相続税の申告期限は亡くなってから10カ月以内です。この期限までに申告をすることを期限内申告と言います。
申告が必要なことに気が付いていなかったりいろんな事情で期限内申告ができないかもしれない、という場合でも慌てずにやっておきたいことを整理します。
期限に間に合わなかった場合のデメリット
期限に間に合わなかった場合には申告もできておらず納税もできていない状態ですのでいわゆる無申告の状態です。
この状態で申告をしないまま時が経過して万が一税務調査になると、ペナルティ的な税金が発生し本来申告期限までに納めておけばよかった税金よりも多く納税することになります。
無申告加算税や延滞税などがペナルティ的な税金です。
これらを避けるためには申告しないといけなかったんだ、と気が付いた時点で早めに申告をして必要があれば納税をすることです。
納税がない相続税申告というのも存在していますが、申告をして初めて特例の適用がされるものがありますので、やはり申告は基礎控除を超えている場合には必要だと考えておきましょう。
相続財産を漏れなく把握することには時間と経験が必要です。
こんなものが相続財産になるんだ、というのものも一般の方だと分かりづらいことがあります。
不動産とある程度の金融資産をお持ちの場合には必ず自己で判断をせずにお近くの税理士や税理士会の相談会、または税務署で一度ご相談いただくのがよいでしょう。
申告期限までに分割が整っている場合、整っていない場合
申告期限を過ぎてから申告が必要だったことに気が付いた場合でもその後の経過としては2パターンあります。
ひとつが申告期限までに分割協議が整っている場合。
この場合には冒頭でお伝えした期限後申告をすることになりますが、期限後申告であっても分割協議が整っている、つまり相続人で財産の分け方が決まっている場合には各種特例を適用することができます。(小規模宅地等の課税価格の特例:措置法69の4の7 配偶者の税額軽減:相続税法19条の2の3)
ですので分割協議が申告期限までに整っている場合には3年以内の分割見込み書は必要ないですし、適切に期限後申告をすれば大きな問題にはなりません。
通常通り財産の計上漏れがないように財産を把握し計上して申告書を作り提出をします。
期限後申告の場合には申告書提出日が納税期限ですのでその点は相続人や担当する税理士とスケジュールを共有しておきましょう。
もうひとつが申告期限までに分割協議が整っていない場合。
申告期限までに間に合わなさそうだけどまだ申告期限は到来していない、という場合には期限内申告を分かっている範囲の財産で計上して申告納税をすること、これが一番です。
この際には分割協議がまとまっていないのであれば3年以内の分割見込み書を提出することで、分割協議が整ったときに改めて申告書を出し直すことにより特例を適用することができます。
申告期限までにできれば済ませたいこととしてはやはり分割協議が整っていることが最優先です。
相続税の特例の多くが分割協議が整っている、つまり分け方が決まっていることが適用の要件になっているものがあります。
申告が必要かどうかは亡くなってすぐだと判断がつかないケースもあるかもしれませんが、少なくとも10カ月ありますので申告が必要かどうかの判断は早めに行い、
まとめ
申告期限ぎりぎりで分割協議が整っても申告に間に合うかどうかは財産の内容などにもよりますしリスクがあります。
ただ申告期限までに分割協議が整っていれば期限後申告でも特例の適用は可能ですので、その点については慌てずに取り組むのもよいでしょう。
ぎりぎりになって良いことはなにもないので、申告が必要かどうかの判断と分割協議をいつまでにまとめるかというのは相続人のかたで打ち合わせして共有していくのが望ましいです。