ときおり顧問先などでも経理部門の不正に遭遇したり、ニュースでも横領の話を目にする機会があります。
こういったお金に関する不正や横領が発生する理由と対策について少し考えてみましょう。
大きなお金を触るので魔が差す
ある程度の規模の会社になってくると経理担当の方を置くことがあります。大きな会社だと何人もいるのでおかしなところに気が付きやすいですが、非上場の中小企業だと一人とかはざらです。
そうなると普段の自分の給料を超えるような大きな金額の振り込みだったり、現金の取り扱いが頻繁に出てくることがあります。
そのときに魔が差してしまうわけです。
目の前に大きなお金がある、自分しか管理していない、お金が必要だ、となってしまうと目がくらみます。
お金にはそういうチカラがあるんだというのは皆さん重々承知しているでしょうけれど、目の前にポンとある状態は格別です。
そういったことが起こるかもしれない、というつもりでお金周りの管理を考えておく必要があります。
現金についても同じく、少しぐらいならバレないだろうと周りのチェックがないとやはり思うことがあるようです。
振込金額は証憑書類があるのでそこから変更しないと改ざんができませんので、手間がかかります。
一度手を付けてバレなければエスカレートするケースが多いので、早めに気が付けるような頻度のチェックが望ましいです。
先日は報道で社会福祉法人の経理担当者が。自分宛ての給与の金額を明細記載の金額より上乗せして自分で振込していることが発覚したケースがあります。
計算や経理処理は経理担当がして、振込の処理は別の担当者や経営者が行うという流れであれば防げた可能性があり、ひとりに担当する業務を任せすぎるとこのようなことがおきます。
そのほかでいうと管理が甘いと売掛金の受取を現金で受け取って一部をくすねたり、二重帳簿を作って現金の金額を仮装したりとパッと見て気が付きにくい方法で不正を行うことも。
定期的なチェックと任せすぎない
例えば経理の方が一人でも社長が決済については必ず確認するようにしている場合はどうでしょうか。
経理の方が一人で振り込みなどをしているだけでリスクが高まります。
誰かの目が入るだけでこういったリスクは一定程度下がります。忙しい場合でもおろそかにしないほうが良い部分です。
また現預金の残高は通帳等で確認していますか?試算表だけを見ておけばよいと思っている方が時々いますがそれもリスクがあります。
というのも経理の方は普段数字を取り扱うことに慣れているわけです。改ざんしようと思えばいくらでも試算表レベルなら触ることができます。
数字の整合性をいかにとるかという部分も何とかやれてしまうケースがあり、資金流出に気が付かないことがあります。
通帳を改ざんするというのはある程度難易度が上がりますし、現金の残高と在り高のチェックは定期的もしくは任せているなら抜き打ちでチェックをしておくことのが望ましいです。
信頼している人であってもその仕事ぶりと不正チェックは別で考えておいたほうがよいでしょう。
たいがいこのような不正や使い込み、横領というのは「信頼していたあの人がまさか」というところから発生します。
請求書や振込金額がわかる書類と通帳等の支払金額の整合性があるか、間違いはないよと自信が持てる場合でも目を通しておくのがおすすめです。
経営者の方は疑心暗鬼になることもありますがあまりに疑ってかかると経理の方の信用を失って退職してしまうみたいなこともあり得ます。
チェックの一環として取り組むのがよいですし、顧問税理士がいるのであればどういう風に進めればいいか聞いてみるのもよいですね。
ひとりに任せすぎると魔が差した時に歯止めが利かなくなります。
こう言ってはなんですが見つからないように巧妙に隠し始めると発見が遅れますし、そういうことが出来るスキルを持っているのが経理のかたです。
お互いのためにもそういう不正が起きないような仕組みを考えたほうがよいです。
特に現金については税理士事務所側も気を付けて見ていることは見ていますが、現金監査などは積極的に関与しないケースも多いのでそちらもどう進めればいいのか相談しつつしくみをつくっていきましょう。
まとめ
もし不正や横領が発生してしまうと法的な対応はもちろんですが会計上のダメージは大きいです。信頼しているひとだと精神的な部分での辛さもあるでしょう。
こういったことを防ぐためにも仕組みから考えておくことが大切です。あるかもしれないとおもってお金の流れや処理を改めて見直してみてください。