まだタイミングじゃないな、という方はぜひ毎月末の事務所通信メルマガ(無料)の登録をこちらから!

長期滞留債権とは?確認方法と対処について

長期滞留債権というものがあり、税務会計上、特に税理士変更の場合や長年事業を続けてきた事業者の方には存在しているケースが多いです。

今回は長期滞留債権についてその確認方法と対処について整理しておきます。

目次

長期滞留債権とは

長期滞留債権とは、支払期日が長期にわたって経過しているにもかかわらず回収できていない債権のことを指します。

事業会計上では、おおむね期日経過から6か月ほどで長期滞留債権として扱うことが多いです。回収できていない債権は、要は未回収の売掛金と考えていただいてよいでしょう。

売掛金が期日を半年以上経過しても回収できていない、そういったものを長期滞留債権と呼び、通常の売掛金とは分けて考えます。

長期滞留している債権については、やはり回収の手立てがないかを考えておきたいところです。

回収できないものについては貸倒損失や貸倒引当金を計上することを検討したいところですが、貸倒損失の計上は税務上のタイミングが定められているため、タイミングを逃すと計上が難しいケースも実際には多いです。

特に先代や先々代の時代の債権だと、もはや相手先が事業をしているかどうかもわからず、未回収になった経緯もわからないことがあります。

「自己否認」と税務会計上は呼ぶことがありますが、会計上は貸倒損失として計上し、税金計算上はその費用がなかったものとして税金計算をするという方法をとることが選択肢になります。

税務調査があった際にはこのあたりの貸倒損失関係は指摘事項になりやすいので、丁寧かつ慎重な対応が必要です。

確認方法と対処

長期滞留債権の確認方法ですが、やはり売掛金台帳などでまずは長期未回収のものがないかをチェックするところからスタートします。

売掛金台帳と合わせて勘定科目内訳書(決算書類のひとつで科目の内訳を記載する書類です)も確認しておくとより有効です。

あくまでこれらの証憑書類が正確に作成されていることが前提ですが、長期に動きがないものをまずはピックアップしてみましょう。

ピックアップしたものについては、相手先に請求書を再送付したり残高確認を打診するというのも丁寧な対応になります。

そのうえで、売掛金から破産更生債権に振り替えて貸倒引当金を個別に計上しておくことも検討しておきたいところです。

貸倒損失計上には、債権放棄(債務免除)として内容証明郵便による通知がより確実ですが、そもそも相手先が存在しているかどうかもわからないケースはあります。未回収になって10年ほど経過しているとやはり難しい面はあるでしょう。

反対に、長期滞留債務についても併せて確認しておくのがおすすめです。

債務は支払義務があるものですが、相手先が倒産などしてそのまま宙ぶらりんになっている状態のことです。こういったものは債務免除してもらう側ですので、債務免除益として収益計上を検討することになります。

このような「よくわからないけれど残高が残っている」債権債務については、意識してチェックしておかないとほったらかしでそのままになってしまいます。

融資を受けている場合などはこうした内容の整理も評価のポイントになるとされていますので、定期的な入金や支払管理でのチェックだけではなく、少なくとも決算のときに年に一度は確認しておくのが望ましいです。

まとめ

長期滞留債権は、支払期日を(半年以上)過ぎても回収できていない売掛金のことです。長年にわたり事業を続けている事業者には存在しているケースが少なくありません。

確認の際は売掛金台帳と勘定科目内訳書をチェックし、長期間動きのない債権をピックアップしましょう。

相手先への請求書再送付や残高確認の打診、必要に応じて破産更生債権への振替や貸倒引当金の個別計上を検討します。

併せて長期滞留債務も確認しておくと、貸借対照表の整理につながります。これらの内容は融資審査での評価ポイントにもなりますので、少なくとも年に一度、決算時には確認しておくことをおすすめします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

目次