こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
事業が好調なフリーランスの方ですと、消費税を含んだ売上高の合計額が1,000万円を超えてくることもあるでしょう。
その超えた年の2年後から消費税を納める事業者になりますが今までは売上に含めていたであろう消費税を納めることになるので納税資金の資金繰りを念頭において準備をしておいたほうがよいです。
消費税の納税義務と計算方法の基本のおさらい
消費税の納税義務が発生するのは自分で納税義務者になりますと選択した場合以外で考えると課税売上高(※)が1,000万円を超えた2年後からになります。
2020年の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、2022年分から消費税を納める事業者となり、2022年分の確定申告をする2023年においてはじめて消費税を納めます。
(※)課税売上高とは
消費税の課税対象となる取引の売上高でほとんどがこれに該当します。
では納めるべき消費税の計算方法を確認しておきましょう。
原則は売上に伴って収受した消費税から仕入れや経費に伴って支出した消費税を差し引く、引き算での計算です。
売上に係る消費税-仕入・経費に係る消費税=納める消費税
この計算式が原則です。原則があれば特例もあります。
課税売上が5,000万円以下の場合には「簡易課税制度」という消費税の特例計算の方法を採用することができます。(適切な時期に届出が必要です)
この簡易課税制度により納めるべき消費税の計算をするときには掛け算で消費税を計算します。
売上にかかる消費税-売上にかかる消費税×業種に応じたみなし仕入れ率=納める消費税
という計算式です。
みなし仕入率は業種に応じて90%~40%に定められており営む事業の種類に応じて決まります。(複数業種を営む場合などはみなし仕入率の特例もありますがここでは割愛します)
簡易課税制度による消費税の計算は売上にかかる消費税がベースになりますので計算が簡易です。
例えばWebサイト制作をしているフリーランスの方でしたらサービス業でみなし仕入率50%となります。売上にかかる消費税が200万円だとしたら、その50%の消費税100万円を納める計算となります。
仕入・経費にかかる消費税については考慮しませんので計算が簡便ですし自分が納めるべき消費税がいくらぐらいになりそうか把握しやすいメリットがあります。
ただし簡易課税制度により納めるべき消費税が多くなる不利な状況もあり得ますので選択に際しては注意が必要です。お近くの税理士にご相談ください。
消費税納税のための準備
フリーランスの方の多くが仕入・経費が少なく消費税の計算上は簡易課税制度を採用したほうが有利になることが多いです。
この場合には納める消費税の計算が分かりやすいので資金繰り対策をしやすくなります。
消費税の納税は所得税の確定申告時期と同じタイミングですが所得税よりも多くなることがあり一時に納付すると負担感が強くなります。
そんなときにおすすめしているのが税金を納めるための目的別口座を作成する方法です。
インターネット銀行の住信SBI銀行やGMOあおぞら銀行では口座開設をすると、その口座内で目的別口座を設定することができます。
資金繰りを考えるとこの納税準備用の口座に一定金額を入金しておくと負担感が減ります。
例えば上記の例でフリーランスの方でサービス業、簡易課税制度を採用している場合を考えてみましょう。
2021年1月の売上が132万円(税込)だった場合には納めるべき消費税はいくらになるでしょうか?132万円(税込)なので消費税は10/110を乗じて計算することができ12万円となります。
これが2021年1月の売上に係る消費税です。
簡易課税制度のサービス業ですのでみなし仕入率50%とですから、12万円×50%=6万円(単純計算)となり、2022年の3月に納めるべき消費税の1月分は6万円となります。
この金額を1月の売上が入金が完了したタイミングで納税資金用の目的別口座に移し替えておくことで、事前に納税分をプールすることができます。
将来に払うであろう消費税を確保し、残った金額でやりくりをするというのは資金繰りを考えるうえで大きなポイントとなります。
確定申告時期にドカンと大きな金額を納めることより事前に準備しておいたほうが負担感は少なくなります。同じ金額を払うにせよ心とおカネの準備ができていることの安心感は大きく異なります。
お客様にはこのような形で消費税を納める準備をすることをお伝えしています。
まとめ
確定申告時期に消費税を一気に百万円納めるのと、毎月8万円ずつ準備しておくのでは金額は同じでも感じ方は大きく異なります。
資金繰りのためにも将来支払うことが確実なものは自分の手元から除外して事業運営をしておくほうが安心です。
個人に関わらず法人事業者の方も取り入れてみてはいかがでしょうか。