申告のやり直しである更正の請求と還付申告について、結果的に税金が返ってくるという最後の部分は同じですが中身は全然違いますのでその違いをお伝えしておきます。
更正の請求と還付申告の違い
更正の請求は申告のやり直しで納税していたものが還付される、還付される金額が増える、という内容の場合の申告のことを指します。
つまり一回は申告をしているということです。
その一回目の申告のことを当初申告と呼ぶことがあり、その後の申告のやり直しは修正申告もしくは更正の請求です。
修正申告は納税が足りずに追加で納付する、当初申告で還付された税金が多すぎたため返還する場合の申告の呼び方です。
当初申告があって、申告のやり直し(修正申告か更正の請求か)という順番になります。
更正の請求は原則として法定申告期限から5年間行うことができますが、相続税など一部の税目で特別な場合には更正の請求ができる期限が決まっています。
一方で還付申告というのは一回目の申告のことを指し、申告内容から納めすぎていた税金が還付される申告内容のことをいいます。
例えば所得税の申告だと、申告をして還付になるケースがありますがそういった申告のことを還付申告と表現しています。
所得税の還付申告は確定申告期間とは関係がなく、その年の翌年1月1日から5年間は申告をすることが可能です。
ただし事業所得で青色申告特別控除などを受ける場合には申告期限までに申告しておくことが適用要件のものがあるため、本来の申告期限までに申告しておきましょう。
更正の請求は当初申告があり申告のやり直しの結果で還付になる、還付申告はそもそも一回目の申告だ、という認識でよいです。
結果的には同じ還付になりますが更正の請求には特に注意点がありますので確認しておきましょう。
更正の請求の注意点
更正の請求は当初申告の内容に誤りがあったりした場合の申告で、一度納めた税金を返してもらう処理になります。
税務署側としても更正の請求についてはきちんと内容を精査してからでないと署内での決済がおりないとされているため、必要な追加書類の提出などが求められることが多いです。
また更正の請求の決済をする前に税務調査になるケースもあるとされています。
税務調査を前提に置いたときの注意点としては、当初申告についての指摘事項については税務署側に説明責任が生じるとされており、更正の請求についての指摘事項については納税者側に説明責任が生じるとされている点が要注意です。
例えばAという内容の当初申告をしてその内容について税務調査があったときに、AではなくBだったということを証明するのは税務署側に責任があるということです。
反対にAという内容の当初申告をして更正の請求をしてAではなくBでした、という内容にする場合にはその内容を証明するのは基本的に納税者側だ、ということになります。
この違いは税務の現場ではかなり大きな違いになりますので、更正の請求をするかどうかはその点も加味して検討しておくのが望ましいです。
もっというと当初申告で特例などを適用する場合も、税務調査があったときにどちらが立証責任を負うかはとても大事なポイントになります。
すべての特例について完全に適用できる状態と判断できればそんなことは検討しなくてもよいのですが、現実問題としてはグレーな状態、微妙な内容ということも実際のところはあります。
まとめ
更正の請求と還付申告の違いについてお伝えしました。最も良いのは申告期限までにまずは適切な内容で申告しておくことですが、救済措置がないというわけではないのでその点は安心材料ではあります。
ただし当初申告で適用していなかった特例で更正の請求のときには適用できないという内容のものもありますのでそういったことへの留意と、更正の請求の際の立証責任についても理解の上で対応しておくのが望ましいです。