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自筆遺言で揉めてしまったときの相続税申告

もめたとき

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

自筆遺言を残されている場合で相続財産が基礎控除を超えている場合には相続税の申告書を作成し提出する必要があります。

自筆遺言について揉め事があった場合の相続税申告について解説をします。

 

目次

自筆遺言での揉め事

ご自身の意思で遺しておられる自筆遺言はこれまでにたくさん拝見する機会がありました。

 

ご生前の想いとともにご家族に財産を遺しておられるのですが、残念ながら揉め事になってしまうケースもあります。

 

自筆遺言での揉め事で多い印象なのは遺言の無効に関する申立が起こされるパターンです。

 

これはどういうことかというと、自筆遺言はその内容が無効だという主張によるもので、理由としてはご本人の意思で書いたものではないということをよく耳にします。

 

健康科学、医療の発展に伴い肉体的な寿命が延びていますが同じように認知症のリスクも抱えることになります。

 

認知症と言ってもひとくくりに出来ず、例えば今日は調子がいいとか悪いとかももちろんあるでしょうし波があるそうです。

 

昨日は〇〇さんの顔と名前が一致していたけど今日は難しいね、みたいなことです。遺言をご自身が自分で書いて遺した場合にはその書いたタイミングが問題になります。

 

つまり遺言を書いたタイミングは自筆遺言の中で日付として明示されているわけですから、この時には既に認知症が進んでいて自分の意思でこの内容を書いたとは思えない、という主張が親族のなかからされることにより揉め事になります。

 

確かに、普段一緒に暮らしていないご家族の場合であとから自分に不利な遺言が出てきた場合などには争いたくなる気持ちもわかります。

 

この場合、遺言について本人の意思が認知症により分かならい、不明瞭だった、ということが申し立てられて争われることになります。

 

相続税申告書をどうするか

仮に自筆遺言が存在し、家庭裁判所に遺言無効の申し立て(遺言無効確認調停という)を行います。

 

つまり遺言が無効だと思うので調べてほしいということ。

この申し立てがあった場合でも相続税の申告は期限が決まっています(亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内)ので申告は必要です。

 

では実務的にはどう対応するかですが、ひとつは遺言が無効になるかはわからないのでその遺言が有効なものとして一旦申告をするということ。

 

そのうえで遺言が無効とされた場合には新たに財産の分け方が変わるわけですから相続税申告については申告のやり直し(新たに財産を相続する人は期限後申告、相続する財産が減少する人は更正の請求)をします。

 

もうひとつは遺言が無効だとして未分割の状態として申告書を作成することが考えられます。

 

こちらの場合には遺言が有効なものと判断されても申告のやり直し(遺言に基づいた申告)が必要ですし、遺言が無効と判断された場合でも新たな財産の分け方に応じた申告の内容にする必要がありますので申告のやり直しとなります。

 

未分割での申告の場合には3年以内の分割見込書を必ず提出しておくことが重要です。

 

分割見込書がある場合には分割が確定した際の申告において各種特例(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の課税価格の特例)を適用することができます。

 

遺言の無効を訴えた側と、その訴えがなされた側で申告書の内容が異なる(一方は遺言に基づき、一方は未分割申告)と税務署が遺言の有効性について裁判所とは別に独自に判断する流れとなります。

 

このあたりの申告書についてのすり合わせができるのであれば事前に統一しておくのが望ましいと考えます。

 

揉め事が起きやすい自筆遺言

自筆遺言はご自身で作成できる分手軽にいつでもできるというメリットがあります。

 

ただし遺言を自筆で作成する場合には形式的に問題がない(民法の求める規定に沿っている)か、遺留分の問題や遺言の有効性について疑義が生じる可能性が生じます。

 

公正証書遺言の場合には公証人が間に入りますので形式上の問題や有効性の問題は発生しないとされています。

 

この点を考えるとせっかく作った遺言で揉め事が発生するのを避けたい場合にはやはり公正証書遺言で作成をするのがよいでしょう。

 

もしどうしても自筆遺言で作成したいという事情がある場合には弁護士に一度ご相談いただくようにしています。

 

場合によっては録音や録画をして遺言を作成いただくケースもあるそうです。

揉め事は期せずして起こるものではあるのですがせっかくのご自身の意思ですので良い形で遺していただくのが良いかと考えています。

 

まとめ

自筆遺言でもし揉めてしまった時の相続税申告についてお伝えをしました。

遺言に基づいて申告するか否かでその後の流れが大きく変わりますので事前にどういう方向になるかを打ち合わせしておくことが必要です。

揉め事を極力排除したい、という場合には公正証書遺言の作成も選択肢として検討しましょう。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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