スモールな規模の会社の社長さんや中小企業であっても、自前で経理している場合も多いでしょう。経理といっても、取引の内容を帳簿にするという行為が必要になりますが、お客様が入力したものを確認していると、残高が合っていないという状態をよく見かけます。
税理士としてお客様の帳簿を作る際にも同じなのですが、残高を合わせるということは、帳簿付けにおいて最初の一歩であり、とても大事なことですので、今日はその辺を少し解説してみたいと思います。
残高を合わせるとは
よく聞くと思います。「残高を合わせる」「残高が合っていないですよ」ということですね。こういったことはどういう状況で起きるかというと、例えば売掛金であれば、請求書の入金や請求書の発行状況と帳簿の内容が合っていないという状態です。
帳簿の内容としては、売掛金が例えばマイナスになっている場合には、売上で計上した売掛金よりも多く入金処理をしてしまっている状態になります。
他にも普通預金であれば、預金口座の内容として通帳やインターネットバンキングの明細があります。これらの通帳や明細の内容と帳簿の内容が合っていないというケースは、残高が合っていませんということになります。
他にも帳簿とそれぞれの帳票書類の内容が合っていないと、残高が合っていませんねという話になるわけです。
こういったことがあると、そもそも決算に進みませんので、まずは残高が合っているということを確認する必要があります。
他にも例えば借入金であれば、借入金の返済予定表の金額の残高と帳簿の内容との合計が合っていないと、ズレが生じているわけです。
残高が合っていないというのは、要はズレが生じていると考えてもらって構いません。
それが生じていても、利益の計算が合っていればいいじゃないかと思うかもしれませんが、そもそも資産や負債の金額にズレが生じているという状態は、資産負債の状況だけで完結するものではありません。
複式簿記の特徴で損益計算書、売上や経費の金額にも大きく影響していますので、どちらかが合っていてどちらかが間違っているということではなく、ズレが生じているのであれば、他にも間違っている可能性があるということを念頭に確認をしておいたほうが良いです。
残高を確認する方法
残高にズレが生じているかはどういうことかということをお伝えしました。なぜそういう状態が放置されがちなのかというとチェックをしていないことが大きな要素としてあり得ます。
自計化している方の場合、入力内容を確認していない人が結構な割合でいらっしゃるのですが、そういう状況だと、例えば料理に例えると、食材を買ってきたけど料理せずにそのまま煮込んであまり美味しくないカレーができたみたいな状況です。
手間がかかっていないため出来上がったものとしてはあまり良くない状態です。要は不具合があるということですね。なので、チェックをするという習慣をつけていただくのがオススメです。
日々データ連携や入力、取り込み等も含めて帳簿付けをしていると思います。その帳簿付けをした内容をチェックする方法として、まずは貸借対照表という資産と負債の項目を確認することをお勧めします。
借入金を例に少しやってみましょう。借入金の返済を普通預金から行っているとします。
入力内容としては金額をそのまま入力しているだけで良いかもしれませんが、借入金の返済には元本と利息の部分がありますので、両方を借入金の返済にしていると、借入金の残高が間違ってズレていくことになります。
そのため、入力した内容として、資産負債の内容から普通預金と借入金の残高をまず確認します。
その帳簿の金額と借入金の返済予定表に残高が書いてあるはずですので、こちらを合わせて確認をする。ここにズレが生じているのであれば、何かしら間違っている可能性がありますので、それを解消していくというのが月次決算や決算における重要なポイントになります。
入力しっぱなしだとチェックされていませんので、税理士としてはそういったものの信頼性はかなり低いと言わざるを得ません。入力した後にチェックをする癖をつけてみましょう。
まとめ
経理において残高を合わせることは、正確な帳簿を作るための基本中の基本です。売掛金や預金、借入金など、帳簿の数字と実際の書類の数字にズレがあると、それは単なる一部の間違いではなく、損益計算にも影響を及ぼす可能性があります。
日々の入力作業は大切ですが、それ以上に大切なのは「チェックする習慣」です。
貸借対照表を確認し、帳簿の残高と帳票書類の残高を照らし合わせることで、間違いを早期に発見できます。入力しっぱなしではなく、確認するという一手間を加えることで、信頼性の高い経理データが出来上がります。まずは残高を合わせることから始めてみてください。