個人事業主の方にとって、経費の判断は悩ましい部分があると思います。たとえば「家事按分」といって、一つの支払いについて事業の分とプライベートの分とに分けるという作業が必要になります。
そこで今回は、個人事業主にとっての「事業の必要経費」を判断するためのフローについて、少し整理しておきましょう。
判断フロー
個人事業主にとって、事業所得の計算上必要なものは収入と経費です。収入については「売上」と呼んでもらっても構いません。
一方で経費については「必要経費」と呼ばれるものがあり、いろんな判断の仕方がありますが、今回はそのうち、必要経費の判断フローについてご紹介します。
どういったものが家事関連費になるのか、家事費になるのか、また事業の経費になるのかという部分をある程度把握しておくと、判断に迷いが少なくなりますのでおすすめです。以下を参考にしてみてください。
まず、収入対応費用か期間対応費用か
収入対応費用というのは、いわゆる仕入れに該当するものです。たとえば、同人作家の方ですと印刷費がそれに当たります。
書いた作品を印刷してコミックマーケットで売るとなると、その販売に直接的に紐づくのが印刷代になります。
他にも、コミックマーケットに参加するための旅費や参加費用としての手数料など、直接的に収入に対応するものを収入対応費用と呼びます。
一方で、期間対応費用とは、その期間中にかかった費用で、直接的に収入に紐づくものではないが、間接的に事業を運営するために必要なものです。
こういった収入対応費用または期間対応費用として明らかなものについては、全額が必要経費になると考えられます。
業務と家事の双方に関わる費用かどうか
続いて、収入対応費用でもなく期間対応費用でもないものについて、どう判断するかというと、業務と家事の双方に関わる費用かどうかという判断です。
業務はつまり仕事で、家事というのはいわばプライベートの部分です。
両方に関わる費用であれば次のフローに進みますが、家事のみということであれば、家事費として全額が経費にならないということになります。
主たる部分が業務の遂行上必要であるか
業務と家事の両方に関わる費用である場合には、主たる部分が業務の遂行上必要であるかどうかを判断します。
「主たる部分」というのは、メインの部分という意味です。メインの部分が業務遂行上必要でない場合には、これも家事関連費として全額が経費にならないことになります。
必要である部分を明らかにできるか
主たる部分が業務の遂行上必要であるものに該当する場合には、必要である部分を明らかにすることができるかがポイントになります。
つまり、支払ったものに対して必要である部分を明確に示すことができるか、区分できるかということが経費計上には求められるケースがあるのです。
必要である部分を明らかにすることができる場合には、家事関連費として一部を経費に算入することができます。
青色申告をしているかどうか
必要である部分を明確に区分することができない場合には、次のステップとして青色申告をしているかどうかという判断フローになります。
青色申告をしていない場合には、必要である部分を明らかに区分できない以上、その部分は家事関連費として全額が経費にならないと考えられます。
青色申告をしている場合には、さらに「取引の記録等に基づいて、業務の遂行上必要であったことが明らかにされる部分に相当する経費かどうか」という判断になります。
少し細かい判断にはなりますが、最終的に明らかにされる部分に相当する経費である場合には、家事関連費として一部が経費に算入されます。そうでない場合には、全額が経費にならないことになります。
家事按分で悩みやすい具体例
家事関連費の考え方としては以上のような振り分けフローになりますが、やはり悩ましい部分はあると思います。
たとえば、自宅兼事務所で仕事をしている場合には、家賃や電気代、水道代、ガス代などが経費になるかどうか気になるところでしょう。
一般的なデスクワークであれば、ガスや水道代はほとんど経費にならないと考えておいた方がよいです。
反対に、パソコンや電子機器を使う場合には電気が必要ですので、電気代の何%かは経費にできるというイメージがあるでしょう。
また特定の場所を仕事として明らかではない、ということだと経費計上は難しくなりますので、仕事場所として明確にしておくことが必要です。
車なども同様に、業務に必要かどうかという部分は大前提として、どれぐらいの割合になるのかはある程度判断を明確にしておいた方がよいです。
なんとなく50%とか、自宅兼事務所だからなんとなく80%を経費にする、というようなやり方だと、経費の割合として多く見られる可能性がありますので注意が必要です。
まとめ
今回は、個人事業主の必要経費の判断フローについて整理しました。ポイントをまとめると以下のとおりです。
- 収入対応費用・期間対応費用として明らかなものは全額が必要経費になる
- 業務と家事の両方に関わる費用は「家事関連費」として按分が必要になる
- 主たる部分が業務遂行上必要かどうか、必要な部分を明確に区分できるかどうかが判断のカギ
- 青色申告をしている場合には、取引の記録等に基づいて業務上の必要性を明らかにできれば、一部を経費に算入できる
- 自宅兼事務所の場合、水道代やガス代は経費にしづらい一方、電気代は按分の対象になりやすい
- 家事按分の割合は「なんとなく」で決めず、合理的な根拠を持って設定することが大切
経費の判断に迷ったときは、今回ご紹介したフローに沿って考えてみると整理しやすくなると思います。
