中小企業や個人事業主の経理において、チャージやポイント購入について経費計上を迷うことがあるかと思います。ポイント購入そのものは経費になりませんので注意が必要です。今回は、その処理方法について整理いたします。
ECサイトや交通系ICカードのポイント購入
例えば、Amazonや楽天などでポイントを購入することでチャージができます。交通系ICカードでも同じくチャージすることで、タッチ決済により公共交通機関に乗ることができ便利です。
ポイント購入によりポイント付加の優遇があったりすることもあり、お得にモノが買えたり、サービス提供を受けることができます。今ではコンビニなども独自のポイント制度を採用していたり、バーコード決済(PayPay)による決済も随分普及してきました。
クレジットカードからポイント購入もできたりするので、その分ややこしさも増したように感じますが、経理の際の基本は変わりません。
それはチャージやポイント購入したその内容そのものは経費にならないということです。いわば、そのカードや決済媒体に現金を預けているのと同じ状態と言えるからです。預けているだけで、まだ使っていないわけですので、ポイント購入そのものの支出は経費になりません。
ここまでで触れたように、交通系ICカードひとつとっても、いろんなことの決済に使えるようになっています。電車やバスに乗るためだけに使えるものではないということです。使途が拡がり、便利さが増したことで、ある意味でその内容をしっかりと確認しておくことが経理においても重要性を増しています。
経費になるタイミング
では、どのタイミングで経費になるのでしょうか。実際にそのポイントやチャージを使ったときに経費になります。
仕訳例
仕訳にして考えてみますと、以下のようになります。
交通系ICカードに現金でチャージをした場合
仮払金(※)/現金 5,000円
※仮払金の勘定科目は適宜使い勝手の良い項目で構いません。ただし、いきなり旅費交通費にはなりません。
交通系ICカードで仕事のために電車に乗った場合
旅費交通費/仮払金 350円
といった形での計上になります。
交通系ICカードのチャージのときに、いきなり旅費交通費に計上しているケースを見かけますが、すべてが旅費交通費に最終的になるとしても、使ったタイミングでの振替が正しい処理になります。
簡便的な処理方法
個人事業主や一人社長で処理が面倒に感じる場合には、以下のように処理することも可能です。
個人事業主の場合
- チャージの際には仕訳処理をしない
- 交通系ICカードで仕事のためにバスに乗った場合
旅費交通費/事業主借 220円
ひとり社長の場合
- チャージの際には仕訳処理をしない(会社の現預金ではなく、社長の立て替えとする)
- 交通系ICカードで仕事のために電車に乗った場合
旅費交通費/役員借入金 450円
- 後日、役員借入金についてはタイミングを見て精算しておく(役員借入金を残さないため)
交通系ICカードに限らず、ECサイト(Amazon、楽天、メルカリなど)でのポイントチャージの処理も同様にしておくのが望ましいです。
まとめ
チャージやポイント購入においては、購入時点ではなく実際に使用した時点で経費計上するのが基本です。現金を預けているのと同じ状態であり、使途も多様化している現在では、適切な時期での経費計上がより重要となっています。
処理方法としては、原則として仮払金等を使った二段階処理が正確ですが、個人事業主や一人社長の場合は簡便的な処理も可能です。いずれの方法を選択する場合でも、一貫性を持って処理することが大切です。