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損失だからといって申告をしないと困るかもしれないこと

損失だから 申告しないデメリット

確定申告の時期になるとよく聞かれるのが「損失だから申告しなくてもいいのでは?」ということ。

ホントに損失かどうかは決算書を作ってみないとわからないわけですが、損失だからといって申告をしないと困ることがないか、考えてみます。

 

目次

所得の証明

申告をしない場合にはそれがプラスであってもマイナスであっても所得を証明することができません。

 

所得の証明というのはいろんなところで実は求められるわけです。

国民健康保険料も所得金額(利益金額)をベースに計算されます。特に所得が減少した場合には各自治体で減免の対象となることがありますが申告をしてくれないと所得が分からないわけですので減免措置が受けられない可能性もあります。

 

国民年金保険料も申告をしていないと所得が分からないわけですので同じく減免の対象になるかどうかがわかりません。

 

勤めている場合で給与所得の場合には、年末調整の時期にその給与をもらっている人の住んでいる自治体あてに雇用主が給与支払報告書という書類を提出します。

 

これによりその人の所得などを各市区町村が把握し住民税を計算し課税できます。

 

フリーランス、個人事業主の場合には自分で所得を証明するためには申告をするしかありません。

 

損失の状態であっても申告を通じて所得の証明をすることになり、市区町村の公的なサービスなどを受けられなくなる可能性もあるわけです。

 

雇われているときには全くそのようなことを意識しない方のほうが多く、また意識しなくて済むようになっています。

 

でもフリーランスになれば申告をして納税をすることも自主的に行わなければならないわけです。

 

これにより自分の所得がいくらだった、ということが証明でき、ひいては各種の公的サービスや支払内容も決まってきます。

 

給付金・補助金等の申請

コロナ禍となって各種給付金、助成金、補助金、協力金などが増えています。

 

これらの申請にあたってはコロナ禍による売上の減少とともに申告書の提出が必要となっているケースがほとんどです。

 

去年や一昨年の申告書を提出するように指示をされて、申告してない困ったどうしよう、となった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

損失の場合は申告をしなくてもよいとは言え、申告書を提出していることが要件に入っている申請も多く、申告しておいたほうがいいということに気が付かれたはずです。

 

こういった給付金等の申請に合わせてその都度必要な申告書を作るというのはミスの基になります。

 

例えば一昨年の申告書をいま作成してくださいと言われて売上の集計や経費の集計、入力などどれくらい時間がかかるでしょうか。

 

適当にやって良いものではないですし、計算してみたら実は利益が出ていて納税も必要だったとなると目も当てられません。

 

領収書や請求書の保管管理もきちんとなされていればよいですがそうではないのであれば計上漏れも多くあるでしょう。

 

このようにして作成された申告書、決算書が適切なものであるかどうか。

 

きちんとやっていることを証明しようと思うときちんと申告書、決算書を作成すること、納税がなくてもそれをきちんとやれることが大事です。

 

損失の繰り越し、繰り戻し

青色申告の場合には事業所得の損失がある場合には繰り越しすることができます。

 

例えば去年分の所得がマイナス200万円になってしまったとしましょう。

 

今年の分が所得が800万円になったとすると、去年から繰り越してきたマイナス200万円をこの800万円と相殺して所得金額を計算することができます。

 

翌年に持ち越すので繰り越しと表現します。

また去年はすごく利益がでていて例えば1,000万円の所得だったとしましょう。

 

今年は損失500万円だった場合に、この損失を去年の1,000万円と相殺する繰り戻しをすることもできます。

 

これは今年の損失を来期に持ち越すのではなく、前期の利益に戻して計算するということで繰り戻しと表現します。

 

損失がずっと続いてしまった場合には3年間は損失を繰越すことができます。

 

損失であっても申告をすることで将来又は過去に利益が出たときに要件を満たせば繰り越しや繰り戻しで税金計算上有利になることがあります。

 

申告をしていない場合には更正の請求という形をとることもできますが税額が確定している期間をまたいだりするとその年の分は相殺できないなど不都合も出てきます。

 

まとめ

申告をしてないことのほうがデメリットが大きくなる可能性が高いので、損失であってもきちんと申告をしておくことが望ましいです。

なにより決算書を作ってみるとなぜ赤字なのか、損失なのかに向き合う機会になります。

せっかくの決算ですから次に活かせるように反省材料を探し、アクションにつなげられるとより良い事業運営になると考えています。

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この記事を書いた人

京都市下京区で税理士をやっています、ジンノユーイチ(神野裕一)です。
相続や事業のお困りごとを丁寧に伺い、解決するサポートをしています。
フットワーク軽く、誠実に明るく元気に対応いたします。

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