まだタイミングじゃないな、という方はぜひ毎月末の事務所通信メルマガ(無料)の登録をこちらから!

確定申告時期によく見聞きした消費税申告の勘違い

確定申告時期によく見聞きした消費税申告の勘違い

確定申告時期は税務相談従事で普段の自分のお客様以外のかたの税務相談を見聞きする機会がとても増えます。

そんな中で今年はインボイス制度が始まって初めての個人の確定申告時期でした。よく見聞きした消費税に関する勘違いについて整理してお伝えします。

目次

インボイス制度そのものの勘違い

インボイス制度に登録すると消費税の課税事業者になります。今まで免税事業者で売上1,000万円に届かなくても、です。

そのため相談従事の際にはインボイス制度に登録したかどうかの確認をします。

登録している場合には過去の売上も含めて確認して消費税の計算方法を確認する、という流れです。

インボイス制度登録をすると自動的に簡易課税で消費税計算ができる、と考えている方が一定数いました。2割特例という計算の仕方がややこしさを生んでいる可能性はあります。

いままで免税事業者でインボイス登録により課税事業者になった場合には、消費税の計算方法の選択肢は2パターンです。

原則課税方式による計算か、2割特例の適用による計算

簡易課税方式による計算か、2割特例の適用による計算

いずれかになります。

インボイス登録をしたら消費税の課税事業者になる、ということはわかっていてもどの期間が消費税計算対象かどうかがわかっていないケースもよく見かけました。

インボイス登録により課税事業者になった場合には、10月から12月の売上が2023年分の消費税の確定申告の対象期間です。

消費税申告の2割特例に関する勘違い

インボイス登録で消費税の課税事業者になった場合には2割特例により消費税の計算ができます。

ただしこれは消費税の免税事業者がインボイス登録した場合の特例なので、そもそも課税事業者の場合は選択できません。

この勘違いは結構な割合で見かけました。

消費税計算上は有利になることが多い2割特例ですから、適用したくなる気持ちはよくわかりますが、そもそも課税事業者の判定がまずは大切です。

消費税の課税事業者かどうかの判定は個人事業者の場合は2年前の売上を見ることになりますので、2023年の判定は2021年の売上を見る必要があります。

相談会場でいざ課税事業者かどうかの判定をしようとしても去年、つまり2022年の確定申告書の控えはあるけれどその前のものは持ってきていない、というケースがとても多かったです。

1,000万円超えてたかどうかは非常に重要な情報なので勘違いしないためにも、3年分ぐらいの確定申告書の控えは相談に行かれる際には持っておいたほうがよいでしょう。

経理方式と未払い分の計上

経理方式は税込経理方式か税抜経理方式のいずれかになりますが、個人事業主のかたで税抜き処理をしているケースはまれです。

実際、わたしがこの確定申告時期で相談に応じた方のなかに税抜経理で帳簿付けをしている方はいませんでした。

税込経理をしていることを前提にすると消費税納税金額を未払い計上するかどうかを決めてもらう必要があります。

仮に2023年分の消費税額が10万円だとすると、その10万円はまだ支払っていませんが2023年分の消費税額です。

そのため、未払い計上して2023年の租税公課に計上するか、もしくは支払った2024年に経費計上するかのいずれかです。

意外とこの説明がたいへんというかご理解いただくのに時間を要したことがあります。

そもそも発生主義での帳簿付けである未払いや未収処理をしている方が少ないケースもあるためだと考えられます。

まとめ

いままでは消費税の免税事業者だった方は特にはじめての消費税の申告でわからないことがたくさんあった、という方も多い印象です。

わたしが従事していたところではインボイス登録をしたら消費税の納税申告が必要になるということそのものをご存じでない方はいませんでしたが、どう計算したり何が必要かは具体的に知らない方はいらっしゃいました。

自分が消費税の課税事業者かどうかインボイス登録したあとの対応などはいまいちど整理しておくのがよいでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

目次