こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
遺言書がない場合には相続人のみなさんで遺産を分割することについて相談し合意をすることで遺産分けができるようになります。
この手続きを遺産分割協議といいますが、ある日突然、遺産分割協議書に実印を押すことを要求された、みたいなことを耳にすることがあります。
遺産分割協議に入る前に確認しておきたいことを整理して丁寧に対応していきましょう。
遺産分割に至るまでの大まかな流れの把握
遺言がない場合には相続人で遺産の分け方を決める、ということを冒頭でお伝えしましたがお亡くなりになってからの大まかな流れを把握しておきましょう。
お亡くなりになる
葬儀が執り行われる
市役所関係の手続きをする
お亡くなり時点の財産の状況を把握する
財産目録を作成する
財産目録をもとに遺産分割協議をする
協議が成立したら協議書に署名押印
協議書をもとに遺産分けをする
おおまかな流れとしてこのように進んでいくことがオーソドックスです。
上記はあくまで一例で、金融機関の口座を早く解約する必要が出てきた場合には相続人全員に署名押印を銀行所定の書類に記載すれば解約、名義変更が遺産分割協議前に可能です。
また不動産だけ先に遺産分割をしたりということも可能です。
ただ全体像を把握して遺産分けの話し合いをしたほうが後で財産が出てきた場合などにややこしくないでしょうし、全体を見ての判断がしやすいかと考えています。
特段の事情がなければ財産目録を作成して誰が何を相続するかを決めるのがスムーズです。
またコロナ禍もあって相続人が遠方に住んでいる場合など一か所に集まって相談して決めるというのが難しい場合もあります。
以前は初盆や年末年始などお亡くなりになった後にお集りのタイミングがあればそこに合わせて準備をすることが多かったです。
そのような場合にはインターネットサービスやテレビ電話のような機能を使って話し合いの場所を設けるということでもよいでしょう。大事なのは相続人みなさんで合意が得られたかどうか、です。
財産目録の提示があるか
遺産分割をする際に財産目録の提示があるかないか、ここは大きなポイントです。
亡くなった方の財産がいくらあってそのうちいくら相続することになるか、全体像を見ないと中々判断しづらいかなと考えています。
民法には法定相続分という相続人に確保された割合がありますが、この割合で相続しなければいけない、というわけではありません。
相続人の方全員の合意が得られているのであれば、私は何も相続しませんという形でも問題はありません。(相続放棄とは異なります)
反対に亡くなった方の世話をした貢献等に応じて特定の人が100%、もしくは多く相続することもみなさんが合意しているなら問題ないです。
相続税も全体からスタートして税金を計算しますが、相続税の申告が必要でも必要でなくても、遺産分けをするにあたっては財産目録を準備しておきたいところです。
では誰が財産目録を準備するかというと代表相続人とされる方やその方から依頼された専門家ということになります。
財産目録を準備することも慣れないことで大変ですのでそのあたりへの配慮、気遣いもあると遺産分割のときに揉めにくくなると思います。
やはり遺産分割の場において隠し事があると後々で遺恨になるケースも多いですので、財産は包み隠さずオープンにして分割協議に臨むのがよいでしょう。
実印を押すとあと戻りしづらい
遺産分割協議が成立して協議書に署名押印したとします。
あとでふと「この分け方は気に入らない」等が出てきたときやり直しできるか。基本的には法的な効果が確定した段階でやり直しはできませんが、相続人が全員やり直しについて合意すれば再協議はできます。
自分一人だけではやり直しはできないということです。
また分け方を再協議して成立することそのものは可能ですが税金の問題が出てきます。再協議して遺産分割協議をやり直した場合には贈与の問題が出てくることになります。
財産を隠されていた、相続人全員が参加していなかったなど遺産分割協議そのものが無効になる可能性もありますが、自分で署名し押印したのであれば手首をつかまれていたわけではないでしょうし遺産分割のやり直しはかなりハードルが高いです。
それもあって実印を押す際にはキチンと自分で理解して納得して行う必要があります。
その理解して納得するための遺産目録、財産目録だと考えるとより見え方が変わってくるのではないでしょうか。
まとめ
遺産分割協議そのものはご自身の両親のときに2回ほどしか経験をしません。
わからないことがあるから適当にハンコをついてしまうとあとで取り返しがつかないことにもなりかねませんので慎重に丁寧に対応することをお勧めしています。