相続対策でお話を伺っていると遺言の前にエンディングノートを準備したいというご要望をいただくことがあります。
遺言はハードルが高く感じるでしょうし、まずはエンディングノートから、というのも分かります。
エンディングノートはどういう使いどころがあるか確認してみましょう。
遺す立場で
財産を遺す立場であっても自分の仕事のことについて細かく子や孫、世話をしてくれた家族に伝えることは多くはないでしょう。
ある日突然の別れがある場合もあれば、時間をかけてゆっくりと、というケースもあり様々です。
自分の死後のことについて知っておいてほしい、と思うことを記録してはどうか、とお伝えしています。
財産のこともそうですが、借入がある場合などはその情報もあると安心でしょう。
というのもお話を伺っていると子や孫、家族に迷惑をかけたくない、と思われる方はやはり多いものです。
それを伝えておくことも大切ではあるのですがなかなか機会がないのも実際のところはそうでしょう。
そういう場合には自分の死後のことを中心に以下のようなことをノートでもメモでも構わないのでまとめてみましょう。
全てを埋める必要はないですし、自分が気になったところだけでも十分です。
基本情報
家族・親族の連絡先
葬儀・お墓
医療・介護
資産・保険・ペット
といった形です。
専用のノートも書店に行けば購入できますし、ルーズリーフや家にあるノートに書いておくのでも大丈夫です。
引き継ぐ立場で
財産を引き継ぐ立場でみるとコロナ禍もあってなかなか実家に帰ったり、対面して話をする機会が減っているのがこの2年半ほどです。
会えなくても実家の家族、両親の生活、時間は同じく流れているわけですので会わない時間のなかでも変化があるでしょう。
いざ、親が入院する、施設に入るなどのイベントがあったときにどう対応してあげたら本人にとって良いか、ということが突然起こりえます。
そうなると、本人の希望を残してもらうツールがあってそれを見れば本人の希望をかなえてあげられそうだ、という道しるべがあると安心です。
出来れば本人の希望に沿ってあげる、その内容を知っておく、というためにエンディングノートは有効です。
年末年始やお盆の帰省の際に、上記のように伝えてエンディングノートを購入し一緒に埋めてあげるのも喜ばれます。
葬儀やお墓のことについてご本人が意外なことを考えておられたり、希望があるやもしれません。
保険契約があるのか、銀行通帳がどこにあるのか、そういったことも実家を離れる期間が長ければ長いほど縁遠くなります。
話をしてみるキッカケをぜひつくってみましょう。
準備する際の注意点
いざエンディングノートを作っていく際の注意点を3つお伝えしておきます
共有しておく
せっかくエンディングノートを作ったとしても見れる状態でないと困ります。
書いたものが役に立たなければもったいないですので、遺す立場のかたは作成したときにエンディングノートを書いたこと、どこにある、というのを伝えておきましょう。
普段から大切なものはここにある、ということを共有しておくのは大切です。
そのなかに加えておく、というイメージでいいでしょう。
銀行の通帳や銀行印、実印、健康保険証、保険証券、土地建物の権利書などひとまとめにしている方も多いのではないでしょうか。
保管場所を伝えておけばいざという時にそこを確認するはずです。
法的拘束力はない
遺言と違って法的拘束力がエンディングノートにはありません。
遺言替わりで使うのはとても危うく、揉め事につながる可能性もよく指摘されています。
遺産分割に至るにいたっても参考にすることはあっても、拘束されることはありませんのでフラットで考えても大丈夫です。
もし財産を誰に引き継がせたいという想いがあるのであればエンディングノートではなく遺言にしたためておく、ということが大切です。
お元気な時に
エンディングノートを作るにあたっても各種確認していくことがたくさんあります。
内容をどこまで埋めるか、充実させるかにもよりますがエネルギーと時間が必要なケースも多いです。
また高齢化社会にともなう認知症のリスクはみなに等しくあるわけですので、ある程度お元気なうちに手を付けておきたいところです。
相続対策にも通ずる部分があるのですが元気なうちに着手しておくことがエンディングノートへの取り組みでも重要性を増します。
まとめ
エンディングノートについて使いどころ、注意点をまとめました。
決まった形があるわけではないので興味がある方はまずは取り組んでみて順次充実させていくの良いでしょう。
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