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相続税の試算のポイント 財産の分け方で税金が変わる

分け方で税金がかわる

京都の若ハゲ税理士ジンノです。

相続税の試算・計算をする上で最も注意しなければいけないのが、財産の分け方で税金が変わるという点です。

誰が相続しても相続税が同じであれば全く問題ないのですが、誰がどんな財産、もっというと土地を相続するかで相続税の金額全体に影響します。

相続対策において遺産の分け方を考えておいたほうがいい理由はここにありますので、ポイントを解説します。

 

目次

相続税計算における特例のひとつ、小規模宅地の特例

相続税の計算や試算をする際に小規模宅地の特例を適用して計算するかどうかが大きなポイントになります。

 

小規模宅地の特例を簡潔に説明すると

居住用や事業用の土地についてそのまま相続税を課税してしまうとその土地を処分しないと相続税が納められない可能性があり、家や事業を継続してもらうために一定の要件を満たした場合には、相続税の計算上はその土地の価額を減額しましょうという 内容です。

 

例えばご自身が住んでおられる住宅が一戸建ての場合、夫婦二人で居住していたとします。

5000万円の土地だったとしてこの5000万円の土地にまるまる相続税を課税することになると、仮に配偶者が相続した場合にその家に住み続けることができなくなる可能性が高まってしまいます。(相続税を納めるために不動産を売却するという選択をする可能性が高くなるからです)

 

このように不動産特に土地について一律に課税をすると、財産を相続してもらうことに支障が出る可能性があるので、特例について設定し一定の要件を満たした場合には、土地の価額を減額するという対応が取られています。

相続税計算への影響

ここで少し計算してみましょう。

 

土地5000万円、建物1000万円、金融資産4000万円、持っている方が亡くなったと想定します。ご家族は配偶者と子供が一人という構成だとします。

 

相続財産の合計額は1億円、法定相続人の数は2人(基礎控除3000万円+600万円×法定相続人の数2人 =4200万円)となります。

 

ケース1

小規模宅地の特例の適用がなく、配偶者と子がそれぞれ1/2ずつ相続した場合

 

1億円 − 4200万円 = 5800万円

5800万円 × 1/2 = 2900万円

2900万円 × 15%  − 50万円 = 385万円

385万円 × 2人=770万円

 

金額を簡潔にするため、配偶者の税額軽減については考慮していません。一億円の相続財産に対して770万円の相続税が課税される計算です。

ケース2

小規模宅地の特例を土地について適用し、配偶者と子がそれぞれ1/2ずつ相続した場合

 

土地5000万円については面積要件を満たしている(330㎡)として、配偶者が取得するものとして80%の減額の適用があるものとします。

 

5000万円 × 80% = 1000万円

相続財産の合計額は1000万円+1000万円+4000万円=6000万円という計算となります。

 

(注)実際の土地の価格が1000万円になるわけではなく、相続税を計算するためだけの土地の価格が減額されます。売買の価格とは切り離して考えてください。

 

6000万円 − 4200万円 = 1800万円

1800万円 × 1/2 = 900万円

900万円 × 10% = 90万円

90万円 × 2人=180万円

 

という計算になります。金額を簡潔にするため、配偶者の税額軽減については考慮していません。1億円の相続財産(相続税計算上は6000万円になりました)に対して180万円の相続税が課税される計算です。

小規模宅地の特例が相続税額に与える影響というのがお分かりいただけたかと思います。

誰が相続するか→相続税が変わる

相続税額に与えるインパクトが大きいからこそ適用できる要件というのは厳しくなってています。

 

特に貸付事業の用に供している土地及びいわゆる家なき子特例と呼ばれる居住用の土地については、適用要件がここ数年一層厳しくなっています。 

 

ご自身が営んでおられる事業の用に供しているような土地や居住用の土地については相続税額が高く課税される可能性が高いので、可能であればこの小規模宅地の特例を適用したいところです。

 

ただし要件の一つに誰が相続するかという部分もあり、分け方で相続税が変わるというのはこの部分を指していることが多いです。

 

私自身はいつもお客様には相続対策は三本柱、納税対策・分割対策・節税対策この順番で取り組んでいきましょうとお伝えしています。

 

財産の分け方についてどのように考えていくか、これによって大きく相続税が影響されますので、どのように分けたいかというの点も、相続対策をする上では重要性が増してきます。

まとめ

税金がゴールかと聞かれるとそれだけではなくな遺産の分け方は皆さんが納得できる理由であれば税金が払えるのであればよいと思う方もいらっしゃるのが現実です。

 

相続対策の難しさというのはこの部分にあると私は考えています。ご家族の数だけ相続の考え方があるのでご家族でしっかりと話し合いをする機会を持つことが重要です。

色んな相続対策は世に溢れていますが、税額にどれくらい影響するのか、皆が納得して遺産を引き継ぐことができるのかは非常に重要なポイントです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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