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税制改正大綱より 特例承継計画提出期限の延長

税制改正大綱より 特例承継計画提出期限の延長

昨年の税制改正大綱(2024年以降の税金のルール変更)で法人の事業承継税制について変更がありましたので整理しておきます。

ただ変更があったとしても事業承継税制の適用には慎重な判断が必要です。

目次

特例承継計画提出期限の延長

事業承継税制は中小企業の事業承継、つまり後継者へのバトンタッチをスムーズにしようという意図で設立されました。

具体的には会社の株式を後継者に贈与または相続して引き継いでもらうときに税金を猶予又は免除してもらう、という内容です。

事業承継税制の中身としては2パターンあり、一般と特例があります。より有利なのが特例承継で一定の計画書を提出してそれに沿って対応することが必要です。

株式の移転にかかる税金の優遇ですからそれなりに要件は厳しく、リスクもあります。こちらは後ほどお伝えするとして。

今回の税制改正大綱の中身で、特例承継計画の提出期限が2年間延長されました。

これにより令和5年3月末の提出期限が延長されて令和7年3月末に計画書の提出期限が延長される見込みです。

時間的な猶予ができたように見えますが、この特例承継計画の実施期限は令和9年12月末ですから計画実行の期限は延長されていませんので注意が必要です。

計画書を作る→計画書を提出期限までに提出する→計画を実行するという流れでおしりの部分である計画を実行するところは延びていないということ。

よりスケジュールがタイトになる可能性はありますので、もし適用を検討する場合にはスケジュール管理がより重要性を増します。

日本税理士会連合会ではこの計画の実行期限も延長してもらうべく働きかけをしていくとのことです。

今後の動向には注目しておきたいですね。また続報があればお知らせしていきます。

中小企業の株式にかかる税金が猶予又は免除されるというのは当事者の社長や後継者の方にとってはかなりインパクトが強いです。

というのも中小企業の経営者や創業者の相続税計算上、会社が好調であればあるほど株式の価格は自然と上がっていくものですから相続税もそれに比例して増えていきます。

ちょっと聞いただけでも事業承継税制、うちも使えないかなと感じるかもしれませんが、適用後はかなり高いリスクを生み出しますので適用には慎重な判断をすることをお勧めします。

予期せぬことでこの事業承継税制が注目されることが去年に起こりましたので軽く触れておきます。

事業承継税制のリスク

去年は芸能界でスキャンダルが多く、某有名アイドルグループの騒動もその一つでした。

その中でアイドルグループの創業者のスキャンダルで会社の存続危機があり、所属タレントなどの相次ぐ離脱などもあって非常に注目された事案があります。

実際に事業承継税制を適用していたかどうかは定かではありませんが、後継者のかたが社長を退任しないとかいろんなことへの憶測のなかで、どうやら適用しているのではないか、という話がもちあがります。

社長を退任しないというのは事業承継税制を継続適用するための要件の一つになっているからです。

税金の優遇措置は適用できるものはもちろん適用していくのは問題ありませんし、税理士としてもアドバイスすることは多々あります。

ただ、創業社長のスキャンダルなどで予期せぬ事態が起きた時に、事業承継税制の適用が外れることはあり得ます。

むしろ外部要因というよりも内部要因のほうがリスクが高いともいわれており、そういう理由で適用には慎重になったほうがよいです。

事業承継税制の打ち切り事由に該当すると、猶予されていた贈与税や相続税の支払いとともに本来支払うべきものを猶予して先延ばしにしていたぶん、利息に相当する延滞税などの支払いが発生します。

これが本税といって贈与税・相続税の本来納めるべき税金が高額であればあるほど自然と延滞税も高くなるわけです。

こういったことは以前から農地の納税猶予においても発生していて、納税猶予を受けた農地を処分しようにもかなりの相続税と延滞税を支払うことで処分ができず、用途が農地に限定されるような事態が頻発しています。

事業への制限はもちろんのこと、打ち切り事由に該当しないように事業をコントロールする、というのは経営上のリスクです。

なによりもそういったことを常に気にしつつ事業運営をするというのはハードルが高くなりますし、思い切ったこと例えば業種転換などもむずかしくなります。

税金を猶予してもらう、免除してもらうというのはその分リスク度合いが増す、という認識でいてもらったほうがよいでしょう。

まとめ

税制改正大綱の内容の一つである事業承継税制の特例承継計画提出期限の延長と事業承継税制のリスクについてお伝えしました。

計画提出期限が延長してもリスク自体は変わりがありませんので、適用するかどうかの判断は慎重に慎重を重ねたほうがよいです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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