こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続税申告や手続きについて時々ご質問いただくのが残高証明書がないと駄目ですかという内容のことです。
基本的には相続手続きにおいては残高証明書を取得しておいた方がいいとお伝えしており、その理由を解説します。
財産の確定のため
相続手続きを行う際には財産を確定させる必要があります。相続税申告においても財産をもれなく計上するというのはとても大事です。
例えば金融機関に普通預金口座を持っている場合、一見すると残高証明書は不要で通帳があれば事足りると思うかもしれません。
ただそのお通帳一冊だけが本当に亡くなった方のその金融機関に預けている財産であると言い切れるでしょうか。
遠方に住んでいる両親の通帳の管理や他に通帳がないか口座がないかそういうことの確認というのは意外と難しいです。近くにいても通帳をどこにしまっているのか、他の支店の口座がないかなど確認していない方も多いのではないでしょうか。
残高証明書を取得することでその金融機関における口座の存在をもれなく確認することができます。
後で残高証明書を取ってみたときに別の支店の口座がぽろっと出てきたり、出資金が実は残っていて遺産分割協議の対象になる財産だったということも往々にしてあります。
こういった財産の計上漏れを防ごうと思うと残高証明書が一番確実です。そのためご相談があった場合にはを通常ではなく残高証明書があったほうがより確実ですねというお話をすることが多いです。
残高証明書がないことで発生する不具合
もし残高証明書がないとどうなるか、ぽろっと把握していなかった財産が出てきた場合にどういうことになるでしょうか。
別の支店の口座があって財産が残されていた場合にはその際さんが遺産分割協議の対象となるかどうか、遺言執行の対象となっているか確認が必要です。
遺産分割協議書において既に合意がなされていて相続人全員の署名押印がされている場合において、そこに記載されていない財産が出てきた場合の取り扱いが その取り扱いに従うことになります。
文言としては「本協議書に記載していない財産が後日判明した場合には法定相続人で法定相続分通りに取得することとする」といった文言が入っているケースにおいては後から財産が出てきた場合にもそのように分けることができます。
もし仮にこういった文言がなくあとから出てきた財産について遺産分割協議において取扱いを定めていない場合には、その後から出てきた財産について再び相続人でその財産分けるための分割協議を行う必要があります。
相続税申告においても申告書を出した後に判明した財産については相続税の課税対象となるものについて計上しなければいけませんので、財産を計上した上で再計算し修正申告書を提出という流れになります。
もし仮に相続する人が決まっている場合においても相続税申告書は亡くなった人の財産が増えることになりますので、相続税全体への影響があり財産を取得する人だけが相続税申告をすれば良いというわけではありません。相続税自体が増えると財産を取得した人だけではなく他の相続人の相続税額にも影響しますので注意が必要です。
相続人が複数いる場合は慎重に
特に相続人が複数いる場合で相続手続きを任されている相続人がいる場合には慎重に対応する必要があります。
相続人が一人であればどんどん手続きを進めていっても特に問題はありませんが、相続人が複数いる場合には分割協議をする際に財産目録を作成して財産を開示しておく必要がありますのでもれなく目録を作りたいところです。
もし財産目録に漏れがあると隠したのではないかと疑われたり疑心暗鬼になってしまう相続にも中にはいます。
そうなってしまうとまとまる分割協議もまとまりませんのでやはり慎重に対応すべき部分にはなるでしょう。
亡くなった方が遺言を残している場合で相続人が遺言執行者である場合にも、遺言執行者の責任として財産を守れなく分割手続きをする必要がありますのでやはり財産目録を作成することがお勧めです。
疑われてしまうと連名をする必要もあるでしょうしそういったことがないようにするために慎重にかつ丁寧に対応していきたいところです。
まとめ
相続税申告を含む相続手続きにおいて残高証明書と取得しておきたい理由と、もし取得してない場合に起こるかもしれないことを確認しました。
財産を確定させる、もれなく財産目録に計上するというのは他に相続人が要る場合は特に慎重に丁寧に対応することをオススメしています。