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漫画家・同人作家が相続人になったとき

フリーランスのクリエイターが相続人になると、何が大変なのか

親御さんが亡くなってから、「相続の手続きをしなければ」と気づいたとき、会社員の方なら忌引き休暇という制度があります。ただ、フリーランスの方にはそういった制度がないのが現実です。

相続手続きには期限が決まっているものがあり、コミケや即売会のシーズン、あるいは確定申告の時期と重なってしまうと、特に大変だという声はよくお聞きします。

また、感情的にもつらい時期に、事務的な手続きが次々と積み上がってくる——そういう現実があることを、まず最初にお伝えしておきたいと思います。この記事では、そういったクリエイターの方が相続人になったときに知っておいてほしい内容を整理しています。

目次

まず知っておくべき相続手続きの3つの期限

相続手続きで特に気をつけてほしいのが、次の3つの期限です。知らないまま過ぎてしまうと取り返しのつかないケースもありますので、早めに把握しておきましょう。

相続放棄・限定承認:3か月以内

親に借金がある場合、財産と一緒に引き継ぐことになります。「プラスの財産だけ受け取る」という選択はできませんので、まず親の財産・負債の状況を早期に確認することが大切です。

親の財産を全く相続しない手続きを相続放棄といい、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を引き継ぐ手続きを限定承認といいます。

3か月というのは意外と短く、「知らないうちに期限が過ぎてしまった」というケースも少なくありません。

親御さんと疎遠になっていて借金(連帯保証を含む)の状況がよくわからない、もともと引き継ぐつもりがないという場合には家庭裁判所に申し立てて手続きをする必要があります。

準確定申告:4か月以内

亡くなった親御さんの「その年の確定申告」を、相続人が代わりに行う手続きが準確定申告です。

親御さんが年金を受け取っていた方、不動産収入があった方、あるいはフリーランスだった方は特に注意が必要です。

ご自身の確定申告と混同してしまうことがありますが、全く別の手続きですので、それぞれ分けて管理するようにしてください。

所得税の申告内容が還付になっていてなおかつ相続税申告がある、という場合には同じタイミングで申告をすることはあります。

相続税申告・納税:10か月以内

相続財産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に、相続税の申告・納税が必要です。

10か月というと長く感じるかもしれませんが、財産の調査・評価・申告書の作成を考えると、余裕があるわけではありません。

資金が用意できない場合のために延納・物納という制度もありますが、要件がありますので早めにまずは申告が必要かどうかを確認しておくことをおすすめします。

クリエイターならではの「相続財産の特殊性」

漫画家・同人作家の方が相続人になったとき、一般的な相続と違う論点がいくつか出てくることがあります。

親が著作権を持っていた場合——著作権は相続財産になる

親御さんもクリエイターだった場合、著作権が相続財産として評価されることになります。著作権の財産評価は複雑で、著作物からの収入の継続期間や過去の販売実績などをもとに算出します。

「誰が著作権を相続するか」を相続人の間で明確にしておかないと、後から印税の受取権限でトラブルになるケースもありますので注意が必要です。

親の財産に「クリエイター活動への貸付金」が含まれる場合

活動資金として親から借りていたお金が、親の相続財産に含まれるケースです。借用書や返済実績がない場合、「贈与だった」と認定されるリスクがあります。

こういった内容が出てくる場合は早めに税理士に相談することをおすすめします。

クリエイターの場合で収入が少ない時期や安定しない時に、親からの支援を受けているケースはあります。

もとから贈与であればよいのですが資金のやり取りが貸し借りになっている認識だと親の立場からすると「返してもらえるもの」となり、すなわち相続財産になり得るということです。

相続した財産がクリエイター活動に影響するケース

相続した財産の種類によって、翌年からの確定申告や日々の帳簿管理に影響が出ることがあります。

不動産を相続して賃貸収入が発生した場合

賃貸収入が発生する場合、翌年から不動産所得として確定申告に加算が必要です。

これまで事業所得だけだった方が不動産所得も管理することになりますので、帳簿の区分管理の方法を改めて確認しておくことが大切です。

株式・金融資産を相続した場合

相続後に売却した場合は譲渡所得の申告が必要になります。また、NISA口座はNISA口座としては相続できないという点や、特定口座の扱いについても確認しておく必要があります。

活動用に使いたい不動産(自宅兼作業場)を相続した場合

例えば実家を相続して作業場・アトリエなどとして使う場合には、固定資産税や減価償却の扱いが出てきます。

また小規模宅地等の特例との関係も確認しておくべき点です。要件を満たすかどうかで相続税の計算に大きく影響することがありますので、早めに確認しておきましょう。

まとめ——期限と「クリエイター特有の論点」を先に知っておくだけで動き方が変わる

「相続が発生してから相談する」では、すでに期限が迫っているというケースが多いです。

親御さんが高齢だったり、持病がある段階から「もしものときの準備」として早めに相談しておくことには大きな価値があります。

相続手続きは期限との戦いでもあります。3か月・4か月・10か月という3つの期限を手帳に入れておくだけでも、動き出しのスピードが変わります。

著作権・不動産・貸付金など複雑な要素が絡む場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。「後から気づいた」では対処が難しくなることもありますので、この記事をきっかけに一度整理してみていただければと思います。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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