確定申告の時期になって、無事に確定申告ができたらやっておきたいことを整理します。
特に今年納める税金の概算とスケジュールを確認しておくのは資金計画、資金繰りにおいて大切です。
納税計画の確認
所得税の確定申告が完了すると所得税が分かりますが、ほかの税目も計算することができますので納税計画を確認しておきましょう。まずは所得税の納税計画からみてみます。
所得税は3月に納めるものが第3期分とされています。去年の所得に対する所得税の最終値のような位置づけです。第3期ということは第1期と第2期があります。
この第1期と第2期は確定申告の金額をベースに算定して、7月と11月に納めることになります。これを予定納税といいます。
予定納税額の計算はざっくりとした把握ですと、前年分の申告納税額です。源泉徴収税額がある場合はその金額を控除します。
(1)次のいずれにも該当する人は、その人の前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額となります。
イ 前年分の所得金額のうちに、山林所得、退職所得等の分離課税の所得(分離課税の上場株式等の配当所得等を除きます。)および譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得の金額(以下「除外所得の金額」といいます。)がないこと。
ロ 前年分の所得について外国税額控除の適用を受けていないこと。
ハ 前年分の所得税について災害減免法の規定の適用を受けていないこと。
(2)上記(1)に該当しない人は、前年分の課税総所得金額および分離課税の上場株式等に係る課税配当所得等の金額に係る所得税額(除外所得の金額がある場合には、除外所得の金額がなかったものとみなして計算した金額とします。また、災害減免法の規定の適用を受けている場合には、その適用がなかったものとして計算した金額とします。)から源泉徴収税額(除外所得の金額に係るものを除きます。)を控除して計算した金額および当該金額の復興特別所得税額の合計額が予定納税基準額となります。
上記(1)または(2)の予定納税基準額が15万円以上になる人は、予定納税が必要になります。予定納税額は、所轄の税務署長からその年の6月15日までに、書面で通知されます。
(国税庁HPより抜粋)
申告納税額が15万円以上になる場合には予定納税があるという理解でよいと思います。15万円未満の場合には予定納税はありません。(不動産の譲渡所得等にかかる所得税は考慮しません)
仮に令和3年分の申告納税額が21万円だったとしましょう。この場合には21万円の3分の1ずつの7万円を第1期、第2期のそれぞれで納めます。
おさめた7万円×2回=14万円は来期の確定申告(令和4年分)の計算時において予定納税額として控除することになります。精算をするイメージですね。
所得税が21万円だった場合には、3月に21万円、7月に7万円、11月にも7万円という納税計画です。
住民税の概算と支払タイミング
所得税の確定申告をしている場合には自治体に住民税の計算の基礎的な内容も通知されます。
住民税はざっくりとですが所得税の課税所得金額の10%です。ふるさと納税をしている場合には前払い分ですので控除されます。
納税計画ですのでざっくりとでもよいので支出タイミングと納税金額概算の把握が重要です。
課税所得金額が300万円だとしましょう。(所得税の確定申告書Ⓑでは第1表の右上㉚番です)
この場合の住民税の概算は300万円×10%で30万円です。
支払は普通徴収といって給与がないフリーランスや個人事業主の場合には、4期分割納付(または全額納付も可能です)が基本です。
通知は5月から6月にかけて行われて、30万円を6月末、8月末、10月末、1月末のそれぞれに均等分割で支払います。
30万円の場合には75,000円ずつ4回に分けてということです。これで住民税の概算金額と支払タイミングを把握できました。
個人事業税の概算と支払タイミング
続いて個人事業税の支払タイミングについても確認しておきましょう。
個人事業税は利益金額をベースに課税されるもので、業種に応じて税率が変わります。今回は個人事業主で青色申告の場合を想定し、税率5%として計算をしてみます。
所得金額は335万円だとします。確定申告書Ⓑの所得金額等①の金額です。
この金額は青色申告特別控除後の金額ですので、青色申告特別控除の金額を足し戻して計算をします。65万円だとしますと、335万円+65万円=400万円となります。
ここから個人事業税を計算する際の事業主控除290万円を差し引いて税率を乗じて計算をします。
400万円-290万円=110万円 110万円×5%=55,000円と計算できます。
この個人事業税の金額は2期分割で半分ずつ、8月と11月に納めます。上記の例でいうと27,500円ずつです。
スケジュールに落とし込むと以下のようになります。
納期 | 所得税・復興特別所得税 | 住民税 | 個人事業税 | 消費税等 |
3月 | 〇 | 〇 | ||
4月 | ||||
5月 | ||||
6月 | 〇 | |||
7月 | 〇 | |||
8月 | 〇 | 〇 | ||
9月 | ||||
10月 | 〇 | |||
11月 | 〇 | 〇 | ||
12月 | ||||
1月 | 〇 | |||
2月 |
消費税の申告がある場合にはここにプラスされて消費税の納税となります。タイミングとしては3月の所得税第3期と同じタイミングです。(期限は所得税は3月15日、消費税は3月31日です。延長申請をしていない場合で振替納税等をしていない場合)
申告書の控え、領収書・請求書の保存、帳簿の保存
紙で申告書を提出している場合には控えも準備して押印をもらうようにしましょう。
いろんなところで確定申告書の控えを出すように指示されるケースがあります。
例えば最近ですと事業復活支援金もそうですし持続化給付金などの場合も過去の確定申告書の控えを提出することが申請の際に求められました。
申告書や届出書などを税務署に紙で提出しても控えをあちらで作成してくれるということはありません。
こちら側で必要だからこちらで控えを作る必要があるわけです。
自分の申告なんだから申請していつでも見られると考えているのであれば、それは結構大変だということをお伝えしておきます。
自分の申告書であっても税務署の窓口でスッと見せてもらえるかというとそういうわけでもないです。ましてやその場でコピーを取ることなどもできませんので書き写すかスマホで撮影するかなどしかできません。
控えがあって困ることはありませんが、控えがないと困ることはありますので、申告書を紙で提出する際には提出用と控え用を準備しましょう。
確定申告書等作成コーナーで作成をする際には控え用も一緒に作成されますので大丈夫です。
電子申告の場合には送信記録が残って申告書の確認ができますので控えのデータを保存しておけば十分です。
申告書や決算書作成において使用したり参考にした書類は手元にて保管が必要です。
紙のものはそのまま紙で、データのもの(例えばメールで届いた請求書や領収書など)はデータで紛失しないようにしておきましょう。
意外と多いのですが昨年の申告書を確認したり領収書や請求書についてお尋ねすると処分したと言われることがあります。
帳票書類にもよるのですが原則として7年間の保管義務がありますので、その点を踏まえて資料を整理し保管しておきましょう。
書類によっては5年のものなどがあるのですが多くないのであればそのまま一緒に7年間置いておくのが手間がかからないと考えます。
総勘定元帳や仕訳帳といった帳簿関係書類も今すぐに紙で必要なわけではないですが、税務調査等があった際に提出が必要ですのでいつでも出せるような状態にしておくとよいでしょう。
まとめ
確定申告が無事に終わったら所得税の納税まで済ませて納税計画を把握して整理しておきましょう。帳簿や領収書、請求書の整理も忘れないうちに。
ある日突然自分が把握していない納税通知が届くと驚きますし、資金繰りなどもあるかと思います。
いつ、いくらぐらい払うのか把握しておくことで軽減される不安はあります。