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相続人に成年被後見人がいる場合の注意点

成年被後見人

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

社会が高齢化しつつあるいま相続人の方もその流れと合わせて高齢化しつつあるように感じます。

高齢化すると認知症となるリスクもありますし、認知症が進んでくると成年後見制度を検討するシーンも増えます。

相続人に成年後見を受けている人(成年被後見人といいます)がいる場合の相続の注意点について整理しておきましょう。

 

目次

遺産分割協議の注意点

成年後見を受けている方が相続人にいらっしゃる場合にはご本人が遺産を分けたり契約をしたりという意思能力が低下しているのでサポートが必要です。

 

どういったサポートになるかと言うとまず基本は成年後見をしている人がいるのでその人にまずは連絡すること。

 

というのも相続の手続きの際には各種書類に押印や署名をしたり、必要な書類を相続人の方にそろえていただく必要があるからです。

 

こういったことを成年後見を受けている本人に代わって行うのが成年後見人という立場の人だ、ということを理解しておきましょう。

 

財産の整理ができて相続人の確定ができた時には遺言がない場合、遺産分割協議という手続きで誰が何を相続するかを相談して決めます。

 

この相談して決める部分については成年被後見人の場合はご自身の意思表示が難しいので、家庭裁判所に分割案を提出して承認を得る必要があります。

 

通常であれば相続人同士で決めて遺産分割協議書に署名押印をすれば遺産を分割した協議が成立しますが、その段階を踏めないので家庭裁判所に「こういった内容で分割しようと思っているけどOKか」と聞く、そんなイメージです。

 

無事にOKの返事がもらえたら分割協議書に署名押印をして遺産分割協議が成立します。

 

この際の遺産の分割割合は基本的に法定相続分が原則です。意思表示ができない本人の財産を守るというのが成年後見制度の趣旨のひとつですので民法で決まっている割合の確保が必要です。

 

では法定相続分が確保できているならどういう分け方でも良いかと言うとそういうわけでもないようです。

 

成年後見を受けている人が住んでいる住居が相続財産に含まれる場合にはその住んでいる住居について持ち分を入れて分割協議をするように指導されることがあります。

 

これはご本人がその家に住む権利として必要であるということと、成年後見制度の趣旨のもうひとつである身上監護という部分にも合致しています。

 

もし住んでいる住居を将来的に売却する予定であっても、遺産分割をする時点での成年被後見人の権利を守るという方向性になりますので分け方を考える際には注意が必要です。

 

また兄弟姉妹が相続人の場合には複数の相続人が成年後見を受けている場合があります。

 

この場合には各相続人の居住している場所を管轄している家庭裁判所において遺産分割協議案の確認が必要となりますのでスケジュールにも注意が必要です。

 

高齢の方でお子さんがおられず親世代が亡くなっている場合には兄弟姉妹に相続人がスライドしますが、高齢である相続人同士で同世代であることが多いのでこういったことにも最初の段階で注意して確認をしておきましょう。

 

相続人に成年被後見人のかたがいらっしゃる場合には相続税申告のスケジュールに大きく影響しますので、事前のスケジュール共有などはより丁寧に行うようにしています。

 

税務申告の注意点

遺産分割協議がまとまったらそれを元に相続税の申告書を作成します。この際にもいくつか注意点があります。

 

障害者控除の適用

相続税額の計算においては障害者控除の制度がありますが、成年後見制度と結びついていないことがあります。

 

障害者控除の適用が可能となる人は

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方(国税庁HPより抜粋)

とされており、成年被後見人のかたは該当しますので特別障害者の区分により障害者控除の金額を計算できます。

 

障害者控除を適用した際に控除しても控除しきれない部分がある場合には扶養義務者の相続税から控除することが可能ですのでこの点の検討も忘れずに行いましょう。

 

申告書に押印する人は誰?

あとよく聞かれるのが署名押印は誰がするのか?ということですが、成年後見をしている人が署名押印をします。

申告書の氏名の欄において

〇〇(相続人の氏名)
成年後見人 〇〇

と併記をするかたちで記載し、もし押印をするのであれば成年後見人の印鑑での押印となります。

 

マイナンバーについては成年被後見人本人のマイナンバーを記載します。

 

成年被後見人がいることについての書類の添付ですが必ずしも必要という訳ではないようで、遺産分割協議書案についての家庭裁判所の審判書の写しが添付されていれば記載内容を見ればわかります。

 

ほかに後見開始についての審判書や後見されている方の登記事項証明書を添付する方法もありますので状況に合わせて成年後見人のかたと打ち合わせしながら添付をすればよいでしょう。

 

まとめ

相続税申告は10ヵ月以内に申告書を取りまとめて提出するスケジュールをもとに様々なことを決めていきます。

成年被後見人の方が相続人にいらっしゃる場合には通常とはスケジュールが変わってきますので注意して他の相続人や成年後見しているかたと共有するようにしています。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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