こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
相続税の申告書を作成していますと、もう少し対策できていればひょっとしたら円滑に、家族で揉めることなく遺産の相続ができたんじゃないか、と思うことがしばしばあります。
相続税申告はあくまでお亡くなりになった時点での状況に対しての結果であって、お客様のお困りごとはお亡くなりになる前段階でしか解決できません。
相続について事前の相談をお勧めする理由はここにあります。
相続に関するお困りごとは分割がメイン
相続に関するお困りごとの多くが、分け方に起因します。
人間ですから多い少ないが気になるものではありますが、特に財産の分け方に偏りができてしまうと不満が残ります。
残った不満はそう簡単には解消されませんのでわだかまりとして残ってしまいます。
また遺言がなく遺産分割協議を経て遺産を分けることを話し合いにより決める場合には、不満があればハンコをつかなければいいわけですので財産は塩漬け、家族関係はぎくしゃくし、いつまでたっても遺産が引き継がれません。
最終的には裁判所において調停などを通して話し合いの場により解決することを目指しますが、それをするにしても相当に時間がかかります。また費用も掛かりますし、なにより精神的な疲労はとても大きくなります。
相続税申告はあくまでその財産を亡くなった時点で計算をして申告するものですので、前段階として財産が分けれていることが前提です。
もし財産を分けることについてまとまならければ未分割という状態で申告をすることになりますが各種特例が使えませんので税額が特例を使えた時よりも高くなります。
(※分割見込書を提出しておけば3年以内に分割で来た際に特例を使うことができます。ほかにも遺産が分けれないことについて考慮されるための措置はありますが、時間・費用・精神的疲労に変わりはありません)
ウチは揉めないから、というのは相続が起きてみないと分からないものです。
遺産の分割について納得考えられるように手当てするためには事前に対策を講じておく必要があります。
円滑に相続手続きを進めるために
遺産分割での揉め事を回避し、円満にかつ円滑に相続手続き(申告を含む)を行いたいなと思うのであれば事後相談だと後手に回ります。
税理士としては各種特例を適用して申告書を作成し税金の計算をすることは可能ですが、揉め事の仲裁をすることはできません。
Aさんの味方をして申告書を作ることはできませんし、Bさんの肩をもって遺産分割の交渉に臨むこともできません。
ただ、お亡くなりになる前にはご要望をお伺いしていろんな提案ができます。亡くなった後だとお手伝いできないことがたくさんあります。
これが中小企業の経営者になると会社の経営から資産、株式の相続といったことまでケアする必要があり、より慎重にかつ丁寧に対策を検討し実行することが必要です。
中小企業の会社の株式は財産として価格が高額になり、その分、後継者と後継者でない親族との間に財産の偏りが出来てしまいがちです。
こういったことに対応するためには、事前に保険契約を検討したり、遺言やその他贈与などを織り交ぜながらコントロールしていく必要があります。
相続対策のコントロールには時間が必要なものが多く、それゆえ事前にキチンと対策をしておくことが重要となってきます。
時間軸を見ながら相続対策を円滑に進め、円満に遺産の引継ぎが出来たときが一番ご安心をいただけると考えています。
まとめ
相続対策は自分には関係ない、税金がかからないから要らないだろう、そのように考えている方は非常に多いです。
ただ財産の多い少ないに関わらずキチンと対策をしていない場合は揉めてしまう可能性が高まります。
後回しにしてしまうとどんどん取り組む気持ちが減ってきますので一度勇気を出してお近くの専門家に相談をしてみましょう。