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手元資金の目安、セーフティラインを考えておく

中小企業にとって最大の懸念は、お金がなくなり資金繰りが苦しくなることです。

資金繰りの不安が発生するのは手元に資金が少ない状態が見えたときと、将来的にいくら払う必要があるのかを把握していないときです。

赤字が続いてもキャッシュがあれば会社は潰れません。逆にキャッシュが少ないと、黒字であっても潰れることがあります。いわゆる「黒字倒産」というものです。

事業をしている限りは、お金の流れというのは把握しておきたいところですし、それをどういう想定でキャッシュの流れを把握するか、どういう想定をしておくかも大事です。

今回は手元資金の目安、セーフティラインについて少し書いてみたいと思います。

目次

悪い状況を想定しておく

事業が好調であっても、あまり変わらなくても、事業がどういう風に来年、再来年、5年後、10年後、状況が変わっているかはわかりません。

もっと言うと3ヶ月後、半年後もわからないというケースはあるでしょう。

ただ、「こうありたい」と思う姿と今とのギャップを埋めるために、計画を立てたり、資金を準備したりということは決して無駄ではなく、「どうありたいか」を考えるというのはとても大事です。

その「どうありたいか」を考えたときに、もし万が一、売上が全くなくなってしまうような事故やアクシデントが起きて、何ヶ月も売上がなくなってしまうということを仮に設定したとしましょう。

その時に支払うべきものは優先順位があるはずです。

もちろん、先延ばしできるものがあれば先延ばしにしたほうがいいですし、売上に連動する形で支払いがあるものについては、売上が0になれば基本的には仕入れも0になるはずです。

優先的に確保すべき支払い

そういったことを考えると、もし万が一売上がゼロになったときに、どこから優先的に支払いを確保しておきたいかということで、手元の資金を考えてもらうのもおすすめです。

例えば、人件費だったり、社会保険料、その他売上に関係なく発生する支払いもあると思います。固定費とよばれるものですが、そういったものの中で優先順位をまずは見つけてみてください。

売上がなくなったからといって簡単に従業員を解雇できるわけではないでしょうし、事業を再生し立て直すためにも従業員の力というのは必要なケースも多いでしょう。

例えば、3ヶ月分の人件費がどれぐらいになるか、3ヶ月あれば立て直しの糸口がつかめるのかどうか。

そういったこともぜひ資金繰りを考えるときには頭の片隅において金額を考えてみてほしいと私は考えています。

他にも社会保険料や税金など、滞納すると事業が立ち直らなくなるかもしれないというところについては、やはり優先的に支払いを確保しておくためのキャッシュがあったほうが良いです。

手元資金の目安

そういった意味もあって、例えば月商3ヶ月分の手元資金があればセーフティと言われますが、それは事業によっても違ってくると思います。

例えば、人件費がメインのところであれば、その人件費が3ヶ月分払えれば何とか立て直しができるということであればそれです。

もっと保守的に考えて6か月分キャッシュがあったほうがいいと思うのであれば、そこを目標にして資金繰りを考えるということも必要です。

逆に卸売業など1回の金額が大きい場合には、3ヶ月分の月商のキャッシュというのは確保するのがなかなか難しいケースもあると思います。

業種によって様々あるのですが、やはりベースとしては1ヶ月分、3ヶ月分、6ヶ月分で考えておくのがおすすめです。

セーフティラインの目安

1ヶ月分を切ってくる:黄色信号よりかは赤信号に近い状態です。何か少し歯車が狂ったり、入金するタイミングがずれると、一気に資金繰りが苦しくなるケースが多いです。

3ヶ月分の金額:ある程度は事業を立て直したり、売上が全くゼロになったときの手当てもしやすいと思います。

半年分のキャッシュ:一般的には半年分のキャッシュがあれば、キャッシュとしては十分で、借入も必要に応じてやっていただいても良いし、なくても大丈夫と言われるベースラインに近づきます。

まとめ

手元資金は、企業の命綱とも言える重要な経営指標です。一般的には月商の3〜6ヶ月分が目安とされていますが、業種や事業の特性によって適切な水準は異なります。

大切なのは、「もし売上がゼロになったら」という最悪の状況を想定し、その際に優先的に支払うべき費用(人件費、社会保険料、税金など)を明確にしておくことです。

自社の状況に合わせた適切なセーフティラインを設定し、日々の資金繰り管理に活かしていただければと思います。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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