京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続人がおひとりで財産を相続する場合と、複数人いる場合とでは相続手続きなどの流れが少し異なります。
相続される方がお一人の場合と複数人の場合で何が違うのか解説します。
相続人がひとりの場合
相続人の方がおひとりの場合にはすべての財産を相続することになるわけなので必要な手続きをどんどん進めることができます。
相続人が複数いらっしゃる時とスピード感という意味では全然異なってきます。
複数人の相続人がいる場合には、遺産分割協議という財産を誰が相続するかを相続人同士で相談して決める(遺言がない場合)手続きが必要となります。
相続でもめることがある場合にはこの遺産分割協議において話し合いがまとまらずに、誰が何を相続するか決まらないことが圧倒的に多いです。
色んな主義主張があるのでそこに立ち入ることはないのですが、決めないことには財産を分けることができません。
相続人がおひとりであればそもそも話し合いをする余地がありませんので手続きとしてはかなりスムーズに進みます。
相続税の申告に必要な残高証明を取る手続きと同時に名義変更や解約の手続きも同時に進めていくことが可能です。相続税申告において必要な手続きの案内はもちろん行うのですが、解約や名義変更も一緒に手続きを進めてもらうようにお伝えしています。
相続財産から相続税を支払う予定のある方の場合には解約手続きも同時に進めていきたいところです。
ご自分おひとりで相続をするという場合には以前にも記事にした法定相続情報一覧図を取得しておくとその書類とご自身の印鑑証明書、実印でほとんどの手続きを進めていくことができます。
相続人が複数の場合
前で少し触れましたが、相続人が複数いて遺言書がない場合には誰が何を相続するかという分割協議を経て財産をそれぞれが相続する手続きに入ります。
皆さん同じく等分にするのか、遺産の構成内容によっては等分が難しい場合もあります。
皆さんで欲しいものがバラバラであればまとまることもあるのですが、欲しい財産と欲しくない財産がかちあってしまうと、自分はあれば欲しいけどあれは欲しくない、不動産はいらないなど話がまとまらないことが多々あります。
話がまとまらないことにより大きな影響を受けるのが実際の財産の分割です。
金融資産は分割協議を成立させて分割協議書を作り提出するか、金融機関所定の用紙に相続人全員で実印を押して解約するしかありません。
揉め事が起きている場合においては相続人が全員で実印を同じ書類に捺印するというのがそもそも難しいケースも多いです。
制度として金融資産の一部を分割協議を経ることなく解約する手続きができるようになりましたが、これをするとさらに揉め事が悪化する可能性もあり、実際に行うべきかどうかは慎重に判断した方が良いでしょう。
相続人が複数いて少しでも揉め事の可能性が考えられる場合には遺言書の作成をお勧めすることも多いです。
遺言書があれば相続人間で揉め事がもしあっても遺言がまず優先されるので、遺言通りに遺産が分割されることになります。
遺言の作成をお勧めしてもなかなか手が進まない方もいらっしゃるのですが、私の経験上は遺言書を作成して後悔したという方は今のところいらっしゃいません。
万が一の備えのための遺言ですから、気持ちが変わったら撤回することもできますし、家族の状況や財産の状況に応じて変更することも可能です。
健康不安が出てから遺言を作成する方もいらっしゃるのですが、お元気なうちに考えておいて欲しいことの一つです。
まとめ
相続手続きは金融機関が多ければ多いほど、手続きが煩雑になり、また期間も長くなります。
金融機関ごとに所定の用紙などが異なるため類似する内容の書類を何枚も記載する必要もあり、また日中に金融機関窓口に出向く必要がある場合もあるので、早めに着手することをお勧めしています。
相続人がひとりの場合と複数人の場合とでは、手続きのスムーズさが異なります。