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平均課税の適用で更正の請求をする場合の注意点

平均課税の適用で更正の請求をする場合の注意点

平均課税の適用を受けて変動所得の計算をし、確定申告で所得税を特例計算する場合、当初申告(最初の申告)の時点でしか適用できないというルールはありません。

つまり、過去の申告について平均課税を適用し直して申告をやり直すことが可能です。これを「更正の請求」と呼びますが、平均課税を適用して更正の請求をする際の重要な注意点について整理します。

目次

更正の請求とは

更正の請求とは、計算が間違っていたことなどで納めすぎていた税金の還付を受ける、もしくは還付額をさらに増やす場合に修正を行う申告の種類です。

平均課税は更正の請求ができる特例となりますので、2024年や2023年の申告について平均課税を受けずに申告していた場合でも、実際に平均課税が適用できるケースでは、更正の請求をして平均課税を適用することができます。

更正の請求は以前は期間が短かったのですが、現在は法定申告期限から5年間は更正の請求をすることができます。2025年現在であれば、2021年分の申告から更正の請求が可能です。

更正の請求をする際の注意点

更正の請求の際には税務署側でチェックが行われます。ノーチェックですんなり通ることはかなりまれですので以下のような点に注意してください。

1. 資料提出の義務

更正の請求をする際には、どの部分に間違いがあったのかということを説明する資料を提出する必要があります。これは税務調査とは逆の形を取ると言われています。

  • 税務調査:税務署の調査官が事実認定や証拠固めを行う
  • 更正の請求:納税者側で説明責任を負う

具体的には、元帳の提出や支払調書、その他の書類について提出を求められるケースがありますので、この点は十分に留意が必要です。

2. 処理期間

更正の請求をしてから概ね2か月以内に実際に還付されるか、さらに修正を指示される場合があります。やりとりが増える可能性もあります。更正の請求をしたからといって、必ずしも全額が返ってくるわけではない点にご注意ください。

3. 適用範囲の限定

平均課税の特例は所得税の計算上の特例のみです。以下の税金には影響しませんので留意してください:

  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税

更正の請求の手続き

更正の請求については、通常の申告内容と異なる帳票書類が必要になります。個人事業主の場合は確定申告書等作成コーナーを利用するのが最もわかりやすい方法です。既に申告している情報があれば、その申告情報をもとに更正の請求書を作成することができるためです。

通常の会計ソフトを使用している場合、更正の請求ができるかどうかは会計ソフトの仕様に依存しますので、事前に確認しておくことをお勧めします。

平均課税の適用を受けられる変動所得の把握についても改めて確認が必要です。例えば、変動所得の対象となる印税や原稿料と、実際に本を印刷・販売する場合の売上は別の扱いになります。

変動所得にかかった経費と、それ以外の所得にかかった経費を按分するケースも出てきますので、この点についても改めて整理しておくことをお勧めします。

まとめ

平均課税の更正の請求をご検討の際は、これらの注意点を十分に理解した上で手続きを進めることが重要です。

  • 平均課税は過去5年間遡って更正の請求が可能
  • 納税者側での説明責任と資料提出が必要
  • 所得税のみに適用され、住民税等には影響しない
  • 手続きが複雑なため、専門家への相談も検討する
  • 変動所得の分類と経費の按分に注意が必要
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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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