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土地の財産評価における縄伸び、縄縮み、実際の地積とは

土地の財産評価における縄伸び、縄縮み、実際の地積とは

土地の財産評価は相続税申告や贈与、非上場株式で会社が土地を保有している場合にはついて回ってくる業務です。

一方であまり得意じゃないというかたもいらっしゃって、土地の面積についてどう考えればよいのか、判断に迷うというご相談もあります。

今回は土地の財産評価における縄伸び、縄縮み、実際の地積について考えてみましょう。

目次

縄伸び、縄縮みとは 地積が違うことがある?

財産評価をやっていると登記簿謄本を見る機会というのはやはり増えます。

月次顧問の仕事で法人のお客様だと役員登記などの関係で見る機会はありますが、それとは段違いに土地建物の登記簿謄本を目にします。

そもそも最初の登記のときに土地を計った際にはむかしのことですからズレが生じているとされています。

測量の方法も簡易で決まった長さの縄を使ったりということもあったそうです。

縄ですから物理的に季節や水分量によって伸び縮みするでしょうし、縄そのものも劣化して伸びたりするようです。

そういった縄を使った測量からこの今の時代まで測量が入っていないと、当然ズレがそのまま残っていることがあります。

実際の地積と登記簿謄本上の地積のズレについて縄伸びしている、縄縮みしているという表現をしたりします。

縄伸びは、実際の土地の面積>登記簿謄本上の土地の面積の状態を指しています。反対に縄縮みは、実際の土地の面積<登記簿謄本上の土地の面積の状態です。

登記簿謄本上の面積のことを公簿面積と呼んだりしますが、公簿面積が必ずしも実際の面積ではないということは頭の片隅に置いておいた方がよいです。

特に第二次世界大戦中に空襲を逃れた都市部で古い町並みが残っているようなところはそもそも測量が古いところが多く、公図も精度がかなり低いです。

実際の地積と公簿面積が違うんだ、ということは財産評価において価格への影響がかなり大きいポイントですので留意して財産評価業務に取り組んでいます。

実際の地積で財産評価、とは

財産評価基本通達には以下のように地積について説明がされています。

財産評価基本通達8 地積

地積は、課税時期における実際の面積による。

とされています。

では実際の地積とはすべての土地に測量を要求しているかいうとそうではありません。

国税庁の質疑応答事例には以下のような説明がされています。

照会要旨

土地の地積は、「実際の地積」によることとなっていますが、全ての土地について、実測することを要求しているのでしょうか。

回答要旨

土地の地積を「実際の地積」によることとしているのは、台帳地積と実際地積とが異なるものについて、実際地積によることとする基本的な考え方を打ち出したものです。

 したがって、全ての土地について、実測を要求しているのではありません。

 実務上の取扱いとしては、特に縄延の多い山林等について、立木に関する実地調査の実施、航空写真による地積の測定、その地域における平均的な縄延割合の適用等の方法によって、実際地積を把握することとし、それらの方法によってもその把握ができないもので、台帳地積によることが他の土地との評価の均衡を著しく失すると認められるものについては、実測を行うこととなります。

となっていますので全ての土地について実測しなさいということではありません。

台帳地積と実際の地積が異なる場合には実際の地積で財産評価をやってくださいね、という基本的な考え方ということです。

他に方法があれば採用してみてはどうか(立木に~の部分)としていますので分かる範囲で実際の地積を出してみるのがよいでしょう。

そのうえであまりにも公簿地積と実際の地積が異なる、という場合には実測を入れることを検討するというのが財産評価における「実際の地積」についての検討プロセスです。

では実際のところはどうするのか

土地の財産評価を始めるときにはアタリをつけておきたいところ。すべての土地の公簿地積と実際の地積が違うというわけでもないですし、一致するという訳でもないからです。闇雲に進めていくと時間がいくらあっても足りなくなります。

わたしが土地の財産評価に着手する際には以下のような資料から実際の地積と公簿地積に違いがないかのアタリをつけています。

  • 土地の測量図
  • 固定資産評価明細上の課税地積
  • 建物の建築図面
  • 建築計画概要書
  • Googleマップでの航空写真ベースでの測量

こういった資料がある場合もあればない場合もあります。ただ公図だけで財産評価を完結させることはありません。

また机上である程度財産評価のめどがついたら可能な限り現場に足を運びます。

道路の幅や間口距離はもちろんのこと、接道している部分の角度であったり、周囲の状況、袋地なら人の出入りができるかなど現地でしか見れないものを確認するための現地確認は必要です。

測量図がないとしてもいかに財産評価ができるかはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

土地の財産評価における地積の考え方、実際のところどうするのか、というのを整理してお伝えしました。

それぞれの流派というかやり方があると思いますが参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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