コロナ禍ではコミックマーケット(以下、コミケ)などの対面イベントが減っていましたが、最近は徐々に会場設置、対面でのイベントが増えつつあります。
コミケ会場などで物販を手売りするときの経理、帳簿付けについて整理しておきます。
売上の把握
まず現場で販売するものが売上になりますのでその把握をする必要がありますが、現場ではお釣りの準備も必要でしょう。
お釣りの金額は会場に入る前に把握しておきます。
ざっくりとした説明になりますが、最初に金額が分かっていれば最後の金額との差額が売上とも言えます。
例えばスタートが30,000円分のおつりを準備して販売をしたとします。
販売が終わってお金のカウントをしたら155,000円でした。この場合は差額として155,000円-30,000円=125,000円となり、お金の受け渡しに間違いがなければこの金額が売上になるはずです。
昔ながらの商店などでは店先に籠がつるしてあってそこでお金のやり取りをしますが、こういったモノとタイプとしては似ています。
このように最初の金額と最後の金額との差額を使って売上を計算する方法をドンブリ勘定と言います。
反対にひとつずつのアイテムの販売数から売上を計算する方法もあります。
写真集:1,000円×販売冊数、みたいな形で売上をひとつのアイテムごとに計算してくやり方です。
販売数を把握するためにはいくつ持っていったかも大事ですがその場でいくつ売れたかの記録をつけておく必要があります。
メモでもよいのでレジ金庫などの横にいくつ売れたかを正の字やマス目のある用紙を準備して塗りつぶすのでもよいです。
ご自身が把握できていれば問題ないです。
販売アイテムごとに販売数を把握して売上を計算して把握した金額と、ドンブリ勘定で計算した金額は基本的に一致します。
複数日にわたって会場で販売している場合などは日毎の売上計上で問題ありません。
7/1 売上 120,000円 コミケ販売会場
7/2 売上 88,000円 コミケ販売会場
という形です。
経費の把握
経費として考えられるものはある程度限定されます。
アイテムの制作費、コミケ会場の会場費、デザインなどを外注しているのであればその費用などがメインになってきます。
またアイテムについては売れ残ったものもあると思いますのでそういう場合には棚卸しが必要です。
仮に90,000円で300個のアイテムを作ったとします。
会場で販売して100個残ったという場合にはこの分が棚卸しですので90,000円×100/300=30,000円という計算です。
棚卸ししたものについては次回に回すのであればそれでよいですし、ECサイトで販売する場合にはそちらに回すということもあるでしょう。
年をまたいで持ち越す場合には棚卸しの分は経費にならないので把握しておくことが非常に大事です。
年越しで持ち越すアイテムを棚卸ししていないと全部が経費になってしまいますので、利益が本来よりも小さくなり間違った状態になります。
棚卸の仕訳としては年一回、決算の時だけ棚卸をするという場合は
期首商品棚卸高/商品 →前の年から繰り越してきたもの
商品/期末商品棚卸高 →次の年に繰り越すもの
これにより、仕入だけだった仕訳が以下のようになります。
期首商品棚卸高 ✕✕円(この項目はプラス)
仕入高 ◯◯円(この項目はプラス)
期末商品棚卸高 △△円(この項目はマイナス)
売上原価 ☐☐円
インボイス登録が気になっている方も多いと思いますが、出版や取次を介してモノを販売しているわけではなく、会場で手売り、もしくはECサイトなどで直接消費者とやり取りする、という場合にはインボイス登録は不要です。
もし年間の売上が消費者であるユーザーのみで1,000万円を超えていても、売上の相手に事業者がいなければインボイス登録をしておく必要はないので注意しましょう
まとめ
コミックマーケットなど会場型のイベントも復活してきて、活動を少しお休みされていたかたもいらっしゃるかと思います。
丁寧に売上と経費を確認して計上しておくことで活動することへの不安も軽減されるのではないでしょうか。