このようにお考えのフリーランスの方も多いかなと思います。
税理士も個人事業主が多いので自分で経理して入力するんですが、入力が好きな税理士はあまり多くありません。
税理士が自分で自分の経理入力作業をする際にはとにかく効率化して、要は面倒臭くない様にサクッと終わる方法でやっている場合が大半です。(ソフトの研究目的で色々試している人は多いでしょうが)
本日は私自身も実践していて、フリーランスの方にもおすすめできる経理入力作業の方法をお伝えします。
キーワードは現金、Excel、連動、の三つです。本日は現金についてとりあげます。
簿記の知識が少しある方向けの内容となっています。弥生会計に入力できているならついてこられるハズです。
(事業用の)現金をなくすというご提案
フリーランスの方にお話を伺うと、よく聞くのがこんなことです。
現金商売をする中小企業の方もそうですが、フリーランスの方にも意外と多いのかなと。
現金が帳簿上と手元のあり高と合わない
↓
修正に時間がかかりストレスが溜まる
↓
経理入力作業をやりたくない
この悪循環を断たなければなりません。
フリーランスの方によくよくお伺いすると、お財布が2つある、というかたも多いです。
要はこういうことかなと。
考え方としてはあっていますよね、「お仕事のわたし」と「プライベートのわたし」に分けて考える必要があるのは正しいのですが、こと現金に関しては2つあると管理が大変です。
ぴらっと何かの拍子にレシートが出てきたとして、このレシートが仕事用のお財布から支払ったのか、プライベート用のお財布から支払ったのか、よく分からない、結果経費にしない、みたいなこともあり得るかなと。
専門的なお話をすると、事業用に現金がある限り現金出納帳という帳簿で現金の出し入れを正確に把握する必要があります。正確に把握するとは帳簿上と実際の現金残高が合っている、ということを意味します。
普段から現金勘定を使っている方でも残高を気にする方は少ないかなと。時折、現金の勘定科目がマイナスになっていることがありますが、会計上は現金マイナスはあり得ないので、この時点で帳簿に不備があることになります。
そう考えると管理の手間というのは一層増えますよね。管理の手間はストレスに繋がります。
お財布がひとつでも帳簿上と実際の現金が合わないことがあるのに、2つにしたら難易度が上がるんじゃないかと思うのですがいかがでしょう?
ここは思い切ってお財布をひとつにしましょう。
事業用に現金を用意しているから合わなくなって、経理入力作業に対するモチベーションが低下するので、事業用の現金をなくしましょう。
ではどうやって事業用の現金をなくすのか、経理はどうすればいいのか、掘り下げていきます。
アナタの手元にあるのはプライベートのお財布だけ
いまお財布が手元にあるとして、そのお財布をプライベートのお財布と位置付けましょう。
プライベートのお財布から事業用の経費を支払った、そういう風に捉えます。
ここで登場するのが事業主勘定という勘定科目です。具体的には事業主貸(じぎょうぬしかし)と事業主借(じぎょうぬしかり)という科目で、これは個人事業主・フリーランスの方のみの独特の科目です。
事業主勘定とはいわば「プライベートのわたし」と読み替えるとスムーズに理解できます。
例えば、プライベートのお財布からお仕事の打ち合わせで使用したカフェ代を出したとしましょう。
お財布が2つある時代にはこんな感じの入力になるかなと。
6/19 (会議費)500
/(現金)500 ○○カフェ 打ち合わせ
これがお財布がひとつ、プライベート用のみの場合には
6/19 (会議費)500
/(事業主借)500 ○○カフェ 打ち合わせ
となります。
現金が事業主借に代わっていますね。この入力内容は事業用経費の支出をプライベートのお財布から借りた、もしくは立て替えたということを意味します。
事業用経費の支払いをプライベートのお財布で立て替えている状態です。
立て替えているのでおカネを返そうとする心優しい人がいらっしゃいますが、自分が自分におカネを返しているだけなので、特にいいですよね?
