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税理士賠償責任保険の事例から読み取れること

税理士賠償責任保険という税理士が加入できる賠償責任保険があります。

私も毎年加入しているのですが、その賠償責任保険で保険が下りた事例がリリースされていますので、その事例から読み取れることを少し整理してみたいと思います。

もちろん税理士側に非があるというケースもあるのですが、お客様のご理解やご協力があれば回避できたかもしれないと思うこともありますので、そのあたりはお客様にもアナウンスしておいた方が良いこともあると思います。

目次

税理士賠償責任保険の事例で多いもの

事例集を見ていると、税理士賠償責任保険の対象となった事案というものがいくつか出されています。その中で多いのは消費税に関するものです。

というのも、消費税については届出関係や計算方式の選択など、ちょっとしたミスで税額に大きな影響を及ぼすケースがあります。

このちょっとしたミスというものがどういったことに起因するかというと、やはり思い込みであったり、確認したつもりであったり、そういったことが影響としてはかなり大きいです。

反対に、税理士賠償責任保険で消費税に関するもので、保険が下りなかった、対象にならなかったものとしては、ある一定時点で税理士にはその先の予知が難しかったものというのは保険が下りる対象外になっています。

つまりこれから先のことは不確定な部分もあるのでそういったことを完全に読み取るというのはやはり難しいのですが、過去のことについてはやはり確認できることも多いので、その点は注意が必要です。

例えば、消費税の簡易課税を選択している事業者が不適用届出書を提出し漏れたことで、過大に消費税が発生してしまったケース。過去に簡易課税制度を選択していることを確認が漏れているケースもあります。

適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)になるための届出書に記載した日付に誤りがあったり、本当にこんな些細なことで、とは税理士の私が見ても思うこともあるのですが、うっかりミスというのは誰にでも起こり得るものです。

そういったミスをいかに減らしていけるかというのは、お客様にもご協力をいただく面があるのではないかなと思います。

イレギュラーな税務がミスの原因に

例えば、消費税のことだけに絞って言うと、イレギュラーな税務というのはミスの原因になっていることが多いです。イレギュラーなイベントと呼んでもいいでしょう。

他にも法人税や相続税など、普段はこういった処理をあまりやらないというところに限ってミスが発生したりするものです。

思い込みによってチェックがおろそかになっていたり、「何々したつもり」と勝手に思い込んでミスが発生したりというのは、本当に残念なことなのですが、なるべく減らしていきたいことでもあります。

そういったことを減らそうと思うと、税理士側のチェックもそうですが、お客様にもイレギュラーなイベントについては事前によく相談をしていただくというのが望ましい形だと私は思っています。

税理士もお客様も事故がないように気をつけるために

例えば、どういったことがあるかというと、「事前確定届出給与」という法人の役員に対する賞与的な性質の役員報酬があります。

これは、事前に税務署に届出をしておくことで、賞与として支給する形を取れるという内容です。

役員報酬は、通常「定期同額給与」と呼ばれる、毎月決まった一定金額を支払う形でしか損金算入することができません。

一方で、この事前確定届出給与で対応すると、適切な届出が必要ではあるのですが、役員に対して定期同額給与とは異なる役員報酬の支払いができ、損金算入ができるというわけです。

つまり、定期同額給与については毎月定期的に計上しているものなのですが、事前確定届出給与の対応はイレギュラーな対応です。

こうしたイレギュラーなイベントに対してきちんと対応しているかどうかというのは、税額に影響を及ぼすことが大きいです。少しのミスが命取りになるという意味で、チェックは必要なことでしょう。

事前確定届出給与で言えば、届出の期日や支給金額など、ずれが生じると損金に算入できなくなる、一発レッドカード退場というようなミスがあります。

お客様との協力体制が重要

そういったことを減らそうと思うと、やはりお客様にも必要なことをお願いする、できれば一緒に確認をして、心配がないかということをアナウンスしておくのも望ましいでしょう。

前段で触れた消費税に関するもので言うと、設備投資のタイミングであったり、インボイス登録のタイミングであったり、計算方式の変更のタイミングなど、普段とは違うイレギュラーなことが発生するときにミスが起きているように見えます。

そういったイレギュラーなことをお客様から相談があったり、こちらが提案するときには、必ずチェックを二重に三重にしておくというのは、やっておきたいことではあります。

本来であれば必要なかった税金を納めるというのは、お客様にとっても不利益なものになるからです。

税理士の思い込みだけでそれが発生しているわけではなく、イレギュラーなイベントにはそういったリスクが伴うものだということをご理解いただくのも大事なことだと思います。

まとめ

税理士賠償責任保険の事例を見ていくと、特に消費税に関する届出漏れや計算方式の選択ミスなど、些細に見えるミスが大きな税額の差を生んでいることがわかります。

これらのミスの多くは、イレギュラーな税務イベントへの対応時に発生しています。

税理士側の注意深いチェックはもちろん必要ですが、お客様との良好なコミュニケーションと協力体制があってこそ、こうしたミスを未然に防ぐことができます。

特に、設備投資や役員報酬の変更、消費税の計算方式の変更など、普段と異なる対応が必要な場合には、事前によく相談していただくことが重要です。

税理士とお客様が協力して二重三重のチェックを行うことで、不要な税負担を避け、双方にとって安心できる税務処理を実現していきたいと考えています。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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