核家族化、高齢化に伴ってご家族の在り方、かたちというのが変わってきています。
相続はご家族のはなしでもあり相続も様々な形をみるようになりました。亡くなったかたの兄弟姉妹や甥姪が相続人になっていたり、相続人がおひとりのケースも増えてきている印象です。
相続人がおひとりの場合の各種手続きについて確認してみましょう。
相続人がおひとりの場合の申告
相続人がおひとりのパターンでいうと配偶者が既に亡くなっていて子がひとりの場合、配偶者がいて子も親も兄弟姉妹もいない場合、また配偶者と子がおらず兄弟姉妹がひとり、または兄弟姉妹がすでに亡くなっていて甥姪がひとりという場合が考えられます。
相続人がひとりの場合には相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×1人(法定相続人の数)で3,600万円となります。
都心部特に東京都や政令指定都市に不動産をひとつ持っている場合にはそれだけで基礎控除を超えることも多いでしょう。
相続税申告については遺産の分け方で税金が変わる影響はかなり大きいのですが、相続人がひとりの場合には分け方を考える必要がありません。
すべての遺産をおひとりで相続することになります。
相続税申告については期限等は相続人がひとりの場合に延長措置等はなく、また未分割申告(遺産が分けれていない状態での申告)はないですから、期限よりも早く済むケースも多いです。
この場合には遺言があってもなくても、そもそもおひとりですべて相続することになりますので大きな違いはありません。
相続人がおひとりの場合の相続手続き
遺産分割協議のための資料収集は必要ありませんが、相続税申告にあたっての残高証明書の取得等は必要です。
不動産についても漏れなく確認するためには固定資産税明細ではなく名寄帳を取り寄せることもあります。
また生命保険契約については相続人が遠方に住んでいたり、縁故が薄く把握しきれない場合などは一般社団生命保険協会が生命保険契約の有無を加盟各社に確認してくれるサービスも始まっていますので利用するか検討してみましょう。
借入金の有無を把握したい場合には、CICやJICCという信用情報を取り扱う機関に紹介をかけることである程度把握することができます。(サラ金などは難しいそうです)
分け方を考える必要がありませんので、残高証明書や相続税申告にあたって各種必要書類を取りつつ解約・名義変更も順次進められます。
同時にできると早いタイミングでの税務申告と相続手続きの完了をすることができます。
手続き自体に相続人の人数では大きな違いはありませんが、縁が薄い場合も多いのでその場合にはもれなく財産を把握し手続きをする工夫が必要です。
また分け方を考える必要がないので相続財産に不動産がある場合には相続後の早いタイミングで売却処分する方向で考えられる方がいらっしゃいます。
それ自体は問題ないですが相続税申告上の特例(小規模宅地の特例)を利用することを検討している場合には、申告期限まで保有すること特例の適用要件になっていますので注意しましょう。(配偶者が特定居住用財産を取得する場合を除く)
まとめ
戸籍の収集ができたら法定相続情報一覧図を作成して法務局で確認してもらうことで改めて相続人がひとりであることを証明しておくのがよいでしょう。自分が知らないだけでどこかに親族がいないとも限りません。
その点を少し気にしていただければあとは相続税申告、名義変更等の相続手続きともに素早く終わるケースも多いです。