こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
フリーランスの方、個人事業主の方にとっては決算とは年に一回、税金を計算するためのモノ、と捉えている方が多いです。もちろんそのための決算であり申告ですが、少し違った見方をすることもできます。
違った視点でご自分の決算書を見てみましょう。
決算書から生活費を推測する
フリーランスの方は自分に対してお給料を出すことはできません。法人であれば自分の会社から自分あてに給料を出すことができます。この部分は大きな違いです。
つまりおひとりでフリーランスをしている方は自分のお給料がなくて事業の稼ぎから生活費を捻出する必要があります。
青色決算書を例にしてみてみましょう。
オーソドックスな青色申告決算書(一般用)はこのような内容です。とはいっても見慣れていなければ何がどこに記載されているかよく分からないと思います。
ザックリと色分けするとこのような構成になっています。
なので、所得金額はいくらか、というのは一番右下をみることになります。
計算としては左上から売上から売上原価を引いて売上総利益(いわゆる粗利益)となり、売上総利益から経費を引きます。経費を引いたものに引当金の調整や専従者給与を引いていくことになります。
利益を計算をするときは引き算で計算をしていくのがよく分かりますね。
所得金額に注目してみましょう。
青色申告で事業的規模などを満たしている場合には青色申告特別控除(10万円、55万円、65万円)を利益から引くことができます。
おカネとしては出ていきませんが、キチンと帳簿を付けていることに対する特典のように捉えておいてください。つまり事業としての本来の利益は青色申告特別控除を差し引く前の金額となります。
ではここで生活費の話に戻ります。
なぜ生活費の話に戻るのかというと、この青色申告特別控除の金額を控除する前の金額で生活をしているとザックリ捉えることができるからです。
例えば120万円しか控除前金額がない場合には月10万円で生活している、という大まかなイメージです。
ひとり暮らしなら何とかなるかもしれませんが、家族がいるならば、配偶者が働いているのかな?貯金を取り崩しているのかな?それも実家から経済的なサポートがあるのかな?と想像できるわけです。
つまり、この控除前の所得金額が何年にもわたって赤字だと、この人は果たしてどうやって生活をしているのだろうか、という問題が出てきますし、実際に税務調査があった際などにはストレートにこのように質問されたこともあります。
税金だけではなく健康保険も
フリーランスの方でお勤めから独立起業された方は健康保険についてどうするか決めなければいけません。
決めなければいけないというのは、任意継続(協会けんぽ)をするか、国民健康保険に加入するか、という選択です。
任意継続の場合には住んでいる地域などに保険料は影響されますが、扶養している人の保険料については勤めている時と変わらずかかりません。
国民健康保険は前年の所得と扶養している世帯人数によって保険料が大きく変わってきます。前年の所得ということでつまりは確定申告(年末調整含む)により変わってくるということです。
例えば京都市で国民健康保険に加入をする場合を考えてみましょう。
国民健康保険料を計算するためのExcelシートが市のホームページにアップされています。
記入に関して必要な事項は
・世帯人数(加入者数)
・それぞれの前年の総所得金額等(※)
※総所得金額とは、地方税法上の総所得金額のほか、山林所得、土地建物の譲渡所得(特別控除後)、確定申告又は住民税申告をした株式譲渡所得、配当所得などを合算したもの
<代表的なもの>
事業所得・・・事業収入金額-必要経費
給与所得・・・給与支払額-給与所得控除
年金所得・・・支払年金額-公的年金等控除
となっています。
つまり決算書で計算した青色申告特別控除前の金額が国民健康保険の保険料を計算する際に反映されるということです。不動産や株式を譲渡して大きく利益が出ている場合なども要注意です。
決算書を見て国民健康保険料がどれくらいになりそうか市区町村からアップされている計算方法で確かめてみましょう。
国民健康保険料は住民税とは違って市区町村によって大きな違いがある項目です。
まとめ
生活費と国民健康保険料について決算書とどうかかわるのかを見てみました。
いずれも決算書と申告書を税金を計算する為だけのモノだ、と考えていると見落としがちな視点です。家計に直結する部分ですから一度違った視点で決算書を見てみてはいかがでしょうか?