今の時期は年末調整の時期ですが、一方で扶養是正などの通知がある頃合いでもあります。
扶養是正というのは扶養に入れていた配偶者や親族の所得の内容から「扶養親族や配偶者控除の対象ではないのでは」という連絡確認のことです。
扶養是正があり扶養に入れている親族の所得の内容を確認すると税務上の扶養の範囲から外れていた、という場合には修正をする必要があります。
ほかにも配偶者控除や配偶者特別控除を受けていた配偶者が期限後申告などで申告のし直しをすることで所得の内容が変わり、配偶者控除などが外れることになった、というケースも見かけます。
こういった場合の影響について整理しておきます。
配偶者や扶養親族など当人の影響
申告をするご本人への影響としてはまず所得税と住民税への影響がでてきます。
申告のし直し等がある場合には特に、所得税の確定申告を行うケースが大半ですが(住民税の申告だけをするケースは今回は省略します)、所得税の申告のやり直しをするぐらいなので税額は増えるはずです。
いわゆる本来納めるべきだった所得税のことを本税といいますが、その不足分で納める分と、期限までにその本税を納めていなかったことによる利息的な部分として過少申告加算税が課されるケースがあります。(金額等の条件により課されないこともあります)
申告のやり直しで所得税を納めることになる場合には、その申告のやり直しの分の申告書を提出した日が納付期限です。
過少申告加算税や延滞税などは別途税務署から通知がありますので、その内容に基づいて納付をすることになります。
住民税はというと、勤め先で給与がある場合には基本的に給与から天引きされている(特別徴収と言います)ケースが多いと考えられます。
この場合は特別徴収部分の金額の変更措置が入りますので勤め先の給与から引かれる住民税の金額が変わることになり、勤め先に住民税の金額が変わったこと(=何らかの理由で申告のやり直しをしたこと)が伝わることになります。
仮に申告のやり直しで給与+副業の副業の部分を申告する場合には、副業部分にかかる住民税は自分で納付する方式(普通徴収と言います)を選ぶこともできます。
副業分の申告のやり直しをする際には副業分の住民税は普通徴収にすることを申告の際に忘れないようにしてください。
所得税確定申告書の2表の下部に選択する箇所があります。
給与+副業で副業部分の申告のやり直しをする際に、給与のほうで社会保険に加入(協会けんぽの健康保険と厚生年金)している場合には、副業(事業所得または雑所得)の所得については影響しません。
社会保険に加入していない場合で申告のやり直しにより社会保険の扶養から外れる場合には、市区町村から国民健康保険と国民年金の通知が届きます。
扶養に入れていた人への影響
申告のやり直しをするご本人側の処理を前段で確認しましたが、反対にその申告のやり直しをする人を扶養に入れていた人にも影響が及びます。
所得税も住民税も配偶者控除や扶養控除が外れることになれば、所得税と住民税の金額に修正が入ります。
扶養に入れていた人の所得が変わることによって扶養控除が受けられなくなるわけですので基本的にいずれの税金も増額です。
勤めていて給与所得の場合には勤め先に扶養是正通知が届くことになり、ご自身で確定申告をしている場合にはご自身宛に税務署から通知がきます。
所得税に関しては勤め先で扶養是正される際に所得税の追徴分が徴収されますので給与の手取りが減る可能性があり、確定申告の場合は修正申告で対応することになるのが一般的です。
住民税については給与から特別徴収されている場合にはその金額の修正が市区町村から勤め先に通知されますので天引きされる金額が増えることにより手取りが減ります。
普通徴収の場合には確定申告の内容に沿って普通徴収分の通知が市区町村からその申告をするかたに直接連絡、通知が届きます。
社会保険に関しては勤めている場合で社会保険の扶養にもはいっている場合にはそれが外れることになりますが、社会保険料は扶養の人数により金額に変更がないため影響がありません。
勤めている場合で給与所得の場合には勤め先に通知がいくことになりますので、自発的に処理をするというよりも通知の通りに処理される、という認識でよいです。
個人事業主の場合には修正申告などが必要になりますが、配偶者控除や扶養控除の内容を修正(要は扶養を外す)だけなので特に難しい内容にはならないと考えられます。
まとめ
申告のやり直しなどにより扶養に入っていたひとの所得の内容が変わると、ご本人のみならず、扶養に入れていた人の税額計算にも影響します。
もちろん申告のやり直しがないほうが望ましいですが、やむを得ずそういうことがあるのであれば影響としては大きいので納税資金等の準備も含めて適切に対応しましょう。