インボイス制度が始まると発行する請求書の変更と同時に受け取った請求書の取扱いも変わってきます。
新しい制度ですので抜け漏れがないように経理の段階でどのような処理が必要か整理しておきましょう。
※簡易課税制度を消費税計算上採用している場合には受取請求書、領収書についてはインボイス制度の影響がありません。
受け取った請求書の内容確認と分類
まずは受け取った請求書の内容確認が必要です。取引の相手方がインボイス登録をしていれば番号が記載されているでしょうし、されていなければインボイス番号がないです。
定期的な取引があるところや規模の大きな取引先であれば最初に番号があることを確認しておけば事足りるでしょう。
請求書や領収書を受け取った都度、インボイス登録番号を国税庁のHPで確認することまでは私は必要はないと考えています。
信頼できる取引先であればインボイス番号の記載があることだけを確認するという運用でもOKかもしれません。
どこまで手間をかけるか、というのは経営者の方が決めておくと制度開始後の混乱を防げます。
分類としてはインボイス登録番号がない請求書は分けておいた方が後工程で帳簿付けをするときに便利です。
- インボイス登録番号がある請求書→番号をどこまでの頻度などで確認するかどうか
- インボイス登録番号がない請求書→仕入税額控除の金額が番号ありのものと変わるため分けておく
という分類でよいでしょう。
インボイス登録番号がない請求書、領収書でも仕入税額控除にあたって帳簿のみの保存でOKというものがあります。
例えば税込価額3万円未満の公共交通機関の利用料、郵便ポストに投函する郵便切手類飲みを対価とする郵便・貨物サービス、従業員等に支給する出張旅費等です。
これらは帳簿のみの保存で仕入税額控除できます。
これらの支払いが多い事業者のかたは何が必要で、何が必要でないか改めて整理しておきましょう。
また取引が新規に始まるところはインボイス制度後は登録をしているかどうか事前に交渉の段階で確認するプロセスも入れておく方がよいでしょう。
インボイス登録の有無で取引をするかどうかを決めるということではなく、価格の交渉をするかどうかという点での確認です。
従業員の立替経費については会社宛ての請求書、領収書を受け取るように指導しておきましょう。
個人のものしか発行できないという場合には立替経費精算書が必要になります。
1万円未満のインボイス
売上1億円以下の事業者は1万円未満のインボイス保存は不要という少額特例のルールができます。
注意点としてはこの期ではなく基準期間における課税売上が1億円以下(又は特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者は、R5.10.1~R11.9.30の間に行う経費の支払いで、支払金額が税込み1万円未満ものはインボイス保存することなく帳簿のみで仕入税額控除できます。
注意点としては「規模がある一定以下の事業者」、「支払金額が1万円未満」「期間限定」という3点です。
期間限定ですのでいずれは前段のように請求書・領収書が必要になると現状では考えられます。
まとめ
発行する請求書のメンテナンスも必要ですが、受け取った請求書、領収書の処理もひと手間ふた手間変わってきます。税金の計算への影響も大きいのでフローを整理して自社内で共有しておきましょう。
特に大きな会社、消費税を原則課税方式で計算している場合には事務処理負担が増しますのでそれを見越した業務フローの確認と場合によっては変更が必要です。