フリーランスのかたでインボイス登録しようかどうしようか悩んでいるかたも多いかと思います。
基本的には課税事業者で事業者相手のビジネスであれば登録をしておくのがよさそうですが、免税事業者の場合がとても悩ましいです。
事業の内容や今後のことも含めて検討する必要がありますが、免税事業者が仮にインボイス登録をしたときには2割特例を使うことができ、消費税の計算上は有利です。
その点を踏まえてインボイス登録して2割特例を使う際の注意点を整理しておきます。
免税事業者がインボイス登録をしたら
免税事業者であってもインボイス登録をすると課税事業者になります。
いつから課税事業者になるかというと最短で2023年10月からです。
2023年は免税事業者という場合でも登録をすると、2023年10月から12月の分が消費税の申告をして2024年1月からは1月から12月分(つまり年間分)が消費税の申告が必要となります。
現行ではインボイス登録をして2割特例計算の対象となるのは2026年分(令和8年分)までの期間です。
整理すると
- 2023年10月~12月分:2割特例の対象期間
- 2024年:2割特例の対象期間
- 2025年:2割特例の対象期間
- 2026年:2割特例の対象期間
- 2027年:特例対象期間外
となります。
申告の回数で言うと最大で4回分、2割特例の適用を受けることができます。
2割特例計算の注意点
2割特例計算を受ける際にはインボイス登録をしていることともうひとつ、本来は免税事業者だったけどインボイス登録により課税事業者になっている、ということがポイントです。
つまり、2年前の売上がそもそも1,000万円を超えている場合には「インボイス登録で課税事業者になった」という部分が満たされませんので2割特例計算ができません。
フリーランスの場合には事業年度が暦年ですので、それぞれを判定するとこうなります。
- 2023年の消費税の納税義務→2021年の課税売上高
- 2024年の消費税の納税義務→2022年の課税売上高
- 2025年の消費税の納税義務→2023年の課税売上高
- 2026年の消費税の納税義務→2024年の課税売上高
- 2027年の消費税の納税義務→2025年の課税売上高
という対応で納税義務があるかどうかを判定します。
仮に以下のような課税売上だとどうなるでしょうか。
- 2021年:900万円
- 2022年:1200万円
- 2023年:800万円
このような売上の内容となった場合で2023年3月にインボイス登録をした場合
- 2023年は免税事業者でインボイス登録により課税事業者→2割特例適用可能
- 2024年はそもそも課税事業者(2022年:1200万円による)→2割特例適用不可
- 2025年は免税事業者でインボイス登録により課税事業者→2割特例適用可能
という内容になることが考えられます。
フリーランスのかたで課税売上高が1,000万円をさかいに上回ったり、下回っているという場合にはかなり注意が必要です。
また、2割特例計算は簡易課税制度を選択しているかどうかにかかわらず適用が可能となります。
フリーランスのかたですと簡易課税制度を選択しているほうが消費税の計算上は有利になることが多いので、インボイス登録をする際に消費税の簡易課税の届け出をしておくのも検討事項です。
大きな仕入や設備投資がないことがフリーランスだと多いですし、web系のエンジニアやデザイナー業だと経費がそれほどないケースが多い印象です。
こういった場合には2割特例の対象期間からはずれて通常の消費税の課税事業者となる場合を想定して簡易課税制度を忘れずに選択しておくのもよいかもしれません。
まとめ
免税事業者の方は特にインボイス登録をするかどうか、そして登録をしたらどうなるのか、登録しなかったらどうなるのか、という先のことを考えて判断をする必要があります。
それぞれ個別の状況に大きく左右されますのでもし決めきれないという場合には判断材料が少ないことも考えられますので、そういう場合には税理士に一度相談してみるのがよいです。
最終的にはご自身でインボイス登録をするかどうかを決めることになりますが、まずは現状の整理から始めてみて判断材料を集めてみましょう。