フリーランスのかたとお話をしていると「もし申告をしなかったらどうなりますか?」と聞かれることがあります。
申告しなければいけない状態で申告をしていないと、無申告の状態なわけですから不利益・ペナルティが発生します。
所得が証明できない
フリーランスのかたはその事業から得られる収入がその方の所得の源です。
なので申告をしていないと所得があるのかないのかがそもそもわかりません。
サラリーマンのかたは、給料から所得税が天引きされて年末に年末調整という形で調整されますし、確定申告を行えば所得と税金が確定します。
住民税も給与所得の場合には勤め先からお住いの自治体あてに給与支払報告書という形で源泉徴収票みたいな書類が送られます。
年末調整のみで所得と税額が確定した方はこの給与支払報告書に基づいて住民税が課税されて、給料からまた天引きされることになります。
確定申告をしている場合でも所得税の確定申告書の内容が自治体にも送られますのでその確定申告の内容でもって住民税が決まります。
給与所得がないフリーランスのかたですと、年末調整がそもそもありませんので、所得を確定させるためには確定申告が必要です。
そのため、確定申告をしていないと所得が証明できないことになります。
これによる不利益としては、各種の審査等で審査できないことがあり得ます。
例えば車を買いたい、家を買いたいという場合でもローンを組む際には所得の証明が必要です。
フリーランスだと確定申告書の控えの提出を3年分求められたりします。
ほかにはクレジットカードなども作ることが出来ない可能性が高いです。(所得に応じて審査される項目があるため)
所得が証明できないというのは結構困ることが多く、確定申告をしてくださいと言われてから申告をしていても間に合わないこともあります。
また、よく聞くのがマイナスになっているから申告をしなくてもいい、という内容です。
マイナスであれば申告をしなくても良いように見えますが、もし青色申告であれば損失を繰越すことができますので翌年以降に利益が出たら相殺することもできます。
申告をしていても所得を下げている(生活費と思しき支出を経費として入れているなど)場合も住宅ローンなどは所得に応じて借りられる金額が決まってくることから、修正申告をしたいというご相談が寄せられることがあります。
申告をしないことによる不利益と同じくらい困ったことになりますので丁寧に適切な内容で申告をするようにしましょう。
では仮に無申告の状態が判明したらどういうペナルティがあるか確認しておきます。
無申告が税務調査で判明したら
申告が必要なのに申告をしていなかったという状態を無申告の状態と表現します。
無申告によるペナルティのひとつ目が無申告加算税です。
申告をしていなかったことによるペナルティということで、その無申告の状態が判明したタイミングで税率が変わってきます。
また一定の条件では無申告加算税が課されないことがあり、普段はきちんと申告をしていてうっかり忘れた、申告していなかった、という場合には無申告加算税がかからないイメージです。
無申告の状態が税務調査で判明した場合には
- 納付すべき税額が50万円までは15%
- 納付すべき税額が50万円を超える部分は20%
それぞれ乗じて無申告加算税を計算します。仮に納付すべき税額が100万円だったとしたら無申告加算税はこのばあいは17.5万円です。(50万円×15%+50万円×20%)
もし自主的に申告をした場合には無申告加算税は5%で計算をします。100万円の納付すべきだった税額だとすると5万円です。(100万円×5%)
つまり無申告の状態だということが分かった時点でなるべく早く自主的に申告をするのが最もダメージを少なくします。
無申告加算税のほかに納めるべき税金に対して納付が遅れていることから延滞税という利子的なペナルティの税金もかかります。
こちらも申告して納付した後に延滞税があれば税務署から通知と納付書が届きますのでそれに従って納付することになります。
無申告の状態で申告期限後に申告をする場合には期限後申告という呼び名になりますが、この期限後申告の場合の納付期限はその申告書を提出した日になりますのでその点も注意しておきましょう。
もし自主的に申告をするということであれば税務署に行って申告書を提出したその足で税務署で納税をするのが最も確実ではあります。
納付書は税務署にありますし、納付書の書き方なども分からなければ説明してくれるはずです。
まとめ
無申告な状態がもたらす不利益・ペナルティについてお伝えしました。
もう申告をするのがとんでもなくしんどい、数字のことをするのが苦手だ、自分でやる時間がない、そういうかたは一定報酬を支払って税理士に依頼する方が精神衛生上も自分の仕事に集中できて売上も増えるみたいなことはよくあります。
無申告が判明したらなるべく早く自主申告をする、今後は税理士に依頼することも検討してみましょう。