしまって2重計上しているパターンです。
4月末に(売掛金)/(売上)110,000円(請求書だしたけど入金はまだ、売上計上の状態)していて
5月末に入金されたときに(普通預金)/(売上)110,000円 としてしまうと売上の二重計上です。
正しくは5月末入金時は(普通預金)/(売掛金)110,000円 としなければいけません。いつまでたっても売掛金が残ってしまいます。
こういったことがないかをチェックしていくのが帳簿付けのあとのやるべきことのひとつです。
推移をみることで「普段とは違う状態」を発見しやすくなりますので是非トライしてみましょう。
未収・未払・前払・前受の計上ができないか
月次推移を眺めているとこういう状態になることがあります。
4月の末で本来は引き落としされるはずだった社会保険料が5月に引き落としされている、という状態です。
引き落とし日の関係でこうなってしまっただけで本来で言うと4月に計上されるべき法定福利費が5月にダブルで計上されています。
この状態を4月に計上しようと思うと未払として計上することで解消できます。
4月の末の時点で(法定福利費)/(未払費用)200,000円として計上をし
5月の支払の時点で(未払費用)/(普通預金)200,000円
とすると未払費用を計上していますので4月に法定福利費が計上できます。
このように本来は前月の経費なのに引き落としの関係で今月に計上しているものがあったり、また反対に来月の費用だけど前払いしているみたいなものを処理する際には経過勘定科目という項目を活用します。
未払費用:まだ払ってないけれど今月の費用
未収収益:まだ貰ってないけれど今月の収益
前払費用:もう払ったけど来月の費用
前受収益:もう貰ったけど来月の収益
これが理解できて活用できると帳簿付けのレベルが2つぐらい上がります。こういった項目がないか月次推移でチェックしていきましょう。
まとめ
月次入力を完了して一区切りついたら月次推移で毎月の売上や経費、経過勘定、売掛金、買掛金をチェックしてみましょう。
総勘定元帳よりもチェックがしやすく、抜け漏れや異常値に気が付きやすくなります。
経過勘定科目を活用することでより適切な月次の損益も見えてきます。