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令和8年度税制改正大綱のポイント解説①

2025年12月に令和8年度税制改正大綱が公表されました。その中でも結構大きな影響がありそうな改正項目がありますので、事業者のかた向けを中心に少し触れておきたいと思います。

目次

法人に対する改正項目

法人税部門について先に見ておきます。いくつかありますが、ピックアップしてお伝えしておきます。

1. 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

国内における高付加価値型の設備投資を促進する観点から、特定の設備投資に向けた税制を創設しています。

いわゆる中小企業経営強化税制と似ていますが、即時償却または税額控除率7%(建物、附属設備、構築物は4%)となっています。(法人税額の20%までが税額控除の上限で上限超過分は3年間の繰越可能です)

経済産業大臣の投資計画確認が必要となり、投資規模は大企業・中堅企業は35億円以上、中小企業等は5億円以上です。

2. 賃上げ促進税制の見直し

大企業向けの措置を令和8年度に廃止し、中小企業向けの措置は要件を見直し、令和9年度に廃止します。

中小企業向けの措置は現行制度を維持します。なお、教育訓練費に係る上乗せ措置については、令和8年度に廃止される予定です。

3. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価格の損金算入特例の見直し

いわゆる少額減価償却資産の対象となる固定資産の取得価格が、現行の30万円未満から40万円未満に引き上げられます。また、対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人が除かれることとされています。

パソコン等は近年値上がりが激しく、30万円に収まらないケースも出てきているとよく見聞きしますので、その状況に対応して30万円から40万円に金額が見直されたと捉えていただいて大丈夫です。

個人事業者に対する改正項目

個人事業主や個人所得税に対しての改正項目もありますので触れておきます。

1. 暗号資産の分離課税等

現行は暗号資産の譲渡等について譲渡所得税を計算するときには、総合課税といって給与や年金、その他の所得と合算して所得税を計算する構造になっていました。

これを金融商品と同じように分離課税しましょうという内容になります。他の所得と分離して20%(所得税15%、個人住民税5%)の税率により課税します。また、3年間の繰り越し控除制度も創設する予定です。

これまでが総合課税だったものを分離課税にしますので、所得税に対する影響としてはかなり大きいと思います。

暗号資産の取引をしている方は、この措置が導入されてから売却等を進めた方が、税金計算上有利になると考えられます。

2. 青色申告特別控除の見直し

現行は10万円、55万円、65万円の3本立ての控除額の設定がありました。それぞれ青色申告の場合に貸借対照表がある場合や電子申告の要件などを満たしている場合に控除額が決まる内容だったのですが、その内容が変更になる予定です。

特に10万円の青色申告特別控除については、まだ改正の要件がどういったものになるのか不明確ではありますが、売上が1,000万円を超えている事業者の場合には、10万円の控除を受けることはできなくなる見込みです。

複式簿記による控除の適用は電子申告を条件とするなど、令和9年分以降の所得税について適用される予定ですので、詳細は今後に判明すると考えられますのでわかり次第お伝えします。

3. 給与計算における所得税の改正

給与計算における所得税についてもいくつか項目がありますので、そちらも触れておきます。

一つがマイカー通勤に係る通勤手当の所得税非課税限度額の見直しで、マイカーを使って通勤をする場合の非課税限度額を引き上げる予定です。令和8年4月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。

もう一つが従業員への食事の支給に係る所得税非課税限度額の見直しです。

これは例えば会社が従業員に対して食事を支給することにより受ける経済的利益について、所得税が非課税とされる当該食事の支給に係る使用者の負担額の上限が引き上げられます。

年末調整等でこの辺りを調整している会社もあると思いますが、月額金額が増えることで非課税の金額が増えると考えてもらっていいです。

他にはふるさと納税の上限額の設定もありますし、NISA(ニーサ)の積み立て投資枠の拡充や住宅ローン控除の見直しなど、生活に近い部分の改正項目もありますので、今後また確定次第アナウンスしていきます。

消費税の改正項目

消費税の改正項目もいくつかありますので、こちらについても注意が必要な部分についてお伝えしておきます。

1. インボイス発行事業者となった小規模事業者に関する経過措置の見直し(いわゆる2割特例)

個人事業者の場合は、この2割特例が延長され、消費税額を3割として計算する3割特例になるというイメージで良いです。令和9年と令和10年分の申告において利用可能とされています。

2割特例はこれまで法人も特例の適用対象でしたが、法人については廃止される予定になっています。そのため、いわゆる2割特例については3割特例となり、個人事業主だけの適用になるという認識で良いです。

2. 免税事業者からの課税仕入に係る仕入税額控除に関する経過措置の見直し

適用期限が延長される形となり、いわゆる仕入税額控除として取れる金額の割合について変更になります。

令和8年10月から7割、令和10年10月から5割、令和12年10月から3割という内容になります。こちらも消費税の計算の仕方が変わる内容になりますので、消費税の課税事業者の方は免税事業者との取引の際には注意が必要です。

現行の仕入税額控除の経過措置

2023年10月1日~2026年9月30日:仕入税額相当額の80%

2026年10月1日~2029年9月30日:仕入税額相当額の50%

改正後の仕入税額控除の経過措置

2023年10月1日~2026年9月30日:仕入税額相当額の80%

2026年10月1日~2028年9月30日:仕入税額相当額の70%

2028年10月1日~2030年9月30日:仕入税額相当額の50%

2030年10月1日~2031年9月30日:仕入税額相当額の30%

まとめ

令和8年度税制改正大綱では、法人・個人事業者ともに実務に大きく影響する改正項目が多数含まれています。

特に大型の設備投資促進税制の創設や少額減価償却資産の取得価格引き上げ(30万円→40万円)は、多くの事業者にとって活用できる内容となっています。

また、暗号資産の分離課税化は税負担に大きな影響を与える可能性があり、取引をされている方は施行時期を踏まえた対応が重要です。

インボイス関係の改正項目については、個人事業主の3割特例や免税事業者からの仕入税額控除の段階的縮小など、影響がある事業者も多いと思いますので、引き続き注視して確認をしていきます。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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