まだタイミングじゃないな、という方はぜひ毎月末の事務所通信メルマガ(無料)の登録をこちらから!

個人事業者が外国の売上があるときの外国税額控除の基本

個人事業者が外国の売上があるときの外国税額控除の基本

個人事業主の方で外国での売り上げがある場合の税務会計処理、外国税額控除の基本についておさえておきましょう。特に外国税額控除は記載誤りがあるとすぐに修正申告につながる可能性が高いです。

目次

外国からの事業による売上・収益

漫画家・同人作家のかたや同人ゲームクリエイターのかたが国外のプラットフォームなどで売上があるケースが増えています。

日本のコンテンツの評価が高まっており、アダルトコンテンツを含めて国外に販路がある作家の方も徐々に増えている様子です。

外国での売上がある場合には売上の計上金額に注意が必要です。

例えば源泉徴収されているような場合にはその源泉徴収前の金額が売上です。

米国に所在があるゲームプラットフォームでゲームをダウンロード販売している場合には、ダウンロード数と単価に応じて報酬が決まります。

米国での手続きを何もしていない場合、源泉所得税が徴収されていることがあり(著作権の使用料で20%)この金額の取り扱いに注意が必要です。

日本国内での販売と同じように、入金金額が売上ではなく、源泉徴収前の金額が売上となります。

仮に1万ドルの売上で源泉徴収が20%されて入金が8,000ドルの場合には、売上は8,000ドルではなく1万ドルで計上、源泉所得税2,000ドルという計上のしかたです。

税務会計上はこの処理で問題ないのですが、もう一つ気を付けなければいけないのが外国税額控除の処理です。

日本国内の感覚で処理をすると、売上1万ドルに対して源泉所得税を米国で納めている形なので外国税額控除2,000ドルと外国税額控除の明細に記載したくなります。

ただしこの処理をすると外国税額の処理の誤りで税務署からすぐに電話がかかってきて修正申告を勧奨されてしまいます。

外国税額控除の基本

外国で納めた税金がある場合に日本の税金を課税すると二重課税の問題がでてきます。

この問題を避けるために外国税額控除のしくみがあるのですが、一方で例えば米国で納めた源泉所得税は日米間の租税条約で取り扱いが規定されているものがあります。

著作権の使用料に対する米国の源泉所得税は日米間の租税条約ではゼロ(米国での課税はしない)となっており、適切に米国側に処理(W-8BENやFORM1040)をしておくと源泉徴収された米国の源泉所得税は還付処理になります。

ここを認識せずに米国で納めているから外国税額控除だ!と処理してしまうと間違った内容になってしまうということです。

外国税額を納めている場合には租税条約による取り扱いが別ではいるということを頭の片隅に置いて処理をしましょう。

同人ゲームクリエイターのかたでSteamで販売している方は特にこの辺りがよくわからずに半ば放置する形で処理をしてい待っているケースはありそうです。

上記の例で言うと売上8,000ドルで計上して外国税額控除も受けない、売上1万ドルで計上して米国側の処理をしていないなど。

いささかもったいない部分もあるでしょうから今一度処理を見直してみてください。

まとめ

現状多くの国や地域と租税条約等を締結しており、外国税額控除の処理は租税条約に大きく影響を受けます。

米国や台湾など同人クリエイターにとっては身近な存在になりつつある市場ですので、もし今販売していたり今から販売をしたいと考えている場合には処理を事前に確認しておきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

目次