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役員報酬についての基本的なルールを押さえておく

役員報酬のルール

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

中小企業の経営者は自分が経営する会社から役員報酬(給与)を受け取っているわけですがそこにはいろんなルールがあります。

役員報酬についてのルールをアタマの片隅に入れておきましょう。

 

目次

役員報酬のルールが厳しい理由

簡単に言うと利益調整できてしまうからです。この一言に尽きます。

これを読んでいる方が中小企業の社長さんだとしましょう。経営者であり自分の会社の100%株主、持ち分を持っているとします。

 

すると冒頭のように自分の会社から役員報酬を受け取るわけですから、自分で自分の給与を決めているわけです。

 

この状況は日本の中小企業が同族会社がかなりの割合を占めていますので似た状況になりますしよくあることです。自分で自分の給与を決めれるわけですからいろんなことを考えたくなりますよね。

 

自分が予想していたよりもたくさん利益が出たらボーナスを支給したり、毎月の役員報酬を増やしたくなります。自然な発想です。

 

でもこれが可能になってしまうとだれも会社に利益を残そうとしなくなる可能性があります。

 

自分の会社で自分の役員報酬を決められるというのはそういうことを含んでいるわけです。

 

よって法人税を計算するための利益計算においては役員報酬について厳格なルールが定められています。

 

会計上はその税金計算上のルールに則らずに役員報酬を増やしたりボーナスを払うことができますが、税金計算上はそのルール外の役員報酬は経費にならない、ということになります。

 

仮に会社の利益が3,000万円だとしましょう。

決算月が近づいて社長が自分あてに1,500万円の特別ボーナスを支給したとします。会計上は支給することが可能ですから、会社の利益は3,000万円-1,500万円=1,500万円となります。

 

会社の利益をもとに税金計算上の利益を計算し税金を計算する流れです。ここで税金計算上の利益を計算する際にどうなるかというと、ルール外の役員報酬については足し戻します。つまり経費にならないということです。

 

シンプルにこの役員報酬だけの調整だと仮定すると、税金計算上の利益は1,500万円+1,500万円=3,000万円(会計上の利益+ルール外の役員報酬の足し戻し)となります。

 

実際に役員報酬を支払っている場合にはおカネは出ていくけどその分の税金は減らないということになります。

 

法人税の申告書は会計上の利益を法人税を計算するうえでの税金計算上の利益金額に調整する、という役割があります。

 

税金計算上は益金、損金というキーワードを使います。益金になるもの、損金になるもの、という風に表現するのですが、このルール外の役員報酬は損金不算入項目とされます。

 

損金に不算入=マイナスにしない=プラスするということを意味しており、税金計算上において加算されます。

 

法人税を計算するうえでは役員報酬の損金不算入項目に限らずいろんな種類の項目を調整して税金計算上の利益金額を計算します。

 

基本的ルールの整理

役員報酬にはいくつかのルールがあり、ここでは中小企業の役員にとって最もよく触れる2つの役員報酬についてルールを解説しておきます。

 

ここで触れるルールは基本的なものですが、税務調査がある場合には役員に関係する支出は基本的に役員報酬じゃないか?という視点でチェックされる可能性が高いことも心に留めておいてください。

 

定期同額給与

定期同額給与とはイメージで言うと毎月の役員報酬を指します。この毎月の役員報酬は年に一度、株主総会のときに決めることになります。

 

事業年度開始の日から3ヵ月以内に決める必要があり株主総会のときに一緒に決議をします。

 

いつまでに決めるというルールがあるのは後でやっぱりこの金額にしますという調整を防ぐためです。

 

年に一度支給額を決めたら基本的に金額を動かせません。月100万円と決めたら一年間は毎月100万円の役員報酬となります。

 

基本的に、と書きましたが例外もあります。業績が著しく低下した場合には役員報酬を減額することができます。ただしこれにもルールがありますがここでは割愛します。

 

事業年度の最初に決めた役員報酬が100万円/月だったとしてじゃあ超える部分はどうかというと前述のように決めた金額をけて支払っているわけですから、定期同額給与に該当せず損金不算入となります。

 

事前確定届出給与

事前確定届出給与はイメージで言うとボーナス・賞与のような報酬となります。

 

読んで字のごとく事前に支給額を確定させて届出をしておくということが必要です。これも利益調整を防ぐために事前に決めておきなさいというルールが設けられています。

 

誰に届け出るかというと所轄の税務署です。

 

税務署に対して所定の時期にいくらをどの役員に支給するか届け出ておき、その通りに支給して初めて役員報酬として損金に算入できます。

(申告期限の延長がない場合には①株主総会等の日から1ヵ月を経過する日、②事業年度開始の日から4月を経過する日、のいずれか早い日)

 

この事前確定届出給与の最も難しい部分が事前にいくらを支給するか決めておくということです。

 

支給日や支給額を後で調整することができないのと、違った日付や支給額にすると全額が損金不算入となります。定期同額給与と比べてもより一層厳しいルールです。

 

突発的に賞与的な性質のある役員報酬を支給することができないようにガードがかかっています。

 

業績の予測というのは簡単に思うかもしれませんが事業主、役員の立場だとかなりそれが難しく感じます。

 

経済状況もそうですしいつ顧客が増えたり減ったりするかの確かな見通しというのは立てづらいものです。

 

そこを加味して支給日と支給額を決めて届け出をするわけです。

 

まとめ

役員報酬をめぐる基本的ルールについて確認をしました。

税金計算上のルールはたくさんありますが、役員報酬についてのルールは自分あての給与なわけですから基本的なルールを経営者の方でしたら押さえておきたいところです。

 

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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