インボイス対応を進めている事業者も多くなってきましたが、クレジットカードの明細については注意が必要ですので対応を整理しておきます。
いままでは割と緩めでOKでしたがインボイス後は変わります。特に消費税の計算を原則課税方式で行っている場合の注意点です。
クレジットカード明細はインボイスでも領収書でもない?
クレジットカードを法人名義で作成して引き落しを法人口座からという会社もあるでしょう。
従業員や役員に現金を持たせないで済むという点で精算等が不要になるなどメリットがあります。
一方で使いすぎないようにする(クレジットカードでの支払いは支出をしている感覚が減るため)ための対応も必要です。
クレジットカードでの決済であればクラウド会計ソフトとの連動もよいので便利ですし推奨されます。
経費の支払いの点ではメリットが多いのですが消費税の計算上においては少し事情が変わります。
現行でもインボイス制度開始後でもクレジットカード明細はあくまでクレジットカード会社が立替え(しているようなもの)の明細です。
この利用明細だけでは消費税の仕入税額控除の要件を満たしません。
現行の消費税計算のルールにおいては3万円未満の取引については帳簿のみの記載でOKでしたがそれもインボイス登録後に変わります。
クレジットカードの利用明細はあくまでカード利用の履歴であってお店で何かを買った場合のそのお店の領収書ではないということです。
またそのお店の請求書でもないので、クレジットカードの利用明細ではインボイス対応ができないということがインボイス開始後の処理のポイントです。
いまは3万円未満の取引については一定事項を記載した帳簿の保存で対応ができますが、インボイス制度開始後はこの対応もなくなります。
つまり、クレジットカードの利用明細そのものはインボイスに対応している請求書や領収書ではないので対応が変わってくるということです。
具体的にお店やECサイトから発行される領収書や請求書がインボイス要件を満たしているかどうかで消費税の仕入税額控除が決まります。
店舗でクレジットカードの利用をした際にはレシートや領収書、カード利用票(クレジットカード売上票などと記載)されているものを必ず保管しましょう。
ECサイトなどwebサイトで購入した場合にはそのサイトから発行される領収書等の保存が必要です。
そしてこの電子取引(ECサイトなどでのオンライン取引)については帳票の保存のルールが2024年1月から変わります。
電子帳簿保存法との兼ね合い
電子帳簿保存法が2024年1月からスタートする予定ですが、こちらとの兼ね合いも電子取引については発生します。
というのもいままでは割と緩く書類の保存等が運用されていた面があり、紙の書類を紙で保存していてもスキャン等して保存していてもOKでした。
またオンライン等での電子取引でもその領収書や請求書を電子データの状態で保存していても紙に出力してもOKでしたので、つまりちゃんと中身が分かればOKということだったのですがこれが変わります。
基本的な対応としては紙の書類は紙で、電子データは電子データでの保存が必要というのが基本ルールです。
紙のモノを電子データで保存することはできますが要件としてはタイムスタンプの付与など手間と費用が掛かります。
そのため紙のモノは紙で、電子データは電子データのままでの保存をする必要がありクレジットカードを利用した際にも適用されます。
クレジットカードを使って店舗で買い物をし領収書などを紙でもらった場合にはそのまま保存しておけばいまのところは問題がないです。
ECサイトなどでクレジットカードで支払いをした場合にはそのサイトから発行される領収書や請求書を電子データのまま保存しておく必要があります。
改正電子帳簿保存法についてはこちら
まとめ
まずはクレジットカードの利用をしているかどうか帳票関係として残さなければいけないものを確認しておきましょう。
いままでは3万円基準などがあって帳簿保存だけで事足りていたケースも多かったと考えられますが、クレジットカードの明細はインボイス要件を満たしていませんので注意が必要です。