こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続税の申告は自分には関係ないな、と思っている方でも実際には申告が必要なケースがあります。
相続税の基礎控除金額よりも遺産の総額(課税対象金額)が大きければ申告が必要です。
もし申告期限後に「ひょっとして申告が必要なんじゃないか」と気がついたときにやるべきことを整理してお伝えします。
財産の分け方が決まっているとき
財産の分け方が決まっていて遺産分割協議書が手許にあれば、あとは申告書を作成するだけです。
この場合申告期限を過ぎていますので期限後申告と呼ばれます。
期限後申告の場合にはただ申告が遅れているだけの状態ですので各種特例は適用可能です。
例えば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の課税価格の特例を適用できる場合には適用して申告書を作成提出することができます。
通常の期限内申告の場合には申告書の提出と納税がある場合には申告期限までにどちらも済ませておけば良くて、同時ではなくても良いです。
申告書の提出が先で納税が後でも申告期限までに両方が済んでいればよいということ。その逆もまたしかりです。
期限後申告の場合はというと申告期限が過ぎていますのでこの場合の納税の期限は申告書を提出した日までということになります。
期限後申告の場合はこの点に注意が必要です。
申告書を提出する日をあらかじめ決めておき、その前に納税を済ませてもらう、というのが流れとしてはよいかなと考えています。
財産の分け方が決まっていないとき
申告期限が過ぎていてなおかつ財産の分け方がまだ決まっていないときもあるでしょう。
この場合には期限後申告をする点は上記の「財産の分け方が決まっているとき」と同じですが、同時に「3年以内の分割見込書」を添えて申告書を提出することが望ましいです。
というのも財産の分け方が決まっていないときには各種特例が適用できないことが基本です。(財産の分け方が決まっていることが特例適用の要件)
財産の分け方が決まったときに改めて申告書を出し直しをしてその際に特例を適用するために「3年以内の分割見込書」を添えておく必要があります。
この見込書をつけておくことで、3年以内に分割ができたら(分け方がきまったら)そのときには特例適用をして申告のし直しをします、ということが可能です。
分け方が決まっていない場合の申告は特例適用ができませんし、亡くなった方の財産の引き出しも制限がかかっていますので税金を自分の財産から支払う可能性が高いです。
ただし分け方が決まって特例適用できる場合には更正の請求という還付の申告をすることができます。
それほどまでに分け方が決まっていることの優先度は高いということです。
ただちに税務調査はこないけれど
期限までに申告書を提出していなければ直ちに税務調査が来るかというとそういうわけではないです。
税務署側でもある程度富裕層や申告が必要そうな人は補足していると思われますが、すべての亡くなった方の財産を把握していて相続税申告が必要かを判断しているわけではないです。
その点をもってしても申告期限を過ぎたら直ちに税務調査が来る可能性は低いですが、いずれ税務調査、無申告の場合には決定通知(税務署側で税金を計算して通知する)がある可能性は時を経過するにつれて上がってきます。
何かのタイミングで補足されて無申告の状態で税務調査等があると、無申告加算税、延滞税が課されます。
無申告加算税は申告期限までに申告していないことについて課されるペナルティで本来納めるべき税金に50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額が付加されます。
税務調査等が来る前に自主的に申告書を提出した場合には5%の割合を乗じて計算した金額
に減額されます。
また、延滞税も本来の申告期限までに納めるべき税金を納めなかったことにつき課される利子的性質があり、申告期限から時を経過するにつれて増えていきます。
つまり無申告である場合には早めに自主的に申告をし、納税をしたほうがいいということになります。
近年、無申告に対する調査が強化されており、もし仮に申告をする必要があると分かっていたのに意図的に申告をせず財産を隠ぺいしていたということになればもっと重い重加算税というものが課される可能性があります。
気がついたときには早めに申告をする、自分で申告をできなければお近くの専門家に相談をするなど丁寧かつ真摯な対応が必要です。
まとめ
申告期限までに申告をしていなかった場合について解説をしました。
自分のところはまさか大丈夫だろうと思っていていきなり税金の通知が来る可能性もあります。
お亡くなりになったらまずは申告の必要があるかは落ち着いてから(いわゆる49日後で十分です)確認をしておくのがよいです。ペナルティ的な税金の追徴がないようケアしておきましょう。