今年の2月頃からClaudeというツールを業務で使い始めて、3ヶ月ほど経ちました。「税理士がClaude ?」と思われるかもしれませんが、実際のところ何が変わったのか。
先に断っておくと、私は生成AIの世界で先頭集団を走っているわけではありません。トップランナーである必要も感じていません。等身大で、自分の事務所に合うやり方を、走りながら探している段階です。
ClaudeやClaude Codeとは何か——税理士が使う文脈で説明すると
ClaudeはAnthropic社が提供するAI向けのツールです。ClaudeCodeはプログラムのコードを書くためのものというイメージです。
ただ、コードを書く以外の用途にも使えます。私の場合は主に「文書の下書き」「テンプレートの生成」「細かい作業の自動化」といった文脈で使っています。
プログラミングの知識がなくても、ある程度は使えます。ただし、やりたいことをどうAIに伝えるか——指示する力——は必要です。この3ヶ月で一番鍛えられたのは、案外その部分かもしれません。
実際に何に使っているか——事務所業務への応用
① 定型文書の下書き生成
お客様へのお知らせ文や、スポット相談後のフォローアップ文などの下書きに使っています。「毎回ゼロから書く」から「叩き台を直す」に変わったことで、作業時間が目に見えて短くなりました。
② コンテンツ企画の整理
ブログ・YouTube・メルマガのネタ整理や構成案づくりにも使っています。頭の中にある断片的なアイデアを、AIと話しながら整理していく、という使い方です。実はこのHP記事の構成も、Claude Codeと一緒に組み立てました。
③ データ処理の補助
Excelやスプレッドシートの整理、集計式の作成などです。「この表からこういう出力を作りたい」と指示を投げると、手順を教えてくれます。
どれも劇的な変化というより、地味に便利、という感じです。でも積み重ねていくと、結構な時間の節約になっています。
私はGASというGoogle Apps Scriptを使うことが増えてきました。Googleのサービスの中で完結できるプログラムを作れるのでとても効率がいいのです。
一例で言うと私は毎月末にお客様それぞれに請求書のメールを送っていますが、メールの下書きのコードをGASで作るとスプレッドシートに記載しているお客様のメールアドレスごとに下書きを作れます。
それまではお客様のメールアドレスなどをいちいちスプレッドシートからコピーペーストしていましたが、体感で作業時間が1/5にはなりました。
メールの下書きの本文のところもそれぞれスプレッドシートに記載することで内容を反映したものを作れます。
こういったことは事務所内部の効率化にとても役立ちますが、反面とても地味です。でも地味なことのほうが意外と効果が高かったりするものなのでそこは気にしなくてよいかなと。
うまくいかなかったこと・やめたこと、そしてお客様のデータについて
何もかもうまくいったわけではありません。税務判断そのものをAIに任せようとした時は精度が安定せず、かえって確認の手間が増えました。
指示が曖昧なまま使い始めた時も、出力がブレて修正に時間がかかります。
税務の最終判断はAIに任せられない。これは3ヶ月使って改めて感じたことです。
もう一つ、税理士として外せない点があります。お客様のデータを扱う場合には、事前の承諾——契約書などでの取り決め——が前提になるということです。
AIにデータを学習させない「オプトアウト」を選ぶにしても、その前提は変わりません。
だからこそ私は、お客様の生データを直接AIに触れさせるのではなく、自分の手元の作業や、もう少し細かくニッチな部分に使うのが今のところ現実的だと考えています。
会計ソフトとAI——どこに使うかを自分で決める
「会計ソフトをAIで操作する」といった話題もよく耳にします。ただ私の感覚では、その領域は会計ソフト会社自身がこれからどんどんAIを取り込んでいくはずです。
であれば、私が無理にそこへ踏み込むより、もう少し細かくニッチな部分にAIを効かせるほうが、自分の手間に対して効果が見合うように感じています。
同業のとも「AIって実際どうですか、使ってますか」という話題も増えました。使い始めるハードルは、もう十分に低い印象です。
問題は、何に使うかを自分で決めることです。何でもできそうに見えるからこそ、「どこに入れるか」を先に考えないと迷走します。
ツール関係はなんでもそうですが、そのツールで解決できることがあるのかどうか、入れることが目的にならないようにはしておきたいです。
おすすめは、自分の業務の中で「毎回同じことをやっている作業」を一つだけ見つけて、そこに試してみること。それが一番、遠回りしない使い方だと思っています。
税理士の仕事はなくなるか——そして、生まれた時間をどこへ
よく聞かれるので、正直に答えます。記帳の補助・書類の下書き・情報整理——こうした作業は、確実にAIに置き換えられていくでしょう。でも判断・確認・相談の場——ここはまだ人間が担うべき部分だと思っています。
いま税理士・会計士のトップランナーたちは、「事務所内の効率化サポート」そのものを商品にしているように見えます。
セミナーなどを見ていても、そう感じます。それも一つの道です。ただ、自分が目指したいのはそこなのか——これは走りながら考えているところです。
地道な事務所の効率化で生まれた時間を、どこに振り分けるか。最終的にはお客様のお困りごとにもっとフォーカスする形になるのかもしれません。まだまだ、やれることはありそうです。
少なくとも今は、AIを使いこなせる税理士のほうが、そうでない税理士よりも効率的に仕事ができる時代になっていると感じています。変わりながら、続けていくつもりです。