具体的な経理処理
いま現状、お財布が2つ、事業用とプライベート用がある場合にどんな経理処理をするか具体的にお伝えします。
お財布を1つにする処理
2つのモノをひとつにするだけなのですが、お手元の現金はそのままガッチャしましょう。
お財布はひとつです。
会計上の処理としては、例えば事業用のお財布の中身が1万円なら
(事業主貸)10,000
/(現金)10,000
これでOKです。
この処理の意味するところは、事業用の現金をプライベートの私に貸し付けた、ということになりますが、お財布はひとつになるので貸し借りはあってないようなものです。(なので精算はしません、するとややこしくなります)
事業主勘定は深く考えすぎるとドロ沼にはまっていきますから、こんなもんなんだなと思っておいてください。
経費を支払ったとき
前述していますがおさらいしておきましょう。
あなたの手元にあるお財布から事業用の経費を支払いました、文房具を買ったとします。
(消耗品費)1,000
/(事業主借)1,000
手元にあるお財布で事業用の経費を支払ったら、現金の代わりに事業主借を使う、この認識で十分です。
手元のおカネが減ってきたとき
おカネは使うともちろん減ってきます。減ってきたおカネをどこから補充するのか。
事業用の預金口座があると仮定するとこんな処理になります。
(事業主貸)10,000
/(普通預金)10,000
この会計処理の意味するところは、事業用のおカネからプライベートのお財布におカネを入れた、ということになります。
現実には預金口座から1万円をひきだして手元のおカネが増えているのですが、ここで現金勘定を使うと元の木阿弥ですから、現金の科目を使うのはこらえてください。
現金で売上を受け取ったとき
基本的に現金で売上を受け取らずに、振り込んでもらうことも多いかなと思いますが、相手次第なところもあるでしょう。
もし現金で仮に売上3万円を受け取ったときの会計処理はこうなります。
(事業主貸)30,000
/(売上)30,000
現金の科目を使うのはここでもこらえてください。
手元のおカネが増えたら(事業主貸)、おカネが減ったら(事業主借)、これをしておくと事業用の現金はない、ということになりますから、帳簿上と手元の現金残高を合わせる必要はなくなります。
事業用の現金はない、という会計上の処理になっているからです。
事業主貸と事業主借については、最終的に清算されるので、残高は気にしなくて良いです。
現金を減らす方法は他にもある
手元に現金があるだけで面倒を感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこから一歩先に進もうと思うと、手元の現金自体をなくすキャッシュレスに取り組む必要があります。
クレジットカードもキャッシュレスの一形態ですが、いまはイロイロな決済方法がありますよね。
スマートフォンを使ったQRコード決済なんかが今非常にはやっていますが、フリーランスの方がキャッシュレスに取り組む場合には、会計ソフトとの連動がカギを握ります。
マネーフォワードやfreeeというクラウド会計システムをお使いであれば、連動することの快感を感じてもらえるかなと思うのですが、連動すると何が素晴らしいか。
それは入力作業自体を減らせる可能性があることです。
わたし自身も、預金通帳(インターネットバンキング)、クレジットカード、ICOCA(交通系ICカード)、スターバックスカードを連動していますが、現金以外の処理は基本的に連動してくれるので入力自体がそもそも少ないです。
連動については改めて記事をご準備しますのでお楽しみに。一気に取り組むと大変ですから、一歩ずつステップバイステップで取り組んでいきましょう。
おすすめ経理術のその②は、Excelを使った効率化をご紹介します。
まとめ
[box03 title=”本記事のまとめ”]- 事業用の現金はないものとする
- お財布はひとつで十分
- 手元のおカネが減るときは「事業主借」、おカネが増えるときは「事業主貸」
- キャッシュレス化も検討するとより効率的になる
いかがだったでしょうか。
現金があると管理の手間はどんどん増えていきますので、まずは事業用の現金をなくす、というところからはじめてみましょう。
フリーランスの方の経理処理の土台作りもサポートしておりますので、マンツーマンでのサポートをご希望の場合にはスポット相談・個別コンサルティングをご検討ください。