こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
お客さまから資料をお預かりして記帳をしたり、またお客さま自身で記帳をしている場合でも、試算表(月次決算書)を作って一緒にみる、ということがあります。
試算表を見てどういうことを考えればいいか。事業にもよりますが数字に一喜一憂するのではなく「このあとできることがないか探してみる」という方向性でサポートしています。
推移や残高をみて何を感じるか
資産負債、純資産の状況を表示する貸借対照表という帳票と、売上や経費から利益を計算する損益計算書という帳票の確認がメインになります。
ほかにもキャッシュフロー計算書やMAS監査といって予実管理(予算や計画を作って実際との乖離を検証する)、資金繰り表も帳票としてはありますが、まずはシンプルに2つの帳票からでよいかなと。
あれこれ手を出してもアタマに入ってこない可能性が高いです。
以前に別の記事でも少しふれましたが売上推移、現預金残高からでもよいでしょう。
月次決算が締まった段階で数字を眺めることから始まります。
売上の波があるなとか、経費が多いな、逆にこっちの経費は少ないな、みたいなことは往々にしてあります。
一年間の中での浮き沈みや需要の波もあるでしょう。複数年を並べてみてみればより傾向を掴むことができます。
推移や残高をみて「なんでこうなっているんだろうか」というのはシンプルですが非常に大切です。
何か原因があってその数字になっているわけですのでポジティブな原因もネガティブな原因も、何か思い当たることがないか探してみましょう。
起業後2~3年目ぐらいの社歴の場合にはこの視点がやはり大事で、申告書を作るためだけの帳簿にしないという点で事業にフィードバックできることを探すための試算表(月次決算)を目指すのがよいです。
せっかく試算表があるのですからそれを事業に活かせないか考えてみるのがいいですね。
では社歴が長い会社の場合にはどうかというと、社長の勘に頼る部分もたくさんあるかと思います。
それも会社を前に事業を進めていくために必要な要素かと思いますが、その社長の思っていた売上や利益の金額と数字で出てきた試算表とのギャップが大きくないかは確認しておいたほうがよいでしょう。
というのも社長の感覚と会社の数字のずれが大きいというのは何かの要素があってそうなっているわけで修正すべき事項があるかもしれません。
思っていたより利益がでている、いや思っているより利益がでていない、思っていたより現預金が増えている、いや減っている。
こういった感覚とのズレがないか試算表を眺めてみるのもひとつです。
やれることを探してみる
眺めるだけならだれでもできますが大切なのはそこから行動に移せることがないか探してみることです。
売上の波があっても事業によってはどうしようもないことなのでその売上のピークをもっと伸ばすのか、ほかの低調な月の底上げをするのか。
そのためになにができるのか。
経費ももう少し減らせないか、どこかに無駄がないか、そういう視点で眺めると社長自身が詳しく把握していないものがでてくることもあります。
費用をかけるべきところ、手間をかけるべきところ、そういうところを見極めてできることを探してみましょう。
また「いますぐ」に売上を10%あげる方法があればいいですがそういう魔法のランプはないことが多いです。あってもすでにやっているでしょう。
そうではなく時間軸を少し長めにみてみる。例えば事業年度末までに売上を10%あげたいと考えたらできることが増えそうです。
いますぐに改善しないといけない部分があればそこを先に手をつける必要がありますがそうではない場合にはタイムスケジュールを長めにとって、ちょっと引いた視点で見てみますとまた違って見えます。
こういったことを試算表をもってきた税理士と話をできるのが定期的に会って話をするメリットでもあります。
経営的なアドバイスをすることは難しい部分ももちろんありますが、数字をベースに税理士とコミュニケーションをとってアウトプットすることで整理される部分があるはずです。
速さと正確さのバランス
できることを探すのに「ちょっと引いてスパンを長めにみてみる」ということをお伝えしましたが、試算表はその時点からなるべく短い期間で早く出来上がるほうが有益ではあります。
例えば今日は6月17日ですが、3月の試算表をみてどう感じるか。ちょっと間が空いているな、そう思う方も多いと思います。
これが4月ならどうでしょうか。チョット近づいてきましたが5月なら先月の数字なわけですから今月=6月に出来ることもあるかもしれません。
試算表の時点といまの時点とのギャップが大きいとせっかくの試算表の効果が薄れていきます。
ただし早く試算表をあげようとすればするほど正確性が問題になります。速さと正確性のバランスはどこでとるか、どこまでの精度の試算表を求めるかにより異なってきます。
大きいところが抑えられれば良いのであれば早く出来ますがそれでも限度はあります。
試算表を早く仕上げようと思うと記帳代行の場合にはお客さまと税理士側の協動が必要です。
また自社にて経理から記帳までを完了している場合でもタイムラグが大きい場合があり、どこかに課題があるかもしれません。
まとめ
試算表(月次決算)を自分の会社の経営に活かすためにはまずは試算表でどういうところを見るか。速さと正確性のバランスをどう考えるか。
そして何かできることがないか考えてみるキッカケにしていってもらえればという心づもりでサポートしています。