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税務調査の事前準備 相続編

税務調査の事前準備 相続編

相続税の申告そのものは一般的には両親の相続で2回あれば多いほうかもしれません。全体平均で亡くなった方のうちおよそ10%前後が申告が必要とされています。

申告があれば税務調査の可能性もあるわけで、財産の金額が大きくなればなるほど可能性としては高まります。

相続税の税務調査について整理しておきましょう。

目次

相続税の税務調査の特徴

相続税の申告書を提出した後の税務署側の想定される動きとしては、まず1年ほどをかけて税務著内の部署で申告内容のチェックをされます。

その後、確認事項等があれば税務調査連絡もしくは書面添付していれば意見聴取の機会が設けられます。

財産の金額が多額になればなるほど税務調査の可能性は高くなりますが、おおむね申告書提出から3年経過すれば税務調査はなさそう、とみてよいでしょう。

1年ほどの机上調査のあいだに、亡くなったかたとその親族の分まで預金の異動履歴を取って資金移動がないか確認をしているそうです。

そのときにある程度のアタリをつけているのも確かでしょう。

そのうえで税務調査の際に資金移動の確認や名義預金の有無、認識などをチェックしていくものと思われます。

相続税の税務調査の特徴としては次がない、ということが挙げられます。

法人や個人事業主であれば3年後、5年後にもう一度チェックしよう、税務調査に入ろうという考えもできます。

それがコロナ禍などでも少し時期をずらして税務調査ができたひとつの理由です。

相続の場合は次の税務調査、というのができませんので、税務署側も納税者側も一発勝負の面があります。

そう考えるとここで取り逃したら次はないということは調査官も頭の片隅にいれて対応してくるので自然と厳しい内容や追及になりがちです。

もちろん適法の範囲でということにはなりますが、次の機会がある法人・個人事業主と、次の機会がない相続ではその性質が異なってきます。

もうひとつの特徴としては相続税の税務調査を経験したことがある納税者、相続人のかたはかなり少ないと言えることです。

中小企業の社長であればある程度は税務調査そのものの流れなども分かっているかと思いますが、一般納税者のかたは相続税申告そのものが初めて、もちろん税務調査も初めてというケースが多いです。

そのため、事前にこういうことを聞かれます、シミュレーションしておきましょうというのはかなり大事になってきます。

税務調査官も聞き出し方がうまいケースはありますが、相続人のかたが冗長に話してしまいボロが出るということも往々にしてあります。

税務調査では聞かれたことにシンプルに回答する、余計なことをしゃべりすぎない、分からなければ調べて連絡する、思い出せなければ記録を確認等して連絡する、というのはとても大切です。

事前準備として最も大事なのは資料の整理と税務調査時のヒアリングに対してのシミュレーションといえます。

相続税の税務調査で聞かれること

相続税の税務調査で聞かれることは大きく分けて2つです。

聞かれることのひとつ目は亡くなった方の経歴や生前の様子、財産の形成要因です。

これらは相続税申告書に記載されている内容のこともありますが、生前の様子や経歴については調査がないとわからないことでもあります。

生前はどのように過ごしていたのか施設に入っていたのか、仕事はなんだったのか、どういうしゅみがあったのか。

こういったことを確認されます。

財産の内容をいきなり確認されることもありますが、財産形成に影響を及ぼす内容だからこそ聞いているわけです。

趣味もお金がかかるものだったり財産構成するようなものがあったりすると計上漏れの端緒になります。

例えばゴルフが趣味でしたとなるとゴルフ会員権を持っていたことはないかとか、生け花やお茶会が趣味でしたとなると高価な花器や茶碗などを所有していないか、ということを想像したりします。

これらは相続税申告書を作成する際にも確認しておきたい部分ではあります。

また財産形成要因としてどういうことが考えられるのかも確認されます。起業していたのか、元々の地主なのか、大企業で役員までいったとか、いろいろとあるわけです。

そういったことの確認を通じて財産計上漏れの要素がないかを受け答えなどから丁寧に確認していきます。

聞かれることのふたつ目はやはり財産に関することです。

資金のやり取りはあったのかなかったのか、贈与なのか貸し付けなのか、名義財産と呼ばれるものがないか。

こういったことを相続人のかたに直接確認されることが多いです。

ご自身の認識では名義預金ではなくても、税務調査官が見ると名義預金に見える、というケースは往々にしてあり、名義預金じゃないということを説明する根拠も税務調査の前段階、出来れば初めに申告書を提出するときには抑えておきたいところです。

税務調査までには時間を要することから、やはり忘れていくこともありますので備忘録的に記録をつけておくこと、書面添付に記載しておくこともよいでしょう。

全ての申告に税務調査が来るわけではないですが相続人のかたにとっては税務調査がくればn=1になり得ます。

また相続人のかたのスタンスによっては税務調査には絶対に来てほしくないというケースもありますのでどこまでを財産計上するのか、といういい具合を見つけるためにも相続税申告の段階でよく検討しておいた方がいいことはあるものです。

そういう意味でも法人・個人事業主の税務調査との違いはやはりありますね。

まとめ

万が一、税務調査があったとしても当初の申告でしっかり対応できていることがやはり望ましく安心です。

税務調査があるかもしれないという可能性を考慮して申告内容のチェックを行うことも安心につながりますので、その視点を備えて申告に取り組んでおきたいところです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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