不動産の売却をした場合にはまず利益が出ているかどうかの確認を行います。そのために必要な情報の収集について整理しておきます。
買ってきたときの不動産の情報を確認
売却した不動産の利益を計算するときには以下のような計算となります。
売った値段-買った値段=利益、です。
売った値段は直近ですから契約書等ですぐにわかるはずです。お金の入金もありますし。
買ったときの情報が重要です。
不動産の取得価額(買ってきたときの値段)は、土地の部分は変わらず建物は減価償却という手続きで買ってきた値段が減少していきます。
この買った値段を分解すると、土地の部分+建物の部分-減価償却分という形になり単純に買った値段にはなりませんので注意が必要です。
もうひとつ買った値段の注意でいうと相続により引き継いだ不動産の場合には、買った値段と価額を引き継ぎます。
仮に祖父母や父母から相続した場合には、その祖父母が購入した時の価額と時期を引き継ぐという意味です。
なので買ったときの価額がわかる契約書なども相続財産として引き継いだ場合には最初に購入したときの契約書が必要となります。
買ったときの不動産の売買契約書が最も確かに価格を確認するための資料ですのでこれがあるのとないのとでは大きな違いになります。
何とかして取得時の契約書を手に入れられないかというのをお願いすることはあります。
場合によっては譲渡損になっていて実際には申告が必要じゃなかったかも、という場合でも契約書がないと確認できないので申告をしているケースはあり得ます。
とても大事な書類ですので保管はしておきたいところですが無くなってしまった場合、相続したときにはすでに書類の所在がわからないということもよくあるのです。
かつては土地などの権利書は大事なもので契約書と一緒に自宅の金庫や仏壇回りに保管されていることが多かったようです。最近はそういうことをしなくなったので余計に書類の所在が分からないということは増えているというのが現場の実感としてあります。
こういった場合でもあきらめずに売買相手に契約書が残っていないかどうか、当時の売り出し時の資料やローンの契約書でも参考になる部分はありますので購入時の金額がわかるものを探し出すことを検討してみてください。
買った値段がわからない、契約書がない場合の対応
どうしても買ったときの資料がない、情報がないということもあります。現場の対応としてはいくつか選択肢があるのでどの方法を取るかを検討することになります。
概算取得費を使って計算する方法
買ったときの情報がない、わからないのであれば概算取得費で計算してもいいよというルールがあります。
ただし売った値段の5%しかみてくれませんので、譲渡所得税が多額にかかる可能税がとても高いです。
市街地価格指数を使って計算する方法
市街地価格指数という指標がありそれをベースに取得価額を推定する方法があります。あくまで指数なのでどこまで確からしいかと聞かれると疑問符がついてしまいます。
参考程度に使うのであれば問題ないとは思いますが、市街地価格指数で取得価額を計算していると税務調査がはいり結果的に審査請求しても勝てる見込みが薄いです。
なのであまりお勧めしません。
取得当時の路線価を使って計算する方法
売却した不動産の所在によっては購入時にも路線価が付されているケースはあります。路線価は国税庁がリリースしている情報ですのでその情報を使っているわけですから否定しづらいという側面はあります。
ただしこの計算方法は場所を選びます(古い年代の路線価は都市部の一部にしか付されていない)ので注意が必要です。
不動産鑑定評価を使って計算する方法
不動産鑑定評価を用いて取得価額を計算してもらう(不動産鑑定士に)という方法もあります。
この場合は不動産鑑定費用がかかるのと、合理性に欠く内容になってしまっていると税務署側でも鑑定評価を入れることができますので争いになる可能性はあります。
相続においても財産評価の場面で鑑定評価を入れるかどうかを検討することがありますが、鑑定評価を入れる特別な事情があるかなどを見ていく必要があり、いわゆる通達評価でやりなさいとなった裁決もあります。
まとめ
どの方法でもある程度のリスクはあり、あくまで推測などに基づいているケースもあるので注意が必要です。
最も確かなのは売買契約書での実際の価額の確認ですのでそこをまずはおさえておきましょう。