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路線価補正に係る申告事務の確認

路線価補正の申告事務

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

先日、国税庁からはじめて路線価の補正が決定されて公表がありました。路線価は毎年1月1日時点を基準として7月に発表されるもので、相続税や贈与税の計算において重要な指標です。

路線価補正が入ったことによる申告事務に変更点がありますので整理しておきます。

 

目次

2020年(令和2年)1月から6月まで

路線価は1月1日時点のものを例年7月1日に公表されます。1月1日に公表される路線価はその年の1月1日から12月31日における相続や贈与の税額計算等に使用されます。

 

令和2年7月1日に発表された令和2年分の路線価は令和2年1月1日から12月31日の間に使われるのですが、昨年の年明け以後、コロナウィルスの影響が経済に大きく影響しています。

この影響が大きく地価に影響を及ぼしていることが確認されたため、地価を基準に決定公表される路線価にもその影響を加味するため路線価補正が決定されました。

 

この補正についての適用対象期間は、令和7月から9月となっており、令和2年1月から6月の相続・贈与については路線価補正をしません。

 

令和3年2月2日に国税庁から新型コロナウィルス感染症の影響により、令和2年分の確定申告期限の延長が発表されています。これにより贈与税の申告期限は令和3年4月15日となりました。

よって、令和2年分の贈与税の申告で令和2年1月から6月までの贈与の分は申告期限は令和3年4月15日ということです。

 

2020年(令和2年)7月から9月分

2020年7月から9月までの相続・贈与を対象にして、以下の地域については路線価補正を行います。

 

心斎橋筋2丁目:0.96

宗右衛門町:0.96

道頓堀1丁目:0.96

となっており、他の地域は路線価補正の対象外です。この路線価補正は相続・贈与もそうですが、非上場株式の相続税評価額の計算における純資産価額方式の計算においても考慮されます。

 

路線価が仮に500,000円だとした場合には500,000円×0.96=480,000円となります。

それほど大きくないと思うかもしれませんが、㎡単価の話ですのでこれがもし300㎡の土地の話であれば、

路線価補正前:500,000円×300㎡=150,000,000円(1憶5000万円)

路線価補正後:500,000円×0.96×300㎡=1,440,000,000円(1憶4400万円)

となります。その差額は600万円です。

 

路線価補正の対象地域について2020年7月から9月までの相続・贈与が対象となり、特に贈与については1月26日に公表されていることから申告期限の延長はありません。

令和3年2月2日に国税庁から新型コロナウィルス感染症の影響により、令和2年分の確定申告期限の延長が発表されています。これにより贈与税の申告期限は令和3年4月15日となりました。

 

2020年(令和2年)10月から12月分

地価が下落していることが確認されれば、前述の大阪の対象地域のほかに愛知県名古屋市なども路線価補正の対象地域になる可能性があります。

 

2020年10月から12月の相続・贈与に係る路線価補正の有無と対象地域などは4月に発表される予定です。

 

この期間に行われた贈与についての申告は個別延長の申請により申告納付期限の延長を受けられます。具体的には4月の公表時から2か月間とされています。

 

申告事務の選択肢としては2つあります。

その期間の贈与があった場合には路線価補正の公表まで贈与税の申告納付を待つか、先に路線価補正前の金額で申告をしておいて公表において対象地域と補正率が判明した段階で更正の請求を行うか。

 

路線価補正の対象となる可能性がある、地価が15%以上下落しているとされる地域は以下のようになっています。(2020年9月末時点)

愛知県名古屋市中区錦3丁目:▲16%

大阪府大阪市中央区心斎橋筋2丁目:▲23%(路線価補正対象)

大阪府大阪市中央区千日前1・2丁目:▲19%

大阪府大阪市中央区宗右衛門町:▲23%(路線価補正対象)

大阪府大阪市中央区道頓堀1丁目:▲23%(路線価補正対象)

大阪府大阪市中央区道頓堀2丁目:▲19%

大阪府大阪市中央区難波1・3丁目:▲19%

大阪府大阪市中央区難波千日前:▲17%

大阪府大阪市中央区日本橋1・2丁目:▲17%

大阪府大阪市中央区南船場3丁目:▲17%

 

既に路線価補正がなされている3か所も10月から12月分の路線価補正率は変更になる可能性があります。

 

また黄色アンダーラインの地域については可能性が高いと思われるので、これらの地域について贈与税の申告が必要な場合にはどのように申告事務を対応するか確認しておきましょう。

 

まとめ

実務的には10月から12月の相続贈与で対象地域の場合は2回申告(期限内申告と更正の請求)よりも個別延長制度を利用して申告を一回で済ませるほうが現実的です。

個別延長の場合には申告書提出時が納付期限となりますので、申告書提出と納税のタイミングを打ち合わせる必要があります。(申告と納税を同日または納税を早めに)

いずれにしてもイレギュラーな対応が続きますので対象地域に不動産をお持ちの方は注意してみておきましょう。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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