漫画家や同人作家などのアシスタントとして仕事をしている、生計を立てている方も多いかと思います。
そういったアシスタントのかたの確定申告についてお伝えします。
雇用契約の場合
事業主である漫画家のかたと雇用契約の場合をまずは確認します。
社会保険料が引かれているかどうかは漫画家の先生の事業規模や社会保険の任意加入いかんですが源泉所得税は差し引かれているはずです。
国保年金加入で給与からは所得税と住民税だけ引かれている
社会保険加入で給与からは税金+社会保険が引かれている
この2パターンに分けられると考えられます。
国保と国民年金の場合には給与から自分で支払いをしているか、もしくは給与の金額が社会保険の扶養の範囲で配偶者の不要には入れているケースなども想定できますね。
国保・国民年金でも社会保険でもどちらの場合でも年末調整事務は事業主である漫画家の先生の義務です。
年末調整で対応してくれている場合にはいわばミニ確定申告ができるわけですから、確定申告でしか対応できないことがなければそれで完結です。
複数の漫画家さんのところでアシスタントとして勤務して給与をもらっている、掛け持ちの状態の場合には2か所給与と言って源泉徴収票が2枚手元にくるはずです。
一枚は甲欄(メイン)でそのほかは乙欄(サブ)という取り扱いが正しいのですが、複数個所でかけ持ちをしている状態ですと一か所の年末調整だけで精算できない(他の事業所での給与がわからない)ので確定申告が必要です。
確定申告をすることで乙欄で計算されていた源泉所得税は基本的に多めに引かれます(そういう計算になっています)から、確定申告をすると所得税が還付になるケースが多いです。
アシスタントを掛け持ちしている場合には確定申告をしておく、というのを忘れないようにしましょう。
源泉徴収票だけ複数枚ある、ということであれば国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書自体はすぐ作れますからトライしてみてください。
業務委託契約の場合
業務委託契約、いわば外注としてアシスタント業務をしている方もいらっしゃるでしょう。
この場合には業務委託報酬として受け取っている金額は収入であり売上になります。
規模が小さい場合や給与のある仕事との掛け持ちの場合には雑所得で、業務委託契約が複数ありいわゆるプロアシスタントのような形での所得であれば事業所得になると考えられます。
その外注アシスタントとしての業務にかかった費用は経費になりますし、報酬は売上ですから通常の個人事業主と同じく事業所得の場合には青色申告特別控除なども適用できます。
事業主としての確定申告という位置づけです。
給与の場合は年末調整があるため必ずしも確定申告しなくて済む、ということはあり得るのですが事業所得の場合は申告が必要です。
それほど経費の掛かる業務ではないと考えられるため黒字のかたが多いでしょうから確定申告のときに納税金額を計算して納めるパターンが主流です。
もし赤字だとしても青色申告の承認を受けている場合には三年間は損失繰越ができますので確定申告しておくのがよいです。
いずれにしても赤字だろうと黒字だろうと業務委託契約で事業所得の場合には確定申告をやっておくことになりますし、雑所得でも利益が20万円に届かなければ所得税の申告は不要ですが住民税の申告が必要になります。
確定申告は必ずやっておく
漫画家のアシスタントの場合には業務委託か雇用かの判断がまずもって大事になるのですがアシスタントの立場で雇用契約、業務委託契約と選べることはまれです。
大概が漫画家先生からの依頼でどちらか決まることになります。
業務を請ける側として選択できないことが多いので漫画家先生との契約に沿ってまずは申告が必要なのか年末調整だけでよいのかの判断をするのがよいでしょう。
こちらで選べない以上はその決められた契約に沿って適切に処理する他ありません。
こういった契約内容の確認がどういうタイミングで行われるかですがアシスタントさんの確定申告に対する税務調査よりも、業務を依頼等している漫画家先生の税務調査の時に問題になります。
業務委託契約にも関わらず確定申告をしていなければ給与のつもりだったからではないか、と疑いをかけられるキッカケになるケースが多いです。
業務委託契約の場合は必ず確定申告をしておくことで自分の身を少なくとも守ることにつながる、ということは意識しておきましょう。
まとめ
漫画家さんのアシスタントをしているかたむけに確定申告のお話を書きました。
まずはご自身が雇用契約なのか業務委託契約なのかの確認からしましょう。きちんと対応している漫画家の先生も増えてきていますしそういうところで仕事をするのがやはり望ましくはありますね。