印紙税にまつわるニュースが先日流れていました。大きな会社や企業だけではなく、フリーランスにも関係する部分がありますので整理しておきます。
そもそも印紙税とは
なんとなく聞いたことがあるであろう印紙。実際に経理や総務の方ですと使ったことがあるでしょうし購入したこともあるかなと。
領収書に時々貼ってあるとかで見たことがあるかもしれません
エンジニアやクリエイターなどのフリーランスの方ですと全く触ったことも見たこともない、というかたもいらっしゃいます。
印紙税は日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金です。(国税庁からリリースされている「印紙税の手引」より)
なんでもかんでも印紙税がかかるというわけではなく20種類の定められた文書について課税の対象となります。
課税文書、非課税文書に細かく分類されており、あまり意識していないというかそもそも課税文書であることを知らずにうっかりしていて税務調査で指摘される、ということは時折発生します。
課税文書か否かの判断はその文書に記載されている内容を個別に判断し、単に形式上ではなく実質的な意義に基づいて判断するとされています。
最近はオンラインで契約書の締結が行われることがあり、当事務所でも顧問契約の方はオンラインで契約締結をしています。
書類を準備しなくてよいということと同時に印紙税の納付の手間がないからです。
同じ文書、契約書でもオンラインの場合は印紙税は課税されないので利便性は高いです。
該当する文書を紙で作成した場合には、その内容に応じて印紙税の金額が決まり、その金額分の印紙を買ってきて貼付して消印をします。(ハンコで割り印を押す、あのイメージです)
これが原則の納税方法で、飲食店などの領収書はいちいち毎回貼り付けていると大変ですから、まとめて税務署に払う特例の方法もあります。
ときどき高額なレシートをもらったら「印紙税申告納付につき税務署承認済」という記載があるのはこの特例の方法により納付しているからです。
なのでレジで印紙が貼ってないなどの指摘をしないようにしましょう。その場で貼っていないだけで後で納付していることを意味しています。
フリーランスが印紙を使うシーン
では具体的にフリーランスが印紙を使うであろう主なシーンを確認しておきましょう。
契約書
契約書は基本的に課税文書に該当しますので印紙の貼付が必要です。請負契約でしたら2号文書に、継続取引契約ですと7号文書です。
フリーランスで一社専属、勤めていた会社から独立してそこと契約している場合などは件数が少ないのですが、例えば一人親方などの建設業は注意が必要です。
建設業は契約書が多い業種のひとつで、印紙の貼付漏れを税務調査で指摘されることがよくあります。
契約書は基本的に紙であれば何かしらの課税文書に該当する可能性が高いので、契約書を作成する都度確認していくぐらいの気をつけ方のほうがよいでしょう。
委任契約と請負契約の違いにより印紙税が変わることがあります。委任契約の場合は印紙不要のケースもあるのですが、このあたりはかなり判断がややこしくケースバイケースになるので基本は印紙税がかかる。
そのつもりで内容を確認するという運用のほうが安全です。
領収書関係
領収書は記載金額によって印紙税の金額が変わります。
受け取った金額5万円未満場合は印紙税の納付は必要ありません。
ほかには例えば不動産賃貸業をしている場合には通帳(家賃受取帳)を使っているケースでは、通い帳は課税文書(19号文書)に該当しますので印紙税の納付が必要です。
細かい話になってきますがこの辺りは丁寧にやっておくことをお勧めします。
ペナルティにも注意
印紙税はペナルティが大きいことも注意が必要です。
過怠税といって本来は納めなければいけなかったものを納めれていない場合の金銭のペナルティ、いわば罰金ですが納める金額の2倍です。
つまり本来納める分+過怠分で2倍、一万円の印紙税の漏れであれば3万円の納税となり3倍返しになります。
中小企業であっても印紙の取り扱いには注意をしているところが多いですし、フリーランスだから大丈夫(税務調査で指摘されない)、というわけはありません。
普段あまり見かけないからこそ、契約を締結したり領収書を発行する際には気を付けておきましょう。
まとめ
印紙税についてフリーランスが関わるであろう部分を解説しました。
印紙税の課税文書に該当するかどうかはとてもややこしい判断になりますので、慎重に行うようにしましょう。
基本は課税文書になるぐらいの心持ちのほうがよいです。
もし詳しく知りたい、という場合には国税庁の印紙税の手引きがよくまとまっていますので見てみてください。
現実的な運用は契約はオンライン契約サービスを利用し、領収書は請求書と銀行振り込みの控えにかえます、というのが一番手間いらずだと考えています。