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財産整理も相続対策のひとつ

財産整理も相続対策のひとつ

ご生前から相続対策のご相談があった際には、ご自身の環境を整えるという視点で財産の整理についてお伝えすることがあります。

ご自身の環境を整えることが引いては相続対策に、相続が発生した後にも効果的なことがあるからです。

目次

預金口座の整理

財産の構成として現預金や有価証券がたくさんあるかたがいます。

今では考えづらいですが銀行なんかですとマネーロンダリングのお話以前は、講座を開設するにあたっても比較的自由がききました。

例えばA銀行の甲支店で口座があって、乙支店にも口座を開設したり、ということが容易だったわけです。

この容易さが他者名義の預金口座を開設してそれを使える状態を生み名義預金という問題が出てきているわけですが。

それはさておいて。

転勤が多かったかたや、ペイオフ対策で預金口座を分散させていた、というかたですと3~4行、多い場合は7~8行ぐらいの金融機関で口座をお持ちです。

相続税においては亡くなった方の亡くなった時点の預金口座の財産を計上することになります。

中身の金額は関係がないです。

全ての口座について基本的には残高証明書を取得していただき財産に漏れがないかどうかチェックをしつつ計上します。

つまり100万円が入っている口座でも300円の口座でも取扱いとしては同じです。

残高証明書を取る手間、解約する手間を考えるとメインにしている口座プラス2ぐらいまで整理しておくのが望ましいです。

多すぎるとそもそも管理ができないでしょうし、使っていない預金口座は解約して整理してみてはどうでしょうか、とお伝えしています。

この流れの時に名義預金と思しき口座の存在が露見することがあり、そちらも合わせて内容を確認しながら整理をしていくことがあります。

断捨離というほど強い言葉ではないですが、整理のつもりで預金口座をリストアップして整理してみましょう。

有価証券の整理

有価証券がお好きだったかたは高齢のかたでもいらっしゃいます。

というか今でも株が好き、という方もチラホラいらっしゃって、お話を伺うとバブルのころの話になることが多いです。

やはり成功体験がある、というのは大きいようで、証券会社の営業マンもそういう人に寄ってきます。

これ自体は別に問題ないですし好きに取引していただければよいですが、相続する方が株を全くやっていないと結構困るケースがあります。

株取引をやっていないがゆえに、どう処理していいかわからないのです。相続人の方には営業担当が近寄ってきて本当にそれ必要ですか?というものまで勧めてきたりします。

亡くなった方のB証券会社の口座を引き継いで株を相続する場合には

相続人がB証券会社の口座を作る(2週間ほど)→亡くなった方の口座から株式を移す(1カ月ほど)→名義が移ってから売却等ができる

という流れになります。

もし現預金が少なくて株式が多い、それで納税をする、という場合には生前の整理をしていただく方がお勧めです。

というのも、相続手続きの前段階で財産の分け方が決まっている必要があり、相続税の納付が間に合わない可能性もあるからです。

売りたいときに売りたい値段で売れない、というのも気にしておきたいところ。

手続きの間や亡くなってから時が経過するにしたがって値動きがあるものですし、上がるか下がるか誰にもわかりません。

仮に売れたとしても想定していた値段より低い場合もあるでしょうし。

不確定要素が大きいので株を売った代金で相続税を支払うことは注意が必要なこと、手続きが煩雑なこと、相続人が株取引が不慣れで結局相続したらすぐに売ってしまうこと、などを考慮するとお好きなタイミングでご生前に整理をしておくのも選択肢ではないでしょうか。

現預金のほうが分けやすいというのもポイントです。

株だとどうしても値動きや配当など相続した後の話を考えたくなりますし、予測が難しいというかできないのでそれを親族で納得できるように分けるというのもハードルが高くなります。

均等に分けたらいいじゃないと思うかもしれませんがすべての財産を均等に分けなければいけないというものではないのですし、相続人が相続したい財産が綺麗に分かれるわけでもないです。

不動産の整理

いつか値上がりするかもしれないと思って自分が住んでいるところ以外のところに不動産をお持ちのケースがあります。

これもバブルの記憶が残っているからかもしれませんが、何にも活用していない不動産は値が下がるのが普通です。

建物があれば朽ちていきますし取り壊しにも費用が掛かります。土地もいいところにあれば話は変わってきますが、何十年も塩漬けだとやはり難しいでしょう。

不動産は近年、空き家などの問題もでてきていますし、相続人の方がほかに居宅があって生活の本拠がある場合には相続して売却することも多いです。

売れればまだよいですが売れない土地ですとなかなか処分に困るということもあります。

相続土地国庫帰属といって、相続した土地を国庫に帰属させる、つまりお返しするという精度が始まりますが要件もありますので全ての土地がそれに合致するわけではないです。

つまり不動産で今使っていないものの多くが相続を経ると負動産と呼ばれる現実があります。

また税制上の措置においても生前に処分したほうが有利なケースもありますので、もし財産整理をするのであればそこに不動産も加えてみてはどうでしょうか。

仮にいまご自身が住んでいる不動産も、今なら処分しやすいということならそれも選択肢です。

有価証券よりもはるかに「売りたいときに売りたい値段で売れない」というのが不動産の特徴でもあります。

ご自身が住んでいる住居を売却して整理をし、高齢者向けの介護付き専用住宅に入居される方もいらっしゃいます。

こういった選択も、お元気なうちに認知症の影響がないうちに考えておきたいところです。

まとめ

相続後のことを考えるか考えないかでやるべきことが変わってきます。

ご自身の財産なので好きにすればもちろんよいのですが、ご自身がよりよい環境にできるように手を入れるということも大事です

多くはそれが結果的には相続後の「やっておいてもらってよかった」につながります。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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