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中小企業の役員報酬・設備投資、お金の原資はここから考えてみる

年商1〜5億円規模の中小企業経営者にとって悩みどころの一つが、役員報酬を上げたり、設備投資の資金をどこから持ってくるかという問題です。

お金の話はあまりオープンにしたくないという人もいるかもしれませんが、そこをきっちり詰めておかないと、考え方として間違った方向に進んでしまい、お金が足りなくなる可能性があります。

事業にとってお金は燃料のようなもので、それがなければ事業を前に進めることはできません。今回は、事業のお金の使い方について、原資・元手の観点から考えてみましょう。

目次

役員報酬の原資ー上げようと思ったらどこを見るか

決算が終わったら申告をするわけですが、法人の場合は議事録で役員報酬を決定する必要があります。

どれくらい役員報酬を取れるかは、経営者にとって非常に重要なポイントです。もちろん従業員への還元も大切ですが、役員だって一生懸命頑張っているわけですから、給料を上げたいと思うのは自然なことです。

私は基本的に、中小企業の経営者はもっと役員報酬を上げていいと考えていますので、どこを原資にすればよいかという考え方を整理しておきたいと思います。

まずは当期純利益を見てみましょう。税引き前の当期純利益から納税額を差し引いたものが、いわゆる税引き後の当期純利益です。

これは1年間会社が頑張ってきた成果として積み上げられる部分、繰越利益剰余金に積み上げられる部分になります。

1年間頑張ってきた成果とも言えるでしょう。それがそのままキャッシュとして増えているわけではありませんが、税引後の当期純利益の分は余裕ができているわけです。

では、そこから何を支払う必要があるかを考えます。まずは借入金の返済です。

決算書に「1年以内返済長期借入金」として計上されている場合、その金額が1年間の返済分になります。当期純利益からその返済額(金利込み)を控除すれば、大まかに自由に使えるお金のイメージが掴めます。

たとえば、当期純利益が1億円で、長期借入金の年間返済額(金利込み)が3,500万円だとします。1億円から3,500万円を引いた6,500万円が、おおよそ自由に使えるお金と考えて良いでしょう。

ここに減価償却費を加えるケースもありますが、分かりやすいキャッシュフローの目安としてはこの6,500万円になります。

この6,500万円をどう使うかを考えたとき、さまざまな選択肢があります。たとえば目安として30%を原資に役員報酬を引き上げる、あるいは設備投資の原資にするなど、目的に応じて配分を決めていくのが一つの考え方です。

なお、キャッシュフロー計算書を作成することも選択肢の一つではありますが、その通りに進めることはなかなか難しい面もあります。

資金繰りを考えるうえで現預金の増減は重要なポイントですので、キャッシュフロー計算書ではなく資金繰り表を作成するという方法も、ぜひ検討してみてください。

資金繰り表についてはまた別の記事でお伝えします。

設備投資をしようと思ったらどうするか

設備投資が必要なビジネスでは、一定期間ごとに定期的な投資が求められます。製造業であれば特殊な機械、ITであればソフトウェアやパソコンの入れ替え、運送業であればトラックや配達用車両などが代表例です。

こうした設備をどのように調達するかですが、手元の資金で賄う方法もある一方で、私は借入金の活用をおすすめしています。

たとえば、運送業でトラックが1台800万円だとします。このトラックを何年で減価償却するか、そのトラックを使ってどれくらいの売上・利益が得られるかをざっくり計算してみてください。その上で、800万円を自己資金で用意するか、借入金で用意するかを比較してみましょう。

借入金を活用した場合、800万円を月約10万円の返済(年間120万円)に分散すれば、7年間で返済が完了します。

一度に800万円が減るのと、年間120万円ずつ7年かけて減っていくのとでは、資金繰りへの影響に大きな差があります。

資金繰りに余裕を持たせるコツは、一気にお金が減るタイミングを減らすことです。

設備投資に限らず、法人税の支払いや消費税の年2回払いなど、大きな資金需要が発生するタイミングでは、借入金の活用を検討してみることをおすすめします。

冒頭でお伝えしたように、事業にとって資金は燃料のようなものです。その燃料をいかに効率よく使っていくか、一気に減らさず緩やかに使っていく工夫が大切です。

可能であれば定期的に補充して常に余裕を持たせておき、満タンを超えた余剰分を次の投資や役員報酬の原資として活用していく――そういった資金管理の視点を、ぜひ持っていただければと思います。

まとめ

事業の資金を上手に使うためには、「いくら自由に使えるか」を正しく把握することが出発点です。

当期純利益から借入金の返済額を差し引いた残りが、役員報酬の引き上げや設備投資に充てられる実質的な原資になります。

設備投資については、手元資金を一度に使うよりも借入金を活用して支出を分散させる方が、資金繰りの安定につながります。

お金を「一気に減らさない」仕組みを意識的に作ることが、経営の安定と成長への近道です。資金繰り表を活用しながら、計画的にお金の流れをコントロールしていきましょう。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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